知念実希人
Chinen Mikito

1978(昭和53)年、沖縄県生れ。東京慈恵会医科大学卒業。2004(平成16)年から医師として勤務。
’11年、「島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を「レゾン・デートル」(『誰がための刃』と改題し、’12年刊行)で受賞


生命の略奪者
天久鷹夫の事件カルテ 8

知念実希人
新潮文庫



2024/3/27
東京から新横浜へと向かう新幹線、移植のための心臓を運んでいたコーディネーターが襲撃され、臓器が奪われた。さらに、同様の事件が天医会総合病院でも発生する。心臓、肺、肝臓、腎臓。生命のリレーの最中、踏みにじられる死者たちの遺志。いったい誰が、何の目的で? 天久鷹央は真相解明に乗り出すが、その動機は思いもよらぬものだった……。現役医師が描く本格医療ミステリ!

       ***********************

 


久遠の檻
天久鷹夫の事件カルテ 7
 
知念実希人

新潮文庫



2023/11/25
令和3年9/1 発行
 かつてアイドルとして芸能活動をしていた少女、楯石希津奈。十五年以上の時を経て、彼女がまったく同じ容姿で現れたことに驚いた精神科部長の墨田淳子は、統括診断部の天久鷹央に診察を依頼する。だが、検査をしようとした矢先、父親が現れ、希津奈は連れ去られてしまう……。ミイラ化した遺体。自殺からの復活。相次ぐ不可思議な現象の真実とは? 現役医師が描く医療ミステリー!

       **************************

 


真夜中のマリオネット
知念実希人
集英社



2023/3/5
2021/12/20 発行
 殺した後、一晩かけて遺体をバラバラにする殺人鬼―通称「真夜中の解体魔」。婚約者を殺された救急医の秋穂は、深い悲しみを抱えながらもなんとか職場に復帰をしたところだった。そこに運ばれてきたのは、交通事故で重傷を負った美少年・涼介。無事、命を救うことができたが、手術室を出た秋穂に刑事が告げる。「彼は、『真夜中の解体魔』だ」と―。涼介に復讐しようとする秋穂に、涼介は涙を流しながら訴える。「僕は罠にかけられただけなんです」と―。無実に思える証拠を見せられた秋穂は、ためらいながらも涼介と真犯人を探すことになるが…涼介は真犯人に操られた哀れな人形なのか、それとも周囲を操る冷酷な人形遣いなのか

       *************************

 


ムゲンのi
知念実希人
双葉社



2022/8/10
2019/9/22 発行
若き女医は不思議な出会いに導かれ、人智を超える奇病と事件に挑む。
眠りから醒めない四人の患者、猟奇的連続殺人、少年Xの正体――
すべては繋がり、世界は一変する。

眠りから醒めない謎の病気〈特発性嗜眠症候群〉通称イレスという難病の患者を3人も同時に抱え、識名愛衣は戸惑っていた。
霊能力者である祖母の助言により、患者を目醒めさせるには、魂の救済〈マブイグミ〉をするしか方法はないと知る。
愛衣は祖母から受け継いだ力を使って患者の夢の世界に飛び込み、魂の分身〈うさぎ猫のククル〉と一緒にマブイグミに挑む――。(上)

        *


神話の密室

天久鷹夫の事件カルテ 6

知念実希人
新潮文庫



2022/7/8
令和2/9/1 発行
 まるで神の御業のような不可思議な「密室」の謎。アルコールが一滴もないはずの閉鎖病棟で泥酔を繰り返す人気小説家。キックボクシングのタイトルマッチ、勝利の瞬間にリングで死亡した王者。かたや厳重な警備の病院で、こなた千人以上の観客が見守る中で。まるで神様が魔法を使ったかのような奇妙な「密室」事件、その陰に隠れた思いもよらぬ「病」とは? 天才女医・天久鷹央が不可能犯罪に挑む。現役医師による本格医療ミステリ!

