今野 敏


1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。卒業後、
レコード会社を経て執筆に専念。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、
08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞(


天を測る
今野敏
講談社



2023/11/28
2020/12/21 発行
安政7(1860)年、咸臨丸が浦賀港からサンフランシスコを目指して出航した。太平洋の長い航海では船室から一向に出てこようとしない艦長・勝海舟を尻目に、アメリカ人相手に互角の算術・測量術を披露。さらに、着港後、逗留中のアメリカでは、放埒な福沢諭吉を窘めながら、日本の行く末を静かに見据える男の名は、小野友五郎。男は帰国後の動乱の中で公儀、そして日本の取るべき正しい針路を測り、奔走することになる―。知られざる幕末の英雄の物語!

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    今野さんは警察モノだけでなく歴史も書くんだったんだ!
 今まで読み慣れた薩長史観、司馬史観とは違う角度からの幕末から明治への物語はとても興味深い。勝麟太郎や福沢諭吉の扱いが面白い。

 ソロバン侍と、一言では言えないが、計算に強い軍艦奉行は、歴史の表舞台に華々しく出ては来ないが、日本を支え続けた人たちだ。
 新政府は、実務ができなくて結局は徳川幕府の役人だった人たちに助けてもらいながら日本丸を動かすことになった。優秀な人たちが惨殺されていなければもっと日本は良くなったかもしれないと、小栗上野介などの斬首に思う。


神々の遺品

今野敏

双葉社



2018/10/27
2000/7/10 発行
アメリカで超常現象研究チーム『セクションO』が忽然と姿を消し、日本では著名なUFOライターが殺された。事件の鍵を握るのは、オーパーツと呼ばれる摩訶不思議な太古の文明の足跡だった。神話、宗教、古代遺跡…。宇宙と人類の歴史を紐解く、超伝奇ミステリー

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 先に読んだ「海に消えた神々」の方が続編。
 どちらの本も、遺跡とかオーパーツとか、関心のある事柄を扱っているので読んでみた。

 アメリカの国防長官をも丸め込み、古代の謎を解き自らを人類の救世主であると信じる危険人物「シド・オーエン」とそれを阻止しようとする人々の物語。
 シド・オーエンに利用されたアメリカ国防総省のジョーンズ少将、人探しを請け負った元刑事で私立探偵の「石神」、バチカンが送り込んだ神父、KGBの後継組織FSBが送り込んだロシア人、そして警察とが絡んだ事件。

 ジョーンズ少佐とその部下がいつまでも無事でいられたのが不自然な気がしたが、そうしないと物語が解決しない。

 今までに読んだことのある古代文明、宇宙、神などの様々な説が紹介されている。
 おかしいのは、探偵の石神が全くパソコンができなかったり、DOS/Vマシン という今時の若い人にはもうわからないかもしれない言葉が出てきて、驚いた。いつの物語だ!


海に消えた神々
今野敏
双葉社

2018/10/15
2002/9/25 発行
 探偵・石神のもとに1人の少年が訪ねてきた。「友達のお父さんが自殺しました。でも、自殺じゃないかもしれないんです。それを調べてもらえませんか?」―高名な大学教授が自殺した。その背後には、沖縄・海底遺跡の発掘についての疑惑があった。その発掘は偉業か捏造か!?古代遺跡をめぐる人間達の相剋を描いたミステリー。

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 沖縄の海に眠る海底遺跡について


ST 警視庁科学特捜班
黒いモスクワ


今野 敏


講談社文庫




2011/1/30

2004/1/15 発行
 ロシアの捜査当局と情報交換のために急遽出張せよーー。モスクワに到着した警視庁科学特捜班、通称STの百合根と赤城を待ち構えていたのは、ロシア正教会で起きたマフィア怪死事件だった。さらに、日本人フリーライターも変死して・・・・・・。STシリーズ第三弾。(裏表紙)

 黒崎勇治。古武術の流派を渡り歩く彼は、1年前に総合武術・美作竹上流に入門してすでに中伝免許を得ていた。モスクワで行われる美作竹上流のセミナーを指導する。ロシアの宗徒のために経をあげにいくという山吹才蔵もロシアへ。
 百合根と赤城もFSB(連邦保安局・元KGBの4つに分割されたうちの一つ)との情報交換のための出張でロシアへ。
 百合根たちの面倒を見るFSBのアレクは、担当中の事件の合同捜査を持ちかける。ロシア・マフィアのボスが、買い取ったロシア正教会の地下室で爆死した奇妙な事件だ。現場となった教会は、怪僧グレゴリー・ラスプーチンと関係があるといわれ、ポルターガイスト現象がおきていたという。死亡したマフィアは、チベットの伝説にある地下理想郷シャンバラの研究家でもあった。 
 事件の取材に来たオカルト専門の日本人フリー・ジャーナリストが教会で死亡したこともあり、青山と結城、菊川もモスクワに派遣し、異国の地で終結したSTが、不可解な謎と、ロシアの闇に挑戦する。(あらすじ)

