三島由紀夫



奔馬
豊饒の海(二)
三島由紀夫
新潮文庫



2023/6/2

昭和44/2/ 新潮社より発行
昭和52/8/30 文庫発行

 親友・松枝清顕を看取った本多繁邦の前に、清顕と同じく脇腹に三つの黒子をもつ青年・飯沼勲が現れる。腐敗した政財界と疲弊した社会を変えんと志す勲は、右翼塾を主宰する父や塾生、恋人や財界重鎮らに翻弄され孤独を深めていく。本多の見守るなか、純粋さを求める青年は、たった一人の叛乱へひた走るのだった――。愛と裏切りが渦巻く『豊饒の海』第二巻。  若者の純粋な行動を描く

 解説ー村松剛

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美しい星
三島由紀夫
新潮文庫



2007/8/3

三島由紀夫が空飛ぶ円盤を書いているどんなSFになっているんだろうという興味だけで読み始めてみたものの・・・・・・・。

 地球とは別の天体から飛来した宇宙人であるという意識に目覚めた一家を中心に、核兵器を持った人類の滅亡をめぐる現代的な不安を、SF技法を駆使してアレゴリカルに描き、大きな反響を呼んだ作品。

 宇宙人から見たら、地球人を客観的にとらえることができるから、その視点を使いたくてこんな設定にしたものと思われる。だから、はっきりいってSFではない。SFを期待してはいけない。

 自分を地球人だと思い込んでいる    と、三人組とが出会って、議論しあう所は見どころで、


金閣寺

三島由紀夫

新潮文庫




2007/5/30
 昭和25年の夏、京都の鹿苑寺の金閣が、当時21歳だった若き学僧・林承賢の放火で消失した事件を素材として、6年後に書かれた。

 舞鶴の辺鄙な岬の寺の住職の子、溝口は、身体も弱く吃音があり引っ込み思案だった。父の死後、遺言どおりに金閣寺の徒弟になった。 母は、彼が金閣寺の住職になることを熱望した。
  徒弟仲間の鶴川とともに大学へ通う。  柏木という内纏足の男と知り合いになってからは、鶴川と疎遠になっていたが。  鶴川の突然の死によって明るい世界との接点を断たれ、独善的な柏木と付き合うことで学業はおろそかになる。
 自分は金閣寺に翻弄されている・・・・・・「美の象徴である金閣を焼かねばならない」と放火を決意する。

 簡潔な言葉による表現が現代の主流だから、難しい漢字、使ったことの無い言い回しなどがあると戸惑いもあったが、日本語はこんなに表現力が豊かだったと改めて感じた。さすがは文学者。ただ、僧がなぜ金閣寺を焼いたかの方に興味があると、三島の構築した僧の心理の動きは、作為的で素直に入っていけない気がした。三島の美学を表現したものだろう
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