         ******************

 


螺旋の手術室
Double Helix Chain Reaction
知念実希人

新潮文庫



2022/5/28
2017/10/1 発行
 純正会医科大学附属病院の教授選の候補だった冴木真也准教授が、手術中に不可解な死を遂げた。彼と教授の座を争っていた医師もまた、暴漢に襲われ殺害される。二つの死の繋がりとは。大学を探っていた探偵が遺した謎の言葉の意味は。父・真也の死に疑問を感じた裕也は、同じ医師として調査を始めるが…。「完全犯罪」に潜む医師の苦悩を描く、慟哭の医療ミステリー。『ブラッドライン』改題(Bookデータベース)

      *******************

 


祈りのカルテ
知念実希人
角川書店



2022/5/18
2018/3/29 発行
 諏訪野良太(すわのりょうた)は、純正会医科大学附属病院の研修医。初期臨床研修で、内科、外科、小児科など、様々な科を回っている。
 ある夜、睡眠薬を大量にのんだ女性が救急搬送されてきた。その腕には、別れた夫の名前が火傷(ヤケド)で刻まれていた。離婚して以来、睡眠薬の過剰摂取を繰り返しているという。
しかし良太は、女性の態度に違和感を覚える。彼女はなぜ、毎月5日に退院できるよう入院するのか……。(「彼女が瞳を閉じる理由」)

初期の胃がんの内視鏡手術を拒否する老人や、循環器内科に入院した我が儘な女優など、
驚くほど個性に満ちた患者たちとその心の謎を、新米医師、良太はどう解き明かすのか。


 「彼女が瞳を閉じる理由」ーーー愛する男の暴力から逃れるため、大量服薬をくり返し装っていた女性
 「悪性の境界線」ーーー保険金によって家族を幸せにしようと、自らの体にメスを入れさせた老人
 「冷めない傷痕」ーーー幸せな未来を手に入れるために、下腿に湯をかけた母親
 「シンデレラの吐息」ーーー愛しい父親に会うために、薬を捨てていた少女
 「胸に嘘を秘めて」ーーー世間を欺いてまで多くの人を救おうとした女性

        *************************

 「小説 野性時代」に掲載されたモノ。
 ちょっといい話。

 そろそろ読み飽きたかな・・・と思った作者のモノだけど、読みやすく悪くはなかった。


十字架のカルテ
知念実希人
小学館



2022/2/11
2020/3/18 発行
 正確な鑑定のためにはあらゆる手を尽くす――日本有数の精神鑑定医・影山司の助手に志願した新人医師・弓削凛は、犯罪者の心の闇に対峙していく。究極の頭脳戦の果てに、影山が見据える未来とは。そして凛が精神鑑定を学ばねばならない理由とは……。 

 第一話  「闇を覗く」 歌舞伎町無差別通り魔事件の犯人・白松京介。重度の統合失調症と診断された彼は、本鑑定を受けるため影山たちの病院に移送された。
 第二話  「母の罪」 横溝美里は生後五ヶ月の娘を抱き、マンションから飛び降りた。重い抑うつ症状が見られた美里は、面談で「悪魔が娘を殺せと脅した」と言う。
 第三話  「傷の証言」 高校中退後、自宅に引きこもっていた沢井一也は、姉を刺し逮捕された。影山たちが鑑定に赴くが、支離滅裂な発言をし恐慌状態に陥ってしまう。
 第四話  「時の浸蝕」 傷害致死で起訴された小峰博康には、精神疾患の疑いが。簡易鑑定を行った影山は「罪を逃れるための詐病」と証言したが、第二審で思わぬ反撃にあう。
 第五話  「闇の貌」 同僚を刺殺した桜庭瑠香子。過去にも殺人事件を起こしていた瑠香子だが、解離性同一性障害、すなわち多重人格と診断され不起訴となっていた。

          *******************

 
どれも重い内容で一気に読むというわけにはいかなかった。途中で他の本を読んでみたり・・・・それでも最後まで読んだ。どういう鑑定になるのか予測できなかった。


レフトハンド・ブラザーフッド
知念実希人
文藝春秋



2022/1/27
2019/3/15 発行
左手に宿る“兄”と俺。奇妙な2人の逃避行が始まる―ある事故以来、左手から死んだ兄・海斗の声が聞こえるようになった岳士。家出した2人は殺人事件に巻き込まれ、容疑者として追われるはめに。濡れ衣を晴らそうと奔走する岳士と海斗だが、怪しいドラッグ「サファイヤ」、そして美しい彩夏との出会いで“兄弟”の思惑はすれ違いだす…予想不可能のラスト、切ない衝撃に涙があふれる。

