海外 ノンフィクション

読書日誌Top


ジェフ・ベゾス
果てなき野望


アマゾンを創った無敵の奇才経営者

ブラッド・ストーン
井口耕二 訳



2021/2/8
2014/1/14 発行
著者ーーーブルームバーグ・ビジネスウィーク誌のシニアライター。ニューズウィーク誌、ニューヨーク・タイムズ紙などで15年にわたり、アマゾンやシリコンバレー企業について報道してきた。カリフォルニア州サンフランシスコ在住。

インターネットに大きく賭け、買い物や読書の習慣を大きく変えてしまったアマゾン創業者、ジェフ・ベゾス。本書は、その奇才の生い立ちから現在までをベテランジャーナリストが追った物語である。

時に部下を叱りつけ、ありえない目標を掲げ、けたたましく笑う。そうして小売りの巨人ウォルマート、大手書店のバーンズ&ノーブルなどとの真っ向勝負に立ち向かってきた。ベゾスのビジョンは、「世界一の書店サイト」にはどまらない。「どんなものでも買えるお店(エブリシング・ストア)を作る」という壮大な野望に向けて、冷徹ともいえる方法で突き進んでいく。(Bookデータベース)

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 事実であるかもしれないが、、抑揚のない、場合によってはわずか数行のエピソードが延々と続き、面白みに欠ける。かなり飛ばし読みした、というより拾い読みをして終った。人によってはこの詳しさが興味深さにつながったかもしれないが。

 なぜ、アマゾンが、GAFAの一角に入るほどの大きさになったのかが知りたかったが、創業者の天才ぶりしかわからなかった。

 ジョブズ、ビルゲイツなどと同じように天才であって、ついて行けない人には厳しかったようだ。


太陽を創った少年
The boy who played with fusion

トム・クラインズ
Tom Clynes

熊谷 玲実 訳

早川書房




2020/8/28
2018/5/20 発行
著者---トム・クラインズ(Tom Clynes)
《ナショナル・ジオグラフィック》をはじめ、《ガーディアン》《ネイチャー》《ニューヨーク・タイムズ》《ワシントン・ポスト》等に寄稿し、《ポピュラー・サイエンス》の寄稿編集者をつとめるライター/ジャーナリスト。

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 14歳の核物理学者はどうして生まれたのか?9歳でロケットを実作した、アメリカ・アーカンソー州の早熟の天才、テイラー・ウィルソンは11歳の若さでさらなる野心に燃えていた。祖母がくれた本に刺激を受け、核融合炉を自宅で創ろうと決意したのだ。危険と隣り合わせのそんな作業を、子どもがやってのけられるはずがないという大人の常識をしり目に、彼には自分がやれるという自信と勝算、そして適切な知識があった。「ギフテッド」といわれる天才児にもさすがにムリかと思えることが、なぜできたのか。息子を見守る両親の苦労、大学教員をはじめとする教育関係者の奔走。彼のそばで直接取材したジャーナリストが語るサイエンス・ノンフィクション。


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人体なんでそうなった
Human Errors

ネイサン・レンツ
Nathan H Lents
久保美代子 訳
化学同人



2020/2/8
2019/8/16 発行
精巧で緻密――その神秘性までが強調されることの多い「人体」。 ところがその端々には不可解で残念な“欠点”が無数に見つかる。人体はゼロから精緻にデザインされたものではなく、進化(突然変異)によるマイナーチェンジを修正しながらなんとか作り上げられてきたものだからだ。 本書では、人体が完成とは程遠いままになっている事実を明らかにするとともに、人体進化のまったく新しい見方を紹介する。

 1章余分な骨と、その他もろもろ 網膜が後ろを向いているわけ。鼻水の排水口が副鼻腔の一番上にあるわけ。膝が悪くなるわけ。椎間板の間の軟骨がいとも簡単にずれるわけ、などなど ■2章豊かな食生活 ほかの動物とはちがって、人間がビタミンCやビタミンBを食事で摂らねばならないわけ。子供や妊娠している女性のほぼ半数が鉄分を摂っているのに貧血気味なわけ。人類がみなカルシウム不足なわけ、などなど ■3章ゲノムのなかのガラクタ ヒトが、機能している遺伝子とほぼ同じくらい多くの壊れていて機能していない遺伝子も持っているわけ。DNAが過去に感染した何百万ものウイルスの死骸を保持しているわけ。DNAの奇妙な自己複製箇所がゲノムの10パーセント以上を占めるわけ、などなど ■4章子作りがヘタなホモ・サピエンス ヒトでは女性の排卵時期と妊娠のタイミングがわかりにくいわけ。すべての霊長類のなかで、ヒトがもっとも受胎率が低く、乳児と母親の死亡率が高いわけ。頭蓋骨が巨大なせいで早めに生まれなければならないわけ、などなど ■5章なぜ神は医者を創造したのか ヒトの免疫系が自分の身体をやたらと攻撃するわけ。発生過程でのエラーが全身の血流に大問題を引き起こすわけ。がんが避けられないわけ、などなど ■6章だまされやすいカモ ヒトの脳がほんの小さな数しか理解できないわけ。僕らが目の錯覚(錯視)で簡単にだまされてしまうわけ。考えや行動、記憶に間違いがよく起こるわけ。進化が若者、とくに少年に愚かなことをさせるわけ、などなど

