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小暮写真館

宮部みゆき

講談社




2019/12/2

2010/5/15 発行
 築三十三年、木造二階建て。臨死状態の古びた商店街にひっそりと佇む「小暮写眞館」。都立三雲高校に通う花菱英一は、両親の趣味により、この写真館に住むことになる。そして、弟を含めた家族四人の暮らしが始まった矢先、ひとりの女子高生が持ち込んだ不思議な写真をめぐる謎に、英一自身も関わることになり…。写真に秘められた物語を解き明かす、心温まる現代ミステリー。

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 第2話   世界の縁側   高校の先輩に呼び出された花菱英一は、当事者に話を聞くことなく、三年前に撮影された写真の謎を解明するよう言い渡される。困惑する英一だったが、親友の店子力や同級生の寺内千春の助力を得て、当時の出来事を調べ始める。唐突に破棄された婚約。父親の病死。涙を流す家族。一枚の写真に隠された物語とは?現代を生きる人の温もりと優しさを描き出す
 第3話   カモメの名前   顔馴染みになった不動産屋の社長から渡された一枚の写真。そこに写る不格好なぬいぐるみを「カモメ」と断言する少年は、不登校の小学生だった。クラスの人気者で、成績優秀の彼は、ある日突然、学校に行かなくなった。その原因と「カモメ」はどう関係するのか……。相談を受けた花菱英一は、関係者に話を聞く中で、ある映画に行き当たる。家族の絆に思いを馳せる、心震わす物語。
 第4話   鉄路の春     花菱英一の父親が家出した。理由を問う息子に対し、祖父危篤の知らせを受けて、縁を切った大船の実家に行くかどうかで母親と喧嘩をした、と弁明する秀夫。夜風を浴びながら、二人は生家と断絶する契機となった七年前の出来事、妹・風子の死について語り合う。そうした中、今度は垣本順子の抱える過去と問題が明らかになる――。

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 なかなかしっかりした高校生だ。
 どの話も、ちょっとほっこりするような・・・・・・。

 ミステリーというほどでもないけど。

 


お札に描かれる偉人たち
楠木 誠一郎
講談社



2019/11/21
2019/10/15 発行
著者ーーー960年、福岡県生まれ。歴史雑誌編集者を経て作家となる。『黒田官兵衛 天下人の軍師』『西郷隆盛 最後の武士』『織田信長 乱世の風雲児』『新選組 命がけの青春』(以上、講談社火の鳥伝記文庫)、『ナポレオンと名探偵!』『クレオパトラと名探偵!』『ベートーベンと名探偵!』『マリー・アントワネットと名探偵!』(以上、講談社青い鳥文庫)、『知らなきゃよかった世界の大偉人展』(講談社)など著書多数。

 2024年、ニッポンの紙幣のデザインが変わる。渋沢栄一(実業家)、津田梅子(教育者)、北里柴三郎(細菌学者)が、どのような時代を生き、どのような足跡を残し、それが今日の日本の発展にとって、どのようなつながりがあるのか、青い鳥文庫でおなじみの歴史ミステリー作家が、教科書には書かれていない偉人たちの伝記を書きおろし。(Bookデータベース)

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 人物の人となりと業績が、要領よく簡潔に、分かり易く書かれていて、とても良かった。


盤上の向日葵
柚月 裕子
中央公論新社



2019/11/4
2017/8/25 発行
さいたま市天木山山中で発見された白骨死体。唯一残された手がかりは初代菊水月作の名駒のみ。それから4ヶ月、叩き上げ刑事・石破と、かつて将棋を志した若手刑事・佐野は真冬の天童市に降り立つ。向かう先は、世紀の一戦が行われようとしている竜昇戦会場。果たしてその先で二人が目撃したものとは! ?

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宝島

真藤順丈

講談社



2019/10/18

2018/6/19 発行
著者ーーー1977年、東京生まれ。2008年「地図男」で、第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞しデビュー。同年「庵堂三兄弟の聖職」で第15回日本ホラー小説大賞、「東京ヴァンパイア・ファイナンス」で第15回電撃小説大賞銀賞、「RANK」で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。他に「畦と銃」「墓頭」「夜の淵をひと廻り」がある。
 本作は第9回山田風太郎賞&160回直木賞受賞!&第5回沖縄書店大賞受賞!

英雄を失った島に、新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染み、グスク、レイ、ヤマコ。生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり―同じ夢に向かった。(Bookデータベース)

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 たくさんの賞を取っているようだが、それほどの凄さは感じない。
 直木賞の選者の言葉より、ネット上の感想の方が面白い。

 小説として一風変わってる物語のスジだけ、資料まんま、などを、新聞の文章より味気ない文章で、長さだけは長々と綴るという「小説」がはやってきて、いまや、エンタメ小説の主流となっているという文を読んだ。どの賞も、選考委員の顔ぶれを見れば、それらの人々が大した作品を書いてないのだから、まー、しかたない世界とも。

 沖縄の歴史は、わかったが、極端な思想の偏りも感じられた。
それなりに面白かったが、取って付けたようなストーリーで、賞を取るほどのものか?と感じた。
「戦果オギヤー」という言葉が繰り返し出てきて鼻につく。泥棒集団の不良達を持ち上げすぎだし、そのリーダーを神格化したり、どれほどの事かと思ったら、なんてことなかったり、凄く違和感のあるストーリーだった。


日本人の9割が答えられない
理系の大疑問100

話題の達人倶楽部(編)


2019/10/9
2017/5/20 発行
「料理・食べ物」などの身近な不思議から、「IT・デジタル」「宇宙・天体」「医学・人体」「地球・気象」「ノーベル賞の最先端科学」の疑問まで、一般向けにやさしく説明した本