       ********************


  前半は、ピンとこなくて何度も読むのをやめようと思った。読書レビューを読んで後半は面白いらしいので読み進む。確かに一気に後半は読み終えたけれども、設定の必然性と・・・・この作者は、やはり医療の知識を元にした作品の方がいいなあというのが、結論。
 兄弟愛?何が一番言いたかったのかな。


白銀の逃亡者
知念実希人
幻冬舎文庫



2022/1/16
平成28年6/25 発行
 深夜の救急医療室で働く岬純也のもとに、白銀の瞳をもつ美少女・悠が現れる。致死率95%の奇病から生還した「ヴァリアント」である悠は、隔離地域「憩いの森」からの脱走者だった。ヴァリアントに異常な憎悪を抱く刑事・毛利の追跡が迫る中、悠は反政府組織が企む「ある計画」を純也に明かすのだが??。

       ***************************

  コロナ禍の何年も前に書かれたモノでありながら、まるでいまのパンデミックの人々の反応や恐怖を描いているようだ。

 現在、ワクチン接種を強制されかねない状況になっている。接種しないと「ヴァリアント」のような扱いになりそうだ。
 この作品のように政治利用が始まっている。
 
     


改貌屋
天才美容外科医・柊貴之の事件カルテ

知念実希人

幻冬舎文庫



2021/7/21
平成27/5/15 発行
「妻の顔を、死んだ前妻の顔に変えてほしい」。金さえ積めばどんな手術でも引き受ける天才美容外科医・柊貴之に舞い込んだ奇妙な依頼。麻酔科医の明日香は反発を覚えるが、彼の完璧な手技に圧倒されてしまう。さらに四年前に起こった連続殺人事件に柊が関係していると知り、明日香は不信を深めるのだが――。

      *************************


優しい死神の飼い方

知念実希人

光文社



2021/7/16
2013/11/20 発行
犬の姿を借り、地上のホスピスに左遷……もとい派遣された死神のレオ。戦時中の悲恋。洋館で起きた殺人事件。色彩を失った画家。死に直面する人間を未練から救うため、患者たちの過去の謎を解き明かしていくレオ。しかし、彼の行動は、現在のホスピスに思わぬ危機を引き起こしていた――。天然キャラの死神の奮闘と人間との交流に、心温まるハートフルミステリー。

      *****************************


神酒クリニックで乾杯を

知念実希人
角川文庫



2021/6/29
平成7/10/25 発行
 医療事故で働き場所を失ってしまった外科医の九十九勝己は、知人の勧めで「神酒クリニック」で働くことに。そこでは院長の神酒章一郎を初め、腕は立つが曲者の医師達が、世間に知られることなくVIPの治療を行っていた。彼らに振り回されつつも、新しい職場に慣れていく勝己。しかし神酒クリニックには彼が知らない裏の顔が。秘密のクリニックで勝己が請け負う「仕事」とは!? 
個性派過ぎる医師達が贈る、メディカル・エンタメミステリ


       **********************

 これもシリーズ。なかなか面白い。
 登場人物の一人、天久翼って? 自分で天才だと思っていた黒宮が、本物の天才に会って挫折したというその天才って、もう一つのシリーズの天久鷹夫のことらしい。翼の妹なのか。

 あまりにも凄い天才は、世の中からはみ出してしまう。だからそういう人を受け入れ、才能を発揮させられる場所が必要なんだろうな。現実にはちょっと無理かもしれないが。
 凄い天才の話は、読むのが好きだ。

 これはドラマになっていたらしい。知らなかった。でも見なくて良かった。配役を見たら読み終わってのイメージが壊れそう。
 


崩れる脳を抱きしめて

知念実希人
実業之日本社


2021/6/21
2017/9/25 発行
 広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を通わせていく。実習を終え広島に帰った碓氷に、ユカリの死の知らせが届く。彼女はなぜ死んだのか?幻だったのか?ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜山手を彷徨う。そして、明かされる衝撃の真実!?希代のトリックメーカーが描く、今世紀最高の恋愛ミステリー。

       ********************************

    


レゾンデートル
知念実希人
実業之日本社文庫



2021/6/19
2019/4/15 発行
2012/ 講談社 改題・改稿
 末期癌を宣告された医師・岬雄貴は、酒浸りの日々を送っていた。ある日、不良から暴行を受けた岬は、復讐を果たすが、現場には一枚のトランプが―。そのカードは、連続殺人鬼「切り裂きジャック」のものと同じだった。その後、ジャックと岬の奇妙な関係が始まり…。最注目作家、幻のデビュー作!