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 特捜班のメンバーはそれぞれが個性が強く魅力があり、彼らの特長を生かした活躍が見もの。
 本作は、それだけでなく、社会主義崩壊後のロシアの状況や、ラスプーチンやシャンバラの伝説、現代の武術の有り様、ポルターガイスト現象など、お楽しみが盛りだくさんだ。一気に読んでしまった。「黒い・・・・」タイトルの色は、今回中心に活躍する黒崎の名前からきている。


ST 警視庁科学特捜班
今野 敏
講談社NOVELS

2010/1/22
1998/3/5 発行
 多様化する現代犯罪に対応するため設置された「警視庁科学特捜班」、略称ST。プロファイリング担当の青山は、一般の捜査陣が典型的な淫楽殺人であると断定した事件に、一人、異を唱えた。くり返される猟奇犯罪。青山だけが気づいた犯人像の「矛盾」。ノベルスの面白さの原点に立ち返った大快作、ここに誕生!

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ST 警視庁科学特捜班
黒の調査ファイル


今野 敏
講談社NOVELS
2010/1/1
2005/8/4 発行
 暴力団詐欺グループに復習しようとする役者志望の若者たちに加勢することになったST黒崎。新宿の密室発火事件の科学捜査から中国人マフィア退治へと進み、科学エリートギャングと武闘派用心棒コンビとの対決へ。
無力な若者たちの正義の戦いは実を結ぶのか?武術の達人黒崎が挑戦するシリーズ最凶の犯罪集団!

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隠蔽操作



今野 敏



新潮社






2009/12/25

2005/9/20 発行
 竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。その朴念仁ぶりに、周囲は〈変 人〉という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身を捧げるべきだ。私はそれに従って生きているにすぎない、と。組織を揺 るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。警察小説の歴史を変えた、吉川英治文学新人賞受賞作。

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 主人公、竜崎にとって東大以外は大学ではない。東大を出てキャリア官僚になる。官僚は国の為に働くものだという強い信念を持っている。あまりに融通のきかない堅物に描いているので、すこしばかり滑稽に感じたくらいだ。
 著者は、どういうつもりでここまで堅物にしているのか、上昇志向が強いし、周りに気を配り世渡りもそつなくこなしているように見えるが・・・・。

 堅物で1本芯が通っている、いささか変人の男が、警察の隠蔽体質を阻止しようと考えて行動していく中で、どこかでこけさせるのかと思っていた。
息子が部屋で、ヘロインを使ったところを見て、自首させようと考える。へえー、バカじゃないのかと思ってしまった。誰も知らないのだから簡単にもみ消せるのに。

 さすが、作家だ。どうなるのかと、ハラハラしたが、(以後、ネタバレあり)真面目で堅物で変人と思われているキャリア官僚のまっすぐな官僚としての誇り、警察機構を守ろうとする姿勢が良い結果をもたらすようになっていくのだ。妻も、息子の罪をもみ消さなかったことで夫を誇らしく認めるのだ。う〜〜ん。私にはできない。

 役人の上下関係や、出世していく為の様々な日常の行動が、面白かった。


TOKAGE
特殊遊撃捜査隊
今野 敏
朝日新聞社

2009/12/18
2008/1/30 発行


花水木
今野 敏
ハルキ文庫


2009/11/27
2009/4/ 発行
 五月も終わりかけた東京湾臨海署に喧嘩の被害届が出された。ささいな喧嘩でなぜ、被害届が?疑問を抱く安積班の須田は、事件に不審な臭いを感じ取る。だ が、その頃、臨海署管内に殺人事件が発生。殺された被害者からは複数に暴行を受けたらしい痕跡が…。殺人事件の捜査に乗り出す安積たちだったが、須田は、 傷害事件を追い続けることに―。それぞれの事件の意外な真相とは!?(「花水木」より)五編を収録した新ベイエリア分署・安積班シリーズ

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ST警視庁科学特捜班
毒物殺人


今野 敏

講談社文庫



2009/11/17
2002/9/15 発行
 東京都内で、毒物による変死が連続して発生。捜査に乗り出す、警視庁科学特捜班の五人のメンバーたち。事件の背後には、なぜか宗教とオカルトの影が?墨染 めの僧衣に身を包む第二化学担当、山吹才蔵は全ての謎を「事件の構図」に収めることができるのか!?あらゆる面白さを一冊に詰め込んだ、これぞノベルス。

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