うなぎ屋の「秘伝のタレ」は200年も使い続けて腐らないのか? なぜ心臓だけはガンにならないのか? 「何万光年」離れている星の距離がどうしてわかるのか? 「4Kテレビとは何が4K?」「なぜ地球は自転しているのか?」「どこからを宇宙と呼ぶのか」「砂糖をたっぷり入れたジャムは、どうして腐らない?」「ノンアルコールビールはどうやってアルコールをゼロにしている?」「DNAと遺伝子は何がどう違うの?」「そもそもなぜ地球は丸いのか」といったようなものです。「電卓はなぜ計算間違いをしないのか?」など

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 奈良時代の歌人・大伴の家持は友人にあてた歌の中で「夏バテには鰻(うなぎ)を食べろ」と勧めている。
石麻呂に    吾れもの申す夏痩せに よしといふものぞ むなぎ(鰻)とり食(め)せ
 という歌がある。平賀源内が言い始めただけではなかったようだ。驚いた。


住友を破壊した男
伊庭貞剛伝


江上 剛
PHP



2019/7/15
2019/3/14 発行
 絶対的権力者の専横、目先の利益を追う者たち……すべてを破壊せねば、再生はできない。

 住友家二代目総理事として住友銀行創設などの英断を下し、“住友中興の祖"とよばれた伊庭貞剛。彼の人生は、波乱に満ちたものであった――。幕末、志士として活躍したのち、新政府に出仕して司法界に。その後、叔父であり、住友家初代総理事の広瀬宰平に招聘され、住友に入社する。しかし当時の住友は、別子銅山の煙害問題を抱え、さらには宰平の独断専行が目にあまるほどであった。
住友財閥の中にありながらも、住友を破壊せんばかりの覚悟を持って改革に臨んだ企業人を描き切った、傑作長編小説。

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 住友に入社するまでの前半は、少し読みにくかった。幕末の日本中で若者の魂がたぎっていた頃の貞剛。
 「臨済録」などの引用は、ほんとうにいつもこんなふうに考えたのだろうか・・・・と、不思議に思った。


セイジ
辻内 智貴
筑摩書房



2019/7/4
2002/2/20 発行
著者ーーー1956年福岡県飯塚市生まれ。77年、東京デザイナー学院商業グラフィック科卒業。78年から3年間ビクターレコードにシンガーとして在籍。後、ビクターを離れライブハウスなどでバンド活動を続ける。99年、「セイジ」が第15回太宰治賞最終候補作に選ばれる。2000年「多輝子ちゃん」で第16回太宰治賞、のびやかな文体と作家的資質に対して高い評価をえた。

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 テーマは「人は何のために産まれてきたのか」について考えることだと思われる。いろんな人物が登場し、いい言葉はいろいろあった。それを深く考えていくことなく、唐突に事件が起こり、セイジが驚くようなことをしてしまう。こういう事件にしてしまったというのは、考えることをやめてしまったのか?作者の考える能力を超えてしまった苦肉の策か?物語を作りすぎたような感じである。
 エピローグのりつ子よりセイジのその後の法がずっと気になる。
 この作品に共鳴する人もいるようだが、私にはわからない。なぜ、これが太宰治賞の最終候補なのか?

 「竜二」何をやってもうまくいかない人というのは確かにいる。気の毒だと思う。私にとってはそれだけ。

 セイジより竜二の方が作品としては良かったのではないか。作者の分身、投影された姿?
 生きにくい自分を正当化したような、自己弁護のような作品。


壊されつつある
この国の未来

辛坊治郎
KADOKAWA



2019/4/16
2018/12/20 発行
第1章 官僚がおかしい、政治家がおかしい
第2章 北朝鮮情勢はどこに向かう 
第3章 思いもよらなかった事件が増えている
第4章 メディアを駆け巡る闇

 いつもテレビで言っているようなこと。


君たちはどう生きるか
吉野源三郎
マガジンハウス





2019/4/8
2019/9/17(漫画)

2017/8/24 発行

 今なぜ、昔に書かれた本が注目されているのか?
解説によれば
 「君たちはどう生きるか」は、1935年、小説家・山本有三(代表作:路傍の石)が『日本少国民文庫』シリーズの中の一巻として書く予定でしたが、重い目の病気で書くことができなくなったので、児童文学者・吉野源三郎が代わって書くよう依頼されたとのことです。1935年といえば、1931年の満州事変より4年経ち、日本の軍国主義が日ごとに勢いを強めている時期でした。それとともに言論や出版の自由が制限され、自由な執筆が困難になりつつある中で、山本有三氏は、少年少女を時勢の悪い影響から守りたい、偏狭な国家主義・ファシズムの思想に惑わされず、少年少女に自由で豊かな文化を伝えておきたいという気持ちを込めて書こうと思い立ったそうです。
 国家主義的な動きが進む恐れがある場合、若い人たちがこれに惑わされず、正しく生きて行くための指針として読んで欲しい本だとか。

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 物語(または漫画)と解説(おじさんのノート)という構成になっていて、若者にわかりやすく理解できるように配慮されている。

 大人が読むと、解説がすこしうるさいというか蛇足のような


アメリカと中国
松尾文夫
岩波書店



2019/2/13
2017/1/27 発行
 一七八四年に中国へと辿り着いたアメリカ商船「中国皇后号」―ここから始まった二つの大国の関係は、数百年の歴史の中で、時に対立しながら世界を動かすダイナミズムを様々に生み出してきた。しかしそれは、したたかな「共生」の軌跡でもあった。アメリカを知り尽くしたジャーナリストがその長い歩みに深く分け入り、政治・経済・思想まで様々な文献を渉猟するとともに現地取材も重ね描いた、唯一無二の歴史物語。(Bookデータベース)

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 先に読んだ「銃を持つ民主主義」の続編のつもりで読んだが違っていた。
 ブッシュ以後をこの著者で読みたかったのだが・・・・・・・。

 二つの国の関わりの歴史が非常に詳しく書かれていたが、途中からは詳しすぎてついて行けなくなった。かなり飛ばして最後に至ったので、あまりよくわからなかった。


カルピスをつくった男
三島海雲

山川 徹
小学館



2019/2/7

2018/6/20 発行
著者ーーー

 カルピス誕生100年!!

