高杉 良



腐食生保

上・下


高杉 良

新潮社




2007/2/1

2006/11/15 発行
 
 総明な社長候補の急死をきっかけに創業者一族の手を離れた、業界のガリバー・大日生命。権力欲、嫉妬、保身が入り乱れた末に社長の椅子を手にいれたのは人事マフィアと呼ばれる無能な副社長・鈴木だった。
 
「一選抜」エリート・吉原周平の目を通して、戦略なき役員や、恐怖政治に追従するだけの本部スタッフ、トップの醜い公私混同、ノルマに責め立てられる現場の様子などが描かれる。

 吉原が現場に飛ばされ生保レディ38人を指揮しノルマを達成していく場面、生々しい生保レディの実態によくここまで調べたと驚く。
 主人公が腐りきったトップを批判し、
自分の正義を貫く姿勢には共感するが、風評営業もするし、不倫を当然のようにやり、生保レディが女を武器に契約を取ることも是認し、どうも読んでいてすっきりしなかった。
 生保の内幕は興味深かったが、主人公が清廉潔白でないと正義が正義に見えてこない。
 それにしても、現場の苦労も知らず、出世のためにゴマすりばかりしていて仕事をしているように見えない役員達のひどさが浮き彫りになっていた。
 「ノルマ生保」ひどいノルマの為、必要でもない商品を口のうまさで売りつけられてきたのかというのが印象だった。
 
 「週刊ダイアモンド」に04/12〜06/8に連載された1回〜85回まで


      
乱気流 上 下

―小説・巨大経済新聞

高杉 良 著






2004/12/7
もうほとんど実名と言ってもいい程の名前で書いている。まるで見ていたかのように。
 新聞社の中で良識があり愛社精神もある記者を中心にすえて、ワンマン社長とその周辺の野心家たちの人間模様とリクルート以降の日本経済事件史だ。社長の愛人への公私混同した金の使い方もひどい。経済専門誌として他の企業について報道するべき立場にあるものの内部が腐っていては責任のある記事は書けない。日経新聞の目玉の「私の履歴書」の内幕についての記述も興味深い。現在進行中の出来事で、日経新聞元社長は単行本差し止めや慰謝料請求の訴訟を起こした。


会社蘇生
高杉 良
講談社文庫


 宝石、カメラ、ゴルフ用品などの高級ファッション、レジャー商品の輸出しにせ入で知られる老舖の総含商社=小川商会(本社東京)が総額千百億円もの負債を抱え、東京地裁民事八部に会杜更生法の適用を申請してきた。千百人にのぼる従業員とその家族を守るため、保全管理人=宮野弁護士の必死の戦いが始まる。商社再建に賭ける男たちの感動の長編!

 

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