読書会  栞  記録                        20041118

 

     松本清張    「砂の器」            

 

今井  この作品の奥深いところにあるものに、作者の言わんとしていることをくみとることができる。私は約25年程前に見た映画がとっても印象に残っている。あの映画は原作をこえるほどのできばえでなかったであろうか。今でも新しく、又、再度見たいものである。

入蔵  松本清張ならではの動機とトリックの設定に引き込まれ意外に短い時間で読み切ることが出来た。

川上  久しぶりにどんどん読み続けました。人間の悲しさをかみしめつつ、犯人を最後まで読みとれない事がショックでしたが、定期会で優しい仲間達になぐさめてもらい仲間の良さをかみしめました。これからもよろしく。

川名  松本清張の小説には行間に太い線が流れているように思う。普通のスリラーとは違ったものが見える・・・・・。東北弁では「羽後亀田」と「奥出雲亀嵩」の違い、又風景とか、生活、伝説、方言など巧みにとり入れ作品に幅と奥行き、あるいは反転して意外性をふくませることがあるという。砂の器は何か暗い闇のようなものを感じるが面白く読ませていただきました。

鈴木  むかし昔、時間を忘れて読み耽った清張作品なのに、今回「砂の器」を読み返してみて「あれっ?こんなに偶然に頼った展開だったかしら」と、正直がっかりしました。昭和30年代の暮らしぶりがほのみえるところなどはなつかしく読みました。

田中  清張ファンの私としては懐かしい本です。特に親子の放浪の場面は私の母から聞いた話(母の実家は時々放浪の乞食をとめたりしていた)等を思い出してしまいました。ハンセン病にしても私の伯母にハンセン病の人と結婚した人がいるので他人事とは思えなかったです。

玉置  今、松本清張の作品が脚光を浴びていると知ったとき、テレビドラマは見ていないが取り上げられた「砂の器」を読み終えた事は意義あったこ事と思われた。今まで3つ、4つ作品は知っていても読みきる事がなく後悔している。「砂の器」では本当に深い人間の悲しみ、人間ドラマの深さにひかされた中で完読出来た事は嬉しかった。これから私の読みたい作家の中の一人として入って来るかと思う。皆さんの様に深い読みは出来ないが刑事物もなかなか面白いと思った。

松田  何年か前に読んだ「砂の器」久しぶりに読み、昔の本だなと思ってしまった。殺人を犯してしまった犯人の思いが文になっていないのがものたりなかったです。

山西  松本清張は若い頃から聞き慣れた名前です。いろいろな作品があって、意味の深いもの、浅いものなどありますが「砂の器」はハンセン病と戦後の戸籍問題をバックに一人の人間の人生のつらさやはかなさを描いた作品で、時代を思い出す要素が数多く組み入れられていて、昭和の代表作になるものかなと思いました。

横山  「砂の器」人間の業、いつもながら深く掘り下げ描かれていると思います。殺人事件を扱っていながら少し救われる思いです。

渡辺  学歴、家柄、地位、名誉、何もないところから中年作家としてデビューした松本清張氏。「何もない」というコンプレックスを力に数々の作品を生み出していったと思う。又、探究心、好奇心も旺盛でそれが入蔵さんが言ってみえた三万冊の蔵書につながっていくのであろう。文学者にはなりきれなかったが、しかし推理作家として日本の文壇に確かな足跡を残した人物だと思う。

山田  久しぶりで読んでみたら、思ったほどしんどくもなく、文章も難しくないので一気に読みました。昔から邪馬台国論争では中心人物だったので、その推理力や洞察力で謎を解決して欲しいと期待していました。幅広い研究が小説にも生きていると思います。

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