 誰もが知る国民飲料。その産みの親を誰も知らない。会社の売上げより国の豊かさ、そして日本人の幸せをひたすら願ったカルピス社創業者・三島海雲。筆者は同社OB、遺族のもとを訪ね、遂にはカルピス誕生の地モンゴルに飛んだ――。近代日本を軽やかに駆け抜け、遊牧民の生活から夢の乳酸飲料を着想した男の生涯を辿る人物評伝。

 国利民福は、企業は国家を富ませるだけでなく、国民を豊かに、そして幸せにしなければならないという三島が唱えた経営理念だ。経営者が当たり前に持つべき思想だと感じる。だが、いま、新自由主義がもたらした格差と分断が広がる社会で、社会や他者を顧みる余裕は奪われてしまったのではないか。自己を最優先しなければ、競争を生き抜けない。
だからこそ、国利民福を貫いた三島海雲を知ってほしいと思った。何よりも三島が辿った道は、私たちが生きるいまにつながっている。
――あとがきより

 男の名は三島海雲。一八七八年に貧乏寺の長男として生まれ、一九〇二年、日本語教師として中国大陸に渡った。その後、北京で雑貨を売買する行商会社を立ち上げ、モンゴル高原を行き来する。ある日、遊牧民から乳製品を振る舞われた。未知なる味に心が躍る。その感動は海を渡り、一九一九年、日本初の乳酸菌飲料カルピスが誕生することになる。 (Bookデータベース)

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 カルピスは美味しい、そして清涼飲料水だという印象で、身体にいいのだという意識はなかった。
 「カルピス」という言葉は不思議な語感だが、名前についても今まで考えたことがなかった。はじめはカルピルにしようと思ったとか。次々と新しい物が生まれてくるにもかかわらず100年も同じ味で変わらないというのも凄いことだ。

 
 


レンズが撮らえた
幕末維新の日本

高橋則英 監修



2019/1/28
2017/12/13 発行

   

幕末から明治にかけて、こんなに様々な写真が残っているなんて!
現代的な顔だちの美女もいる。
驚きだ。


このミステリーがすごい!」
vol.23



2019/1/15


まだ日本人が気づかない
日本と世界の大問題


ケント・ギルバート
上念司


徳間書店







2019/1/5

2018/8/31 発行
 著者ーーーケント・ギルバートーーー1952年、アイダホ州に生まれる。1970年、ブリガムヤング大学に入学。翌1971年に末日聖徒イエス・キリスト教会のモルモン宣教師として初来日。経営学修士号(MBA)と法務博士号(JD)を取得したあと国際法律事務所に就職、企業への法律コンサルタントとして再来日。弁護士業と並行して英会話学校「ケント・ギルバート外語学院」を経営。2015年、アパ日本再興財団による『第8回「真の近現代史観」懸賞論文』の最優秀藤誠志賞を受賞。『日本人の国民性が外交・国防に及ぼす悪影響について』と題した論文は、日本人の誠実さなどを「世界標準を圧倒する高いレベル」と評価。一方、その国民性が「軍事を含む外交の分野では、最大の障害になる」とした。読売テレビ系『そこまで言って委員会NP』、DHCテレビ『真相深入り!虎ノ門ニュース』などに出演中。著書には、『まだGHQの洗脳に縛られている日本人』(PHP研究所)、『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』『中華思想を妄信する中国人と韓国人の悲劇』(以上、講談社)、『日本人だけが知らない世界から尊敬される日本人』(SBクリエイティブ)など

ーー上念司ーーー1969年、東京都に生まれる。中央大学法学部法律学科卒業。日本長期信用銀行、臨海セミナーに勤務したあと独立。2007年、勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立し、取締役・共同事業パートナーに就任。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一教授に師事し、薫陶を受ける。金融、財政、外交、防衛問題に精通し、積極的な評論、著述活動を展開している。東日本大震災に際しては勝間氏と共に「デフレ脱却国民会議」を設立し、事務局長に就任。震災対策として震災国債を日本銀行の買いオペ対象とすることを要求。白川方明総裁までの日本銀行の政策を強く批判してきた。DHCテレビ『ニュース女子』『真相深入り!虎ノ門ニュース』などに出演中。著書には、ベストセラーになった『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』『習近平が隠す本当は世界3位の中国経済』(講談社+α新書)、『経済で読み解く 大東亜戦争』『経済で読み解く明治維新』(KKベストセラーズ)、『「日銀貴族」が国を滅ぼす』(光文社新書)など多数。

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 日本人は真実を知らなすぎる! フェイクニュースと偏向に満ち溢れた情報のなかで、いま世界で起きている真実と、これから起こる激変を解説! トランプ大統領はなぜいま米中貿易戦争に踏み切ったのか、最終的に中国はどうなっていくのか、米中・日中激突の可能性、アメリカ人から見た日本国憲法改正の意味などを論じながら、朝日新聞やNHK、各種業界団体など、国民を欺く亡国組織の実態を暴いていく。日米の激烈論客2人による怒りの激論!(Bookデータベース)

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 「虎ノ門ニュース」を観ている感覚


天皇の暗号
明治維新
140年の玉手箱
大野 芳
学研



2019/1/3
2011/6/28 発行
著者ーーー

孝明天皇の謎の死は、近代とともに南北朝の対立をも呼び寄せた。南朝の末裔を主張する熊沢天皇の登場、明治天皇すり替え説を主張する大室家、大逆事件の真相、そして座礁した幻のクーデター……。維新成立にひそむ密約と暗号を追う異色のノンフィクション! (Bookデータベース)

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 タイトルの 暗号 って何だったんだろう?
 史実と資料にできるだけ忠実であろうとしているため、読みやすい本ではなかった。
 孝明天皇の不思議な死。倒幕は南朝革命だったのか・・・・?

