高野 裕美子



一九五七年北海道函館生まれ。立教大学卒。
海外冒険小説の翻訳家を経て、二〇〇〇年『サイレントナイト』で、光文シエラザード財団主催の
日本ミステリー文学大賞新人賞受賞。
以降、数々のエンターテインメント小説を執筆。主著に『ベルーガの伝言』(毎日新聞社)
『九竜に昇る日は』(集英)『マリン.スノウ』(新潮社)『キメラの繭」(光文社一『朱雀の闇』(光文社)がある。
航空自衛隊機に搭乗するなど、アグレッシブな取材をもとに描かれる
臨場感あふれる作品に定評がある。


ホット・スクランブル
緊急発進

高野裕美子
徳間書店



2021/1/11
2006/9/30 発行

 航空自衛隊小松基地のパイロット辰巳彰一尉は機密プロジェクト“ホット・スクランブル”の訓練要員。緊迫するアジア情勢―日本の空の安全を守るという危機意識から生まれたそれは未来型シミュレーターで、仮想敵国とのあらゆる状況での戦闘を模擬訓練できる。ある日辰巳は訓練中に灰色の雲に突入、その後、未知の機体との熾烈なドッグファイトに巻き込まれた。その正体は―。

 中国の最新鋭機が突然、ミサイル攻撃開始!?高度3万フィートの上空。日中のトップガンたちの熾烈なドッグファイトが始まった!尖閣諸島の油田をめぐる闘いの背後に、中国社会の複雑な闇と抗争が…。

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 シミュレーターを通して30年後にワープしてしまう・・・ん?
 こういう展開は嫌いでは無いが、それにしても不自然や違和感が多い。
 両親が殺され、妹は行方不明。ソレがなぜ起こったのかが謎のままで解決しなかったり、妹の婚約者が中国で犯人捜しをしていたが、その後の話がなかったり、伏線がたくさんあってもソレを回収しきれてない。

 女性なのに戦闘機のことを良く取材して描いているな、と思ったが、他の人の感想によれば突っ込みどころ満載だそうだ。
 作者は何を伝えようとしてこの物語を作ったんだろう。

 2008年、くも膜下出血で急逝、50歳没。
 


サイレントナイト
高野裕美子
光文社



2019/3/25再読
2004/1/12
2000/3/30 発行
暴力団荒木田組の幹部が乗った車が爆破された。同じ日、荒木田組と過去に関係のあった鶴見雅彦が興した航空会社の飛行機に爆弾が仕掛けられていた。2つの事件は意外な関係性をみせ…。日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。(Bookデータベース)

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 15年も前に読んだことがあったのに全く気付かなかったのでショックだった。面白かったのになあ。


神の箱舟



高野 裕美子


小学館





2006/10/17
 中国が世界で3番目となる有人宇宙船〈神舟5号〉を打ち上げた。軍事偵察衛星が搭載されているのでは、という噂が流れている。

 上海の北、義鳥(イーウー)市の「小商品城」という日用品卸売市場の末広は日本へ100円ショップの商品を卸している。台湾マフィア〈新竹会〉が軍から盗み出したものが紛れ込み、成り行きで日本の女子高生の未来(みく)に渡る。
 時計は〈光矢(グアンシー)〉といい、竜頭を操作すると、キーパッドになったりトラの画面になったり地図になって皇居など東京の地図が表示される。
 女子高生と怪しい時計を追うのは、軍と〈新竹会〉と、どこかに機密情報を売っているナノテク会社勤務の、小田切。
 
 時計がミサイル誘導装置と知った未来、ゆかりの二人は、はねっかえり女子高生ではあったが悪人には渡すまいと時計を守ろうとする・・・・・・。
 アメリカの気象衛星は原因不明の故障になり、ナビが狂う。

 女子高生が誘拐され中国へ連れ去られたり、台湾マフィアに助けられたり、女性探偵のバイクに乗って疾走したりするが、殺伐とした場面はなく、秘密を知った為に事故に見せかけて殺されるという事件も起こらず、中国の軍の機密を知ったにもかかわらず無事でいるのは不自然で甘いと思ったが、そこがいいところかもしれない。
 小田切の浮気調査をしている探偵理紗と息子、小田切と息子、末広と高校生の娘など、家族についての描写はあたたかい。
 探偵家業で家事をできない母に代わって小学生の息子が食事を作って喜ぶ、母との対話の場面はステキで、探偵理紗の仕事ぶりはカッコイイ女性像になっている。



マリンスノー



2004/2/12


キメラの繭


2004/1/27



ベルーガの伝言



2004/1/9



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