          *******************************

 これが作者のデビュー作、すごい完成度。


魔弾の射手

天久鷹夫の事件カルテ 5
知念実希人
新潮文庫


2021/6/9
令和元年/9/1 発行

 
西東京市に聳える時計山病院。十一年前の医療ミスで廃院に追い込まれたこの場所で、一人の看護師が転落師する。死亡状況や解剖結果から自殺が有力視される中、娘の由梨だけはそれを頑なに否定した。天医会総合病院の副院長・天久鷹夫は彼女の想いに応え、「呪いの病院」の謎を解くことを決意する。死体にまったく痕跡が残らない「魔弾」の正体とは?

        **************************

 著者は車が好きなのか?熱く車を語るシーンがある。
 「呪いの人体自然発火現象」の時、小鳥遊の愛車RX-8は無残な最期を遂げたが、懐かしく思い出している。「獣の咆哮のようなロータリーエンジンの唸りと内臓を震わせる振動。そこから生み出されるスポーツカー特有の加速。路面の状態をダイレクトに伝えてくる硬めの足回りと、そこに直結されたハンドル。あの暴れ馬を乗りこなすような快感。」って、私にはわからないが。

 医師にしかわからない不思議な病気がかかわっていた。


スフィアの死天使
天久鷹央の事件カルテ 1
知念実希人
新潮文庫



2021/4/3
平成27/9/1 発行
外科医を辞め、内科医としての修業を積むべく、天医会総合病院の門を叩いた小鳥遊優は、そこで運命的な出会いを果たす。天久鷹央。空気を読めず、人とのコミュニケーションに難がある彼女は、しかし日本最高峰の頭脳を持つ天才女医だった―。宇宙人による洗脳を訴える患者。謎の宗教団体。そして、院内での殺人。鷹央と小鳥、二人の出会いを描いた長編メディカル・ミステリー。

       **************

 作者の何冊目だろう。ここへきてやっと、小鳥遊が天医会総合病院に派遣されてきた顛末が初めて詳しく語られる。

 この2人のキャラとやりとりのおかしさが魅力。
 


火焔の凶器
天久鷹央の事件カルテ 4
知念実希人
新潮文庫



2021/3/28
平成30/9/1 発行
安倍晴明と同時代に生きた平安時代の陰陽師・蘆屋炎蔵の墓を調査した大学准教授が、不審な死を遂げる。死因は焼死。火の気がないところで、いきなり身体が発火しての死亡だった。殺人。事故。呪い。さまざまな憶測が飛び交う中、天医会総合病院の女医・天久鷹央は真実を求め、調査を開始する。だが、それは事件の始まりに過ぎなかった……。

      *************************

 


ひとつむぎの手
知念実希人
新潮社



2021/3/17
2018/9/20 発行
 大学病院で過酷な勤務に耐えている平良祐介は、医局の最高権力者・赤石教授に、三人の研修医の指導を指示される。彼らを入局させれば、念願の心臓外科医への道が開けるが、失敗すれば…。さらに、赤石が論文データを捏造したと告発する怪文書が出回り、祐介は「犯人探し」を命じられる。個性的な研修医達の指導をし、告発の真相を探るなか、怪文書が巻き起こした騒動は、やがて予想もしなかった事態へと発展していく―。

      **********************

 読み始めると人が良くて要領の悪い祐介に悪いことが起こるんじゃないかとか思って読み進むのが気が重くなった。少しずつ良くはなっていくが、祐介の思考が悪い方ばかりに向いていって、なんでそうゆう考えになるかなあ、と思いつつ、この作者が言いたいことは何だろうと考え始める。
 新しい臨床研修制度についてかなあ、医局制度について何かが訴えたかったのかなあ、医局の役割は派遣制度ではなく教育機関であると訴えたかったのかなあ、といろいろ考えながら読んでいった。