 


信長を生んだ男
霧島 兵庫
新潮社



2018/12/16
2017/11/20 発行
 著者ーーー975年生まれ。第20回歴史群像大賞優秀賞受賞を経て、2015年『甲州赤鬼伝』でデビュー。『信長を生んだ男』が二作目となる。

うつけと蔑む兄・織田信長に、英邁な弟・信行は覇者の資質を見た。それは兵法書と龍笛を好み、常識の範疇に生きる信行には持ちえないもの。すなわち自らの力を恃んで天下を統一しようとする炎の如き意志―。しかし、そこに潜むひと筋の弱さを見出した時、己の熾火をかきたてるように、信行は身命を賭した大勝負に出る。 (Bookデータベース)

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 こういう信長の描き方もあるのか、と思う。
 タイトルからして、親とか、指導者とか、過去の偉人とかを想像したが、まさか弟だったとは。


銃を持つ民主主義
Democracy with a Gun

「アメリカという国」のなりたち

松尾 文夫

小学館



2018/11/13

2004/3/1 発行
著者ーーー1933年東京生まれ。学習院大学政経学部政治学科卒業。共同通信社入社後、二ューヨーク、ワシントン特派員、バンコク支局長、ワシントン支局長、論説委員、(株)共同通信マーケッツ代表取締役社長などを歴任。2002年、フリージャーナリストに復帰。 アメリカ専門家として活動を開始。2017年、日米両首脳によるヒロシマ・真珠湾の相互献花外交の提言活動で日本記者クラブ賞受賞。著書に『銃を持つ民主主義 ――「アメリカという国」のなりたち 』 (日本エッセイスト・クラブ賞)、『オバマ大統領がヒロシマに献花する日』、『アメリカと中国』など。
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国民学校3年生のときに遭遇した東京大空襲に始まり、共同通信特派員時代に取材したベトナム戦争に至る著者の「アメリカ体験」。それは同じ民主主義国として価値観を共有していながら、ぎくしゃくする日本とアメリカのすれ違いを探る旅でもあった。その結果、たどり着いたのが「銃と民主主義」という日本人の感覚では相容れない概念をしっかり共存していた「アメリカという国」だった。第52回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、英語版も2007年に刊行され脚光を浴びた作品、ブッシュ後のアメリカが見えてくる。
 イラク戦争で世界を震撼させたアメリカの圧倒的な武力制圧。その「武力行使のDNA」とでもいうべきルーツをたどっていくと、ベトナム戦争、東京大空襲、黒船来航ばかりか、「建国の精神」にまで遡る。イラク戦争の理論的支柱となった「ネオコン」(新保守主義者)と呼ばれる人々の「先制攻撃論」と、第二次世界大戦で東京大空襲を指揮したルメイ将軍の言質との驚くばかりの符合ほか、アメリカ取材歴40年の豊富なキャリアを活かして新たな視点で、「アメリカという国」のなりたちを解き明かしていく。その対象は「銃規制問題」から「マルチ人類パワー」にまで及ぶ。(Bookデータベース)
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 タイトルとサブタイトルを見ただけで、およその内容がわかる。
 アメリカの成り立ちを見れば、絶対に銃は手放さないだろう。
 そういうアメリカとつきあうには、もっと賢くならなければいけないのだろうなあ。

 読みながらフラストレーションがたまった。この本はブッシュの時代に書かれ、2003年までだ。
もっと後の時代、オバマやトランプについての評論が聞きたいと思った。



スメラギの国
朱川湊人
文藝春秋



2018/10/30
2008/3/15 発行
著者ーーー1963年大阪府生まれ。慶応義塾大学文学部卒。出版社勤務を経て、2002年「フクロウ男」で第41回オール讀物推理小説新人賞を受賞。翌03年、「白い部屋で月の歌を」で第10回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞。初の著書となった『都市伝説セピア』が第130回直木賞候補となり、05年、『花まんま』で第133回直木賞を受賞

 志郎が新居に決めたアパートの前には、猫が集まる不思議な空き地があった。その猫たちに構うなという大家の忠告に反し、志郎は空き地を車庫がわりに使い、捨て猫を飼いはじめる。だが、それが彼の幸福な日常を一変させる。愛するものを守るために凄惨なまでに闘う人と猫。愛と狂気を描く長編ホラーサスペンス。(Bookデータベース)

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 直木賞を受賞したことがあるので酷い作品ではないだろうとか、スメラギの言葉に惹かれて読んでみた。予想した物と違う。表紙を見て気づくべきだったか・・・・。途中で何度もやめようと思った。
 何を描きたいのだ?と疑問を感じつつ、何で猫の社会だ?とも思いつつ、一応最後まで読んだ。
かけがえのないものを失ったために、最愛のものを守りつづけるために、愛情は狂気にかわる。と言うことらしいのだが・・・・・・。


LABS
先端脳科学研究所へようこそ

機本 伸司
祥伝社



2018/9/17
2018/7/20 発行
 著者ーーー1956年兵庫県生まれ。映画ディレクターなどを経て、2002年「神様のパズル」で第三回小松左京賞を受賞しデビュー。「穂瑞沙羅華の課外活動」シリーズは「パズルの軌跡」「究極のドグマ」「彼女の狂詩曲」「恋するタイムマシン」「卒業のカノン」と続く。他「神様のパラドックス」「ぼくらの映画のつくりかた」「未来恐慌」がある。