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 特に興味を感じたのは、免疫についての項目。


the four
GAFA
四騎士が創り変えた世界


スコット・ギャラウェイ
Scott Galloway


渡会 圭子 訳

東洋経済新報社





2019/12/16

2018/8/9 発行
著者ーーーニューヨーク大学スターン経営大学院教授。MBAコースでブランド戦略とデジタルマーケティングを教える。連続起業家(シリアル・アントレプレナー)としてL2、Red Envelope、Prophetなど9つの会社を起業。
ニューヨーク・タイムズ、ゲートウェイ・コンピューターなどの役員も歴任。
2012年、クレイトン・クリステンセン(『イノベーションのジレンマ』著者)、リンダ・グラットン(『ライフ・シフト』著者)らとともに「世界最高のビジネススクール教授50人」に選出。
Youtubeで毎週公開している動画「Winners & Losers」は数百万回再生を誇るほか、
TED「How Amazon, Apple, Facebook and Google manipulate our emotions
(アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルはいかに人間の感情を操るのか)」は200万回以上閲覧された。
 【本書の3大テーマ】
GAFAはなぜ、これほどの力を得たのか
GAFAは世界をどう支配し、どう創り変えたのか
GAFAが創り変えた世界で、僕たちはどう生きるか
 【GAFAが生み出した「新ルール」とは】
・「崇高なビジョン」を掲げる
・利益はいらない
・法律は「無視」できる
競争相手は「資金」で踏みつぶす
・人間の「本能」を刺激する
・ほとんどの人は「農奴」になる ……など

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 アップルはマシン、アマゾンはストア、グーグルは検索エンジン、フェイスブックはソーシャル・ネットワーク。互いに競合するとは思えなかったが、どんどん互いの領域へと踏み込んでいる。

 フェイスブックの前にはマイスペースが、アップルの前には最初にのPCを開発した企業が、グーグルの前には初期の検索エンジンが、アマゾンの前には最初のオンライン小売業があったが、情報を集め、間違いから学び、資産を買い上げ、顧客を奪って成長した。それにしても、他とは何が違ったのかだ。

 ヨハネの黙示録の四騎士。
 地上の4分の1を支配し、
 険、飢饉、悪疫、獣によって
「地上の人間を殺す権威」を与えられている。

 ここになぜ、マイクロソフトを入れないのかと思ったら、四騎士にならないからなのか?
 


「いいね!」戦争
LikeWar
The Weaponization of sosial media
兵器化する
ソーシャルメディア

P・W・シンガー,エマーソン・T・ブルッキング
P・W・Singer Emerson T・Brooking

小林 由香利 訳
NHK出版



2019/11/19
2019/6/20 発行
大統領選挙から麻薬抗争まで、SNSは政治や戦争のあり方を世界中で根底から変えた。
インターネットは新たな戦場と化し、情報は敵対者を攻撃する重要な兵器となった。
「いいね! 」「シェア」を奪い合って荒らし行為やフェイクニュースが氾濫し、ネット上の戦闘が現実の紛争や虐殺を引き起こすことさえある。
軍事研究とSNS研究の第一線で活躍する著者が、多数の事例をもとに新たな戦争の実態を解明。
誰もが当事者としてグローバルな争いに巻き込まれていく過程と事実をえぐり出す衝撃作

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マンモスを再生せよ
WOOLLY
ハーバード大学
遺伝子研究チームの挑戦


ベン・メズリック
Ben Mezrich
上野 元美 訳



2018/9/30
2018/7/25 発行
 ヒトゲノム計画の発案や「次世代シーケンサー」の開発など、遺伝子革命を牽引し続けてきた天才、ジョージ・チャーチ教授。ハーバード大学にある彼の研究室には世界中から若き知性が集まり、日夜、生物学を一変させるような研究を進めている。そんなチャーチ教授のもとにかかってきた一本の電話と、「氷河期パーク」を夢見る孤高のロシア人研究者との出会いによって、マンモス復興プロジェクトが始動。そして四人の若者が集められた。
 サンプル採取、DNA分析、遺伝子操作……。ペイパル創業者ピーター・ティールも巻き込みながら、
研究チームは最先端の科学を総動員し、「頭脳ゲーム」のような難題に次々と挑んでいく。すべては三〇〇〇年前に絶滅した“命”をよみがえらせるために――。