 最後の退職する医局員と新しく入局する医局員達の歓迎会で、祐介が指導した研修医達からの言葉を読んでいたら涙が出てきた。
 患者に寄り添い、全力を尽くし、人が良くて要領が悪くて出世には届かないけど、いい人がやっぱりいいのねということだ。
  途中がしんどかったけど読後感が良かった。

 いろんな作品が、文庫だったりライトノベルだったりするが、コレは単行本だった。
 P268ーーさて、俺の最初で最後の冠動脈バイパスを始めよう。きっと俺は、この時のために、この一紡ぎのために心臓外科医になったんだ。


時限病棟
知念実希人
実業之日本社文庫



2021/3/10
2016/10/15 発行
 目覚めると、彼女は病院のベッドで点滴を受けていた。 なぜこんな場所にいるのか? 監禁された男女5人が、拉致された理由を探る……。 ピエロからのミッション、手術室の男、ふたつの死の謎、事件に迫る刑事。 タイムリミットは6時間。謎の死の真相を掴み、廃病院から脱出できるのか!?

         ************************************

 参加型ホラーアトラクション。リアル脱出ゲーム。ソレがゲームでなく命をかけた脱出サスペンスになっている。こんなことは私はやりたくはないが。
 仮面病棟の続編、同じ病院が舞台なので、思い出しながら、あそこにエレベーターがあって・・・・などと考えてしまった。当然、読者が知っていることも想定して作品の中の人物は動いていくのだな。
 謎解きと、人の思考の流れに沿って進んでいくので無理がなく、いつまでも読み続けてしまって一気に読み進んだ。
 凄い。


仮面病棟
知念実希人
実業之日本社文庫



2021/3/7
2014/12/15 発行
 療養型病院に強盗犯が籠城し、自らが撃った女の治療を要求した。事件に巻き込まれた外科医・速水秀悟は女を治療し、脱出を試みるうち、病院に隠された秘密を知る―。閉ざされた病院でくり広げられる究極の心理戦。そして迎える衝撃の結末とは。現役医師が描く、一気読み必至の“本格ミステリー×医療サスペンス”。著者初の文庫書き下ろし!

      **************************
 


甦る殺人者
天久鷹央の事件カルテ 3

知念実希人
新潮文庫



2021/3/6
平成29/11/1 発行
 都内近郊で若い女性が次々と首を絞められ、惨殺された。警察は現場に残された血痕のDNA鑑定を行い、容疑者を割り出すが、それは四年前に死んだ男だった…。止まない殺人劇。メディアに送りつけられる犯行声明文。これは死者の復活か。あるいは、真犯人のトリックか。天医会総合病院の天才女医・天久鷹央は事件の裏に潜む“病”を解き明かし、シリアルキラーに“診断”を下す。殺人鬼は、何者なのか。戦慄の医療ミステリー!

      *****************************

 


幻影の手術室
天久鷹央の事件カルテ 2

知念実希人
新潮文庫



2021/3/5
平成28/9/1 発行
手術後のオペ室で起きた医師死亡事件。記録用のビデオに録画されていたのは、一人の麻酔医が「見えない誰か」と必死に格闘し、その末に絶命する場面だった。手術室は密室。容疑者は全身麻酔で身動きのとれない患者のみ。西東京市・清和総合病院で起きた不可能犯罪に対し、天才女医・天久鷹央は独自の捜査に乗り出すが…。事件に隠された“病”を解き明かす、本格医療ミステリ。

       **************************

 天医会総合病院に「レンタル猫の手」として救急部に出向してから9ヶ月になる小鳥遊(たかなし)優。推理カルテのWとXの間の物語になる。
 長い話だが一気に読んでしまった。
 透明人間との格闘・・・・・・ああ、そういうことだったのか、と驚きとともに、たくさんあった伏線が見事に解説されていくのは見事だ。

 なかなか見事な本だと思うのに、図書館ではヤングアダルトの棚にあって、大人の目にふれにくい。表紙もライトノベルという感じになっていて惜しい。


天久鷹央の推理カルテ X
神秘のセラピスト
知念実希人
新潮文庫



2021/3/1
平成29/3/1 発行
 白血病が再発し、骨髄移植でしか助かる見込みがない少女・羽村里奈。だが、複数回に及ぶ化学療法を経ても病気が完治しなかったことで医療不信に陥った彼女の母親は、移植を拒否し、左手に聖痕を持つ預言者の言葉に縋るようになってしまう…。少女を救えるのは、医療か、奇蹟か。神秘的な現象を引き起こす“病気”の正体とは。天医会総合病院の天才女医・天久鷹央が奇蹟の解明に挑む。(Bookデータベース)