 2031年、ネットで「実験アシスタント募集」の広告を見つけた“僕”は、「先端脳科学研究所・脳内ビジョン研究室」を訪れ、目を瞠る。脳内に浮かぶイメージを可視化する「マインド・ピュア」という技術を開発していたのだ。しかもその裏では、さらに高度な研究が進行していた。アシスタントになった僕は、同じ被験者で、解離性同一性障害を抱える桜蘭に一目惚れ。彼女の別人格・空歩の妨害にもめげず、恋に、研究に取り組むが…。

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 ラボラトリー・オブ・アドバンスト・ブレイン・サイエンス
 ライトノベル?
 脳科学についてもう少しわかる解説を期待して読んだが、テレパシーの方に話が進んだ。少し期待外れ。


 くじけないで
柴田 トヨ
飛鳥新社



2018/9/11

 


楽しみは
橘曙覧・独楽吟の世界
新井満
講談社



2018/8/6
2008/11/27 発行
 著者ーー1946年5月7日 (72歳)新井 満は、日本の男性著作家、作詞作曲家、歌手、写真家、環境映像プロデューサー、絵本画家。新潟県新潟市生まれ、北海道亀田郡七飯町在住。本名:滿。

 日常の幸せを見つめ直す、よすがとなる1冊 清貧の生涯を送った、幕末の歌人・橘曙覧(たちばなのあけみ)の連作「独楽吟」。この52首を再編集し、生き難い世の中を生きる現代人に新井満が贈る幸福論。 (Bookデータベース)

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 「ワインカラーのときめき」は以前から聞いて知っていた。
 「この街で」ーこのような催しをしたことは知らなかった !!https://www.city.matsuyama.ehime.jp/shisei/machizukuri/kotoba/konomachide.html

 


野火
大岡 昇平
角川文庫




2018/7/10
S30/6/15 発行
 著者ーーー(1909-1988)東京生れ。京都帝大仏文科卒。帝国酸素、川崎重工業などに勤務。1944(昭和19)年、召集されてフィリピンのミンドロ島に赴くが、翌年米軍の俘虜となり、レイテ島収容所に送られる。1949年、戦場の経験を書いた『俘虜記』で第1回横光利一賞を受け、これが文学的出発となる。小説家としての活動は多岐にわたり、代表作に『武蔵野夫人』『野火』(読売文学賞)『花影』『レイテ戦記』(毎日芸術大賞)などがある。1971年、芸術院会員に選ばれたが辞退。

 太平洋戦争末期、日本の劣勢が固まりつつある中、フィリピン戦線でのレイテ島が舞台である。 主人公の田村は肺病のために部隊を追われ、野戦病院からは食糧不足のために入院を拒否される。現地のフィリピン人は既に日本軍を抗戦相手と見なしていた。この状況下、米軍の砲撃によって陣地は崩壊し、全ての他者から排せられた田村は、熱帯の山野へと飢えの迷走を始める。 律しがたい生への執着と絶対的な孤独の中で、田村にはかつて棄てた神への関心が再び芽生える。しかし彼が目の当たりにする、自己の孤独、殺人、人肉食への欲求、そして同胞を狩って生き延びようとするかつての戦友達という現実は、ことごとく彼の望みを絶ち切る。 ついに「この世は神の怒りの跡にすぎない」と断じることに追い込まれた田村は「狂人」と化していく。 (Wikipedia)

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 人肉食という先入観があったので、もっと気持ちが悪くなるほどの小説かと思ったらそれほどでもなかった。前半は、風景描写も多く、レイテ島を知ることができる。


陰謀の日本中世史

呉座 勇一

角川新書




2018/6/24

2018/3/10 発行
本能寺の変に黒幕あり?
関ヶ原は家康の陰謀?
義経は陰謀の犠牲者?
俗説、一蹴!『応仁の乱』の著者が史上有名な“陰謀”をたどりつつ、“陰謀論”を徹底論破する。

史実とフィクションは明瞭に違う!
◆本能寺の変に黒幕あり?→いない。光秀をバカにしすぎ
◆関ヶ原は家康の陰謀? →違う。家康も追い詰められていた
◆義経は陰謀の犠牲者? →誤り。義経の権力は砂上の楼閣だった

■足利尊氏=陰謀家説は疑わしい
■後醍醐天皇は黒幕ではなく被害者だった!?
■富子はスケープゴートにされた
■騙されやすかった信長
■「三成が家康の伏見屋敷に逃げ込んだ」は俗説
■「小山評定」は架空の会議

「事実」はドラマや小説より面白い。陰謀論の誤りを最新学説で徹底論破!!トンデモ説やフェイクニュースが溢れる世の中で騙されないために。陰謀論の法則まで明らかにする、必読の歴史入門書!

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 何百年も謎だった物がそんなに簡単には解明しない。陰謀だと思ったら面白いけど・・・・・ほとんどは陰謀ではなさそうだ。


ニュースをネットで読むと「バカ」になる

ソーシャルメディア時代の
ジャーナリズム論


上杉 隆

KKベストセラーズ



2018/6/22

2015/2/5 発行
著者ーーージャーナリスト。株式会社NO BORDER代表取締役社長。1968年、福岡県生まれ。都留文科大学卒業。NHK勤務、衆議院議員鳩山邦夫公設秘書、『ニューヨーク・タイムズ』東京支局取材記者などを経て、2002年よりフリージャーナリスト。政治やゴルフについて、大手メディアが取り上げないニュースを精力的に発信している。また日本のジャーナリズムのありかたについて激しく批判し続け、2011年に開かれた会見の場を運営する「自由報道協会」を設立。現在、ニュースサイト「DAILY NOBORDER」、インターネット番組「ニューズ・オプエド」を運営。TV『淳と隆の週刊リテラシー』(TOKYO MXテレビ)にレギュラー出演中

