『 朗読者 』 ベルンハルト・シュリンク

本書はボストン・ブックレビュー誌のフィスク・フィクション賞を獲得した。
賛否が分かれる作品。

読書会    記録                       2005年2月16日
M・I ひさびさにしっかり読み、話に参加する事ができました。文章の描写が二度読むほどに味わいがあると、書いていましたのでもう一度読んでみたいです。
K・I 文盲が故に戦争犯罪人の汚名を甘んじて受け、朗読者との若き日の交際を胸に秘め、服役中に朗読を通して読み書きを覚えた。ひたむきなその努力に感銘を受けたが最後に自殺したのは意外だった
R・K 井上文学のあとに読んだためか、とてもじれったい気持ちをもちつつ、いつもよりは80%まで読んだけれど、あまりなじめずに進んでしまった。最後まで読んでみるけど、もう一度は辞退します
T・S 前半はがまんして読みました。なぜこれがベストセラーなんだ、なぜいくつもの賞を取ったりするわけ?とか思いながら。後半の展開は次第に退屈さがなくなり、それどころか、いろいろなことを考えさせられて、結構忙しかった記憶があります。読書会では賛同を得られなかったけれど、子の世代が戦争に加担した親の世代を糾弾するということは私にとってほんとに新鮮でした。加担せざるを得ないように教育され情報操作されていたんだから一般人の責任を問うのはむごいことではないか、そこで私は思考停止していることに気づきました。他にも気になる視点があったし、この本を読んで良かったと思っています。
H・T 戦争犯罪の裁判が、戦後20年後に行われていた事実への驚きもですが女性のハンナが、裁判長の質問に対して「あなただったら何をしましたか?」と問い返すシーンがあります。非常に印象に残ったところです。それと、今の日本に文盲はいないと思いますが文盲の人は社会生活が阻害される要素がおおきいんだということもわかりました。読んだ後に、切ない気持ちがのこる本でした
S・M 報告書を書いた人は誰か?筆跡鑑定をしようとした時、自分が書いたと言ったハンナ、文盲が露見するのをなぜ恐れていたのか、それ以上の犠牲をはらってまで・・・・。今まで読んだ海外文学の中で一番感動した本です。
J・Y 読後にすっきりしない感じ、疑問が残る本でした。世界中で感動を呼んだと聞いていますが、私の感動はイマイチでした。
T・Y 第二次世界大戦、ヒトラーの命令による大虐殺の末端に係わったハンナのとても重たく悲しい人生。裁判を不利な対応により長期刑に服し、社会での再出発をよしとせず自殺の道を選択する最終章、最後まで普通の幸せを?むことができない人生、何と表現すればよいのか私には分かりません
M・M (裏表紙のコメントを読んで)『朗読者』を読んで最初期待してしまったので、初めのほうがなんなんだろうとばかり思ってしまいましたが、だんだん読んでいくにつれて、字が読めない事などが分かり話がつながり、良かったです。(感動したような、物足りなかったり)
Y・Y 後半に何かが起こるだろうと想像しなければ、前半が退屈、いったい何がいいたいの?と。若い男性と年上の女性の恋愛だけならつまらない。後半を読んでからはナチがテーマじゃなかったの?と疑問を持ち、他の方の感想を聞いていて、文盲もかなりのウエートを占めているとわかったけれど設定の不自然さが気になり、全体にはっきりしない印象をもった。なぜ評価が高いのかが分からない。
訳者あとがき この物語の1番の特徴は、かつて愛した女性が戦犯として裁かれることに大きな衝撃を受けながらも、彼女を図式的・短絡的に裁くことはせず、なんとか理解しようとする主人公ミヒャエルの姿勢にある。彼女の突然の失踪に傷つき、法廷での再開後に知った彼女の過去に苦しみ、しかしそれでも彼女にまつわる記憶を断ち切ることはせず、十年間も刑務所に朗読テープを送り続けた。彼の律儀さ、粘り強さには、ある種のドイツ人らしさが表れているように思う。
 前の世代が犯したナチズムという過失を見つめ続けることを余儀なくされ、それによって苦しむ体験はこの世代には共通のもの。しかしミヒャエルは距離をとりつづける。

 シュリンクは声高に物を教えることではなく、ここで語られる事件についての判断を読者に委ねている。
参考 amazonレビュー 年上の女性と何がしかの経験のある現在ある一定以上の年齢の男性だけが楽しめる小説、後半のナチ裁判も歴史の再審も本筋とはまったく関係がなく、中年男が昔の女性の記憶を甘く苦くネチネチネチネチ舌の上に転がして何度も何度も反芻する楽しさを非常にうまく再現した作品。


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