         ****************************

 


天久鷹央の推理カルテW
悲恋のシンドローム
知念実希人
新潮文庫



2021/2/27
平成28/2/1 発行
 天医会総合病院の看護師、相馬若葉から友人の殺害事件について相談をうけた天久鷹央と小鳥遊優。喜び勇んで謎の解明にあたる鷹央だったが、その過程で“事件から手を引く”と宣言する。なぜ、彼女ではこの謎を解けないのか。そして、死の現場から“瞬間移動”した遺体に隠された真実とは―。驚きのどんでん返しと胸を打つクライマックスが待つ、メディカル・ミステリー第4弾。 (Bookデータベース)

      ************************

 クッシング潰瘍、アンドロゲン不応症など、聞いたことのない名前が続く。不思議な事件だと思っても、こんな症例のせいだったりする。

 深刻な症例だったりするが、このコンビ、なんとも憎めない2人で、このやりとりが好きで読んでいる。


天久鷹央の推理カルテV
密室のパラノイア
知念実希人
新潮文庫



2021/1/14
平成27/6/1 発行
 呪いの動画によって自殺を図った女子高生。男性に触れられた瞬間、肌に異常をきたす女性。そして、密室で溺死した病院理事長の息子……。常識的な診断や捜査では決して真相にたどり着けない不可解な事件。解決できるのは、怜悧な頭脳と厖大な知識を持つ変人女医・天久鷹央(あめくたかお)、ただ一人。日常に潜む驚くべき“病”と事件の繋がりを解明する、新感覚メディカル・ミステリー第3弾。(Bookデータベース)

      *******************************

 


天久鷹央の推理カルテU
ファントムの病棟
知念実希人
新潮文庫



2021/2/13
平成27/3/1 発行
 炭酸飲料に毒が混入された、と訴えるトラック運転手。夜な夜な吸血鬼が現れる、と泣きつく看護師。病室に天使がいる、と語る少年。問題患者の巣窟たる統括診断部には、今日も今日とて不思議な症例が舞い込んでくる。だが、荒唐無稽な事件の裏側、その“真犯人”は思いもよらない病気で……。破天荒な天才女医・天久鷹央(あめくたかお)が“診断”で解決する新感覚メディカル・ミステリー第2弾。(Bookデータベース)

    ******************************

 


天久鷹央の推理カルテ
知念実希人
新潮文庫



2021/2/1
平成26/10/1 発行
 統括診断部。天医会総合病院に設立されたこの特別部門には、各科で「診断困難」と判断された患者が集められる。河童に会った、と語る少年。人魂を見た、と怯える看護師。突然赤ちゃんを身籠った、と叫ぶ女子高生。だが、そんな摩訶不思議な“事件”には思いもよらぬ“病”が隠されていた…?頭脳明晰、博覧強記の天才女医・天久鷹央が解き明かす新感覚メディカル・ミステリー。

      ********************************
 
 天久鷹央は、アスペルガー症候群、大義のサヴァン症候群による超人的な記憶力・計算力・知能の持ち主で、病院の各科で「診断困難」とされた患者や外部から持ち込まれる不可解な事件を診察”して診断”を下し、何度も難事件を解決している。その反面、不器用で採血が出来ず、運動神経が鈍くてよく転び、視覚過敏で外出時はサングラスを使用し、聴覚過敏で人が多いところが苦手で、予想外のことが起きるとパニックになりやすく、偏食でカレーライスと甘いものしか食べない、というユニークなキャラクター。
 本作の語り手は、内科医見習いの小鳥遊 優(たかなし ゆう)。29歳。鷹央から「小鳥」というあだ名を付けられ下僕扱いされている。
2人のコンビが楽しい。

 不思議な事件を解決していくのが素晴らしい。著者の医師としての知識が生かされたミステリー。
 

読書日誌Top

inserted by FC2 system