 日本のメディアのあり方に厳しい目を向け続ける著者が、ネットジャーナリズムに巣食う新たな病巣をいち早く指摘。まとめサイト、バイラルメディア、LINE、ネットの言論空間のいったい何が問題なのか?ソーシャルメディア時代のあるべきジャーナリズムを提言する。
 またジャーナリズムを知らない政治家や大手メディア、従軍慰安婦問題の検証報道、吉田調書誤報問題、STAP細胞、元兵庫県議会議員の号泣会見など、近年のジャーナリズムの危機的なまでの劣化を象徴する事象についても、丹念に批判。ジャーナリストとして活動すると同時に、自ら世界標準に基づいたメディアを立ち上げ、真のジャーナリズムを実践する著者による、救国の書。(Bookデータベース)

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セカンドライフ、はじめてみました
bonpon
大和書房



2018/6/20
2018/3/1 発行
著者  bonpon
仙台在住60代共白髪の夫婦。(夫=bon、妻=pon)。
2016年12月よりはじめたインスタグラム(@bonpon511)で、
色や柄などを合わせたリンクコーデのファッションスナップが評判となり、
日本だけでなく台湾・香港など世界中から
「おしゃれ! 」「かわいい! 」と支持を受ける。

Instagram62万フォロワー!

60代、まだまだ楽しいことが待っている!
家具も食器も10分の1にして、小さな暮らしへダウンサイジング

思い切って環境をリセット!
モノにあふれた大きな家に別れを告げ、しがらみのないあたらしい土地ではじめた、お金をかけないセカンドライフの「衣食住」。! (Bookデータベース)

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考証 西郷隆盛の正体
城島 明彦
KANZEN



2018/6/19
2017/11/9 発行
 明治150年という大きな節目を迎えるにあたって、西郷さんはどんな人だったのか、 西郷さんのどこがどのように凄かったのか。それを、西郷さんを見知っていた同時代人の証言によって徹底的かつ多角的に検証し、あるいは推理し、西郷隆盛という「空前絶後の偉人」の姿を浮かび上がらせようとする意図で執筆したのが本書である。(まえがきより)
目次
 1 西郷さんはなぜ国民的人気者なのか ~日本史上、空前絶後の人気者~
 2 西郷さんの愛と誠の日々! ~人生は「敬天愛人」~
 3 実録「征韓論」 ~こうして西郷さんは陥れられた! ~

 4 西郷さんは生きていた!? ~明治メディア・ウォーズ~
 5 上野の西郷像は“帝都の守護神" ~肖像画と銅像の謎 どの顔が実物に近い!?
 6 西郷さんが教えてくれる ~人生捨てたもんじゃない~


 西郷さんを山に例えると、富士山だ。 そう評した人は、1人や2人ではない。日本史上に燦然と輝く英雄や偉人は数多いが、西郷さんは「英雄中の英雄」「偉人中の偉人」として、ひときわ高くそびえ立っている。

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 タイトルの「正体」の言葉から、今まで知られていなかった西郷さんの姿を暴いてみせるのかと期待したが、ただただ西郷さんを称えて終った。


片づけたい
暮らしの文藝
河出書房新社



2018/5/25
2017/6/20 発行
片づけベタの苦悩、別れがたき思い出の品、掃除道具へのこだわり…“片づけ”には、その人の生きかたが表れる。古今の作家たちが綴ったエッセイ32篇。

 


羊と鋼の森

宮下 奈都

文藝春秋



2018/5/23

2015/9/15 発行
 第13回本屋大賞、第4回ブランチブックアワード大賞2015、第13回キノベス!2016 第1位……伝説の三冠を達成!

 高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。ひたすら音と向き合い、人と向き合う外村。個性豊かな先輩たちや双子の姉妹に囲まれながら、調律の森へと深く分け入っていく―。一人の青年が成長する姿を温かく静謐な筆致で描いた(Bookデータベース)

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 娘のピアノは、毎年調律をしてきた。誰も弾かないまま調律さんを迎えていたが、やる気が起こらなかっただろうなあ、と思いながら読み進んだ。

 感受性が豊かな青年だと思う。羊のハンマーが鋼の弦をを叩く・・・・・そういう意味だったのか。
 
 原民喜「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」それが板鳥のつくり出す音、だという。

 ピアノの音を聞くだけで「山が見えてくる。嵐の通り過ぎた朝などに、妙に鮮やかに映る。山だと思っていたものに、土があり、木があり、水が流れ、草が生え、動物がいて、風が吹いて。ぼやけていた眺めの一点に、ピット焦点が合う」
 くるくる回って止まらなかった方位磁針が、ぴたりと止まる。
 ピアノとピアニストをつなぐカササギを、一羽ずつ集めてくるのが僕たちの仕事」
調律をしていくとはこういうことなのか?凄い感性だ、私にはわからないが・・・・・・・・。


ききがたり
ときをためる暮らし



つばたしゅういち・英子

自然食通信社




2018/5/8

2012/9/20 発行
水野/恵美子
出版社を経て独立。食と暮らしをテーマに活動。聞き書きとして料理人、菓子職人の本を出版

落合/由利子
写真家。日本大学芸術学部写真学科卒。人に寄り添う取材を続ける

朝は一杯の野菜ジュースで始まり、キッチンガーデンで野菜や果物を育てる。手作りベーコンで絶品おもてなし料理。自然の恵みを享受し手間暇を惜しまず、日々の生活を愛しむ夫妻は「人生はだんだん美しくなる」をモットーとし、前向きに暮らしてきた。常識にとらわれず自己流を貫いてきた二人から、次世代への温かなメッセージ。(Bookデータベース)

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 水野恵美子さんと落合由利子さんというおふたりが、1年の間、つばたさんのお宅に通って一緒に時間を過ごし、そこで聞いたお話をまとめられた本。何を聞き、どうまとめるかによって本の価値は決まるのだろう。きき語りをまとめた人の力量を感じる。

 英子さん、しゅういちさんのそれぞれの生い立ちや、戦時中のこと、結婚してからの生活、お金に対する考え方、暮らしの中で大切にしていることなどたくさんのことが語られている。

 しゅういちさんが何の相談もなく勝手にやってしまうことがあっても、英子さんは怒らない。だから自己主張のないおとなしい人だと思っていたら、かなりポリシーのはっきりした人だとわかった。自分に具わった感覚で、物事を判断する。
 食べるものが大事、しゅういちさんのために食べ物を用意するのが努め、との思いから単身赴任などは考えられなかったそうだ。女の人は、支える能力の方が大きい。

自分の手で暮らしを見据えたストックをつくること。それが、<ときをためる>ということ」(買う物は好きな物、いい物を慎重に選ぶ。間に合わせですませず、買えるまで気長に待つ。時をためる暮らしで)
 


薩長史観の正体
歴史の偽装を暴き、真実を取り戻す
武田鏡村
東洋経済新報社



2018/3/30
2017/9/21 発行
 150年目に明かされる真実! 「明治維新」という名の洗脳を解く!!
勝者(薩摩、長州)がでっち上げた通史の誤りを徹底究明。「薩長史観」と「真相」の対比から、幕末維新の真実を明らかにする。

 著者の言葉
「薩長史観」とは何か。明治政府がその成立を正当化するために創り上げた歴史である。それは、薩摩や長州が幕末から明治維新にかけて行なった策謀・謀反・反逆・暴虐・殺戮・略奪・強姦など、ありとあらゆる犯罪行為を隠蔽するために創られた欺瞞(ぎまん)に満ちた歴史観であるということである。(Bookデータベース)

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あしたも、こはるびより
つばたしゅういち 英子
主婦と生活社


2018/3/26
2011/11/7 発行
 83歳と86歳の菜園生活。愛知県のニュータウンで、夫婦ふたり。キッチンガーデンで野菜を育て、換気扇のない台所で保存食をつくり、玄関のないワンルームの丸太小屋で暮らす。簡素だけど優雅な歳時記。(Bookデータベース)

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 テレビで取り上げられ、映画にもなったそうで、感動した人が多いらしい。私は感度が鈍いのか、それほど特別なことには思えなくて・・・・・・・・。

 ただ、夫のしゅういちさんが何でも細かく記録しているところに共感した。記録は歴史だという。
 私のいろんな記録を断捨離しようと思っていたけど、もう少し置いとくか。
 


李陵・山月記
中島 敦
講談社文庫


2018/03/12
中島敦の凄さは、私の敬愛する倉橋由美子氏の言葉による
「格調高い古典的な文体で奏でられる」とか、
「今では誰も真似のできなくなった見事な文章」で小説を書いているという事実だ。

 李陵の内容については、この作品は、李陵と司馬遷と蘇武の3人を対比しながら生き様を示していることにある。それぞれの男としての生き様は素晴らしいのだが。

 
漢文で残っている資料のあれこれをひもとき、このような作品に仕上げた中島敦の凄さを感じるのみだ。
 
 古典を元に芥川竜之介がいろいろな物語を作り上げたが、これもそういう種類の作品だと思う。

 高校の教科書で取り上げられているのは、山月記の方で、李陵より短く、虎になるなど高校生に興味を感じさせやすい教材だったかもしれない。李陵は生き方や考え方をもっと深く考えさせる内容のように思われる。
 
 三人三様、誰の生き方に感動するだろうか?


60歳を過ぎると、
人生はどんどん
おもしろくなります


若宮 正子
新潮社




2018/2/17
2017/11/25
 著者ーーー1935年東京生まれ。東京教育大学附属高等学校(現・筑波大学附属高等学校)卒業後、三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)へ勤務。定年をきっかけに、パソコンを独自に習得し、同居する母親の介護をしながらパソコンを使って世界を広げていく。1999年にシニア世代のサイト「メロウ倶楽部」の創設に参画し、現在も副会長を務めているほか、NPO法人ブロードバンドスクール協会の理事として、シニア世代へのデジタル機器普及活動に尽力している。2016年秋からiPhoneアプリの開発をはじめ、2017年6月には米国アップルによる世界開発者会議「WWDC 2017」に特別招待される。安倍政権の看板政策「人づくり革命」の具体策を検討する「人生100年時代構想会議」の最年長有識者メンバーにも選ばれた。

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 あの世界的大企業、アップルのティム・クックCEOも勇気づけられたと大絶賛!
 60歳を迎えてパソコンを、80歳を超えてからプログラミングを始めた若宮正子さんこと、マーチャンのアクティブ人生論。
  ●規則正しくしない方が、うまくいく
  ●ボケているくらいがちょうどいい
  ●居場所がない人への特効薬
  ●好奇心は最大のエネルギー
  ●ヤクザな女、最高!
 ユニークでバイタリティ溢れる生き方に、歳を取るのが楽しみになる! 元気をもらえる初エッセイ。 (Bookデータベース)

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  CNNからのインタビューに、Google翻訳で返事をしたとか、外国へも一人で出かけるとか、もの凄い行動力の人。何分の一でもいいから見習っていきたいものだ。
 文章は理路整然として読みやすい。頭のいい人だなあと思う。


幕末日本のクーデター

錦旗に刻印された
官軍の野望

星 亮一

批評社



2018/1/28

2013/11/10 発行
著者ーーー1935年仙台市生まれ。東北大学文学部国史学科卒。日本大学大学院総合社会情報研究科修士課程修了。福島民報社記者、福島中央テレビ報道制作局長を経て、現在、歴史作家。戊辰戦争研究会を主宰。日本文芸家協会会員
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 勤王の志士を鼓舞した尊皇攘夷は、孝明天皇の突然死を機に開国・欧化・倒幕に転換し、密謀で結託した薩長軍はクーデターで幕府、会津藩を京都から追放し、岩倉具視らによって捏造された錦旗が官軍の証として猛威を振るい、徳川幕府を徹底的に瓦解させ、明治藩閥政権の樹立をみることになる。
 大いなる権力を掌握した藩閥政府は、欧米の帝国主義列強にならって明治欽定憲法を制定し、国家財政と法体系の整備、徴兵制による軍隊の創設をとおして、アジア侵略を射程に入れた近代国家として出発した。
 しかし、戦争によって優秀な人材を失った藩閥政府は、無謀な日米開戦とその後の戦争政策の遂行に象徴されように、敗戦に至る昭和史の悲劇は、天皇制と藩閥・軍閥の暗闘の延長にあったと言える。
 孝明天皇の暗殺説から病死説まで流布された暗闘の裏面史を諸説、諸資料を網羅して明らかにする。(Bookデータベース))

 目次
 異国アメリカとのはじめの出会い/黒船来航/桜田門外の変/松陰と晋作/仙台藩士の訪米日録/海舟と諭吉/会津藩登場/天皇と幕府/攘夷戦争/長州藩追放/幕長戦争/孝明天皇崩御/天皇の世紀

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 易しい文章で、出来事のあらすじがわかりやすく書かれている。
 残された書物からの引用も現代語で要約してあるので読みやすい。部分によってはもっと詳細に、またはその後はどうなったのか、もっと突っ込んで、と思うこともあった。
 「水戸市史」石田虎蔵の記録、「航米日録」玉虫左太夫の日記など、なかなか面白い記録がある。
 http://www.mh-c.co.jp/


カウントダウン
真梨幸子
宝島社



2017/12/23
2017/3/11 発行
 海老名亜希子は「お掃除コンシェルジュ」として活躍する人気エッセイスト、五十歳独身。歩道橋から落ちて救急車で運ばれ、その時の検査がきつかけで癌が見つかった。潔く“死”を受け入れた亜希子は、“有終の美”を飾るべく、梅屋百貨店の外商・薬王寺涼子とともに“終活”に勤しむ。元夫から譲られた三鷹のマンションの処分。夫を略奪した妹との決着や、“汚部屋”の処分など、過去から突きつけられる数々の課題に直面する。亜希子は“無事に臨終”を迎えることができるのか!? (Bookデータベース)

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 「イヤミス」というジャンルがあるそうな。「嫌な気持ちにさせるミステリー」

 本来なら手に取らないタイプのものだが、ある断捨離ブログで紹介していたので、読み始めた。登場人物が皆まともじゃない、ひねくれてる、自分の生活の中には入れたくない人たちなので、共感できなかった。
 皮肉たっぷりに人を眺めれば、こんな風にも見えるかな。
 
 いつもの作品よりは読みやすいらしいが、充分ドロドロした嫌な人間関係だ。
 人は好き好き、好んで読む人もいるようだが私は他の作品を読もうとは思わない。
 


風少年
小檜山 博
講談社



2017/12/17
2000/9/8 発行
 『風少年』は著者の十四歳ごろの自伝的小説である。親、兄弟、友達、教師とのかかわり、食べること、働くこと、死、性の目覚め、恋心などから少年とは何かを探った純愛物語になった。

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 子どもの作文をずうっと読まされた気分。ところどころにはもちろん気の利いた言い回しがあるけど。
 著者に興味がないので自伝のようなものにも関心はわかない。ただ、北海道の厳しい冬の生活や、昔の子どもの生活などがよくわかる描写だと思う。


うつくしい子ども


石田 衣良

文芸春秋




2006/8/18
著者ーーー 1960年東京生まれ。成蹊大学経済学部卒業後、広告制作会社などを経て、
フリーランスのコピーライター。
97年9月、「池袋ウエストゲートパーク」で第36回オール讀物推理小説新人賞を受賞する。
98年9月、同名の連作小説でデビュー。
時代を鋭くとらえる視点と、若者達の心象をみずみずしく描く感性で注目を浴びた。

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 ニュータウンで猟奇殺人があった。まもなく中学一年の少年の犯行とわかる。はじめは、神戸の少年Aの事件をモデルに書いているのかと思ったりしたが、一部はそうかもしれないが、そこから、教育の問題( 中学の建物は、バノプチコンという監獄の建築様式と同じで、監視しやすい形態 )マスコミの興味本位の取り上げ方に対する批判などが書かれてあり、文章の読みやすさとは裏腹にたくさんの要素が込められていた。

 犯人である少年Aの兄は、事件後、同じ中学に引き続き通い始める。同級生に無視されたり、自転車の空気を抜かれたり、様々な嫌がらせを受けるが、力になってくれる同級生と一緒に、少年Aがなぜ殺人に至ったのか謎を解明しようとデータを集め始める。

 殺人事件の前に、中学生の自殺もあり、関連した何かもありそうだと調べていくと、驚くべき事実がわかる。
 中学生といえど心の闇をもてあまし、自分について悩み、普通の子どもと狂気を起こす子どもは紙一重、問題のある家庭の子だけが事件を起こすのでもない。

 犯人Aの兄(通称じゃが)と新聞記者山崎との交互の視点で描いていく。
 山崎の考えとして「・・・・少年Aの兄も被害者だ。犯罪報道による犯人の家族への報道被害は、いつの時代も深刻なものである。自殺、離婚、退転職、転居、営業不振、破談、登校拒否、いたずら電話等の嫌がらせ。その結果を考えると自分の仕事についても疑いを持たざるを得ない」マスコミを皮肉っているのは、共感できる。
 結末が少し物足りないが、読み応えがあった。
初めての作家だったが、他の作品も読んでみようと思っている。

 


老いの風景
渡辺
 


2017/7/20
新聞のコラムとして時々目にすれば「なるほど」とか「ほう」とか感じるかもしれないけど、短すぎて、当たり前のことだし、しかもこれだけ集めたのを読み続けると、右から左に忘れてしまうし、あまり読もうという気になれなくて・・・・・・・・・・
途中でやめた

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