  集結したのは、中国の若き頭脳、ペイパル創業者ピーター・ティール、「氷河期パーク」を夢見るロシア人、そして遺伝子編集の野生児たち―。遺伝子編集技術CRISPR、iPS細胞、人工子宮…。前代未聞の科学プロジェクト。(Bookデータベース)

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 ここまで科学は進んでいるのか!と驚くとともに、そこまでやってもいいのか?との疑問もわく。正しく使えば病気の治療にも絶滅危惧種を救うこともできる。
 著者の取材力と難しい科学を理解する能力と分かり易く表現しようとする力に感嘆する。

 他の作品
   東京ゴールドラッシュ 
   Facebook


ストレスフリーの整理学
The Art Strese-Free Productivity

デビット・アレン
David Allen

田口 元=監訳

二見書房




2018/3/22 

2015/12/25 発行
◆ 著者について    デビッド・アレン
 生産性に関する考察で世界的な影響力を持つ権威。ニューヨークライフ保険、世界銀行、フォード財団、L・Lビーン、米海軍などの相談役を務め、講演を行なう。
全米で個人や団体向けにワークショップを主催。デビッド・アレン社の会長。人材管理、幹部指導に35年以上の実績がある。
「ファーストカンパニー」「フォーチュン」「ロサンゼルスタイムズ」「ニューヨークタイムズ」「ウォールストリートジャーナル」など、多数の新聞雑誌で紹介。
本書は米国以外にも30カ国以上で出版されベストセラーとなっている。
著書に『ストレスフリーの仕事術』『ひとつ上のGTD ストレスフリーの整理術 実践編』(二見書房)などがある。

 あらゆるものを「整理」、リラックスして仕事がこなせる、最速最強の「仕組み」を作る方法――それがGTD!世界で常識のメソッドをわかりやすく解説。GTDを自分の習慣として身につけることができれば、日々ふりかかってくる仕事にストレスを感じることなく、着実に自分のやりたいことを片付けていくことができるようになるだろう。本書ではその手法を詳しくステップごとに紹介していくが、要点だけを述べると次の3点に集約される。

□ 頭の中の「気になること」を"すべて"頭の外に追い出そう。
□ それらすべての「気になること」について、求めるべき結果と次にとるべき行動を決めよう。
□ そうして決めた、とるべき行動を信頼できるシステムで管理し、定期的に見直そう。
(「日本語版解説」より)   (Bookデータベース)

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 ほとんど見出しを見ただけで、あまり読む気になれなかった。

 他の人の感想だがーーーこの本の小口のデザインは非常にストレスフル。監訳とのことなので、だれかが訳したものを監理したとの事だろうが、あまりにもお粗末。日本語から英語にそのまま翻訳できそうなレベル。この本を読んだら、かえって、敬遠してしまうのではないか? 意訳とはいかないまでも、日本の事情(日本語文法、口語・文語、専門用語、ビジネス常識など)をふまえ、内容を整理し、どうでも良さそうな箇所は割愛したほうが良かったであろう。本の装丁は凝っているが、内容を読み進むにつれ、うざい感が持ち上がってくる。GDTによる整理術(はじめての)のはずが、内容(日本向けに)が整理されておらず、ストレスフリーのはずが、読めば読むほどストレスを感じるーーー同感だ。


破壊する創造者
Virolution
ウイルスがヒトを進化させた

フランク・ライアン
Frank Ryan

夏目 大 訳

早川書房



2017/5/24
2011/1/25 発行
 著者ー英国の進化生物学者。医師。シェフィールド大学で医学を修める。同大動植物学科名誉研究員。英国王立医師会、同医学協会、ロンドン・リンネ協会の会員。著書に「ウイルスX−−人類との果てしなき攻防」など。

 鳥インフルエンザ、ノロウイルス、エイズなど、私たちの生活を脅かす恐ろしい感染症を引き起こす病原体・ウイルス。やっかいな寄生者のはずのこの微粒子が、ヒトを含む生物の進化にきわめて重要な役割を果たしていることが、近年の研究から明らかになりつつある。
 進化生物学者にして医師でもある著者が、ヒトをはじめとする動物、植物、昆虫、細菌にいたる多種多様な生物とウイルスとのダイナミックな相互作用を世界各地で調査。癌や遺伝子治療など、医療分野で進む応用研究も詳しく紹介する。多くのノーベル賞受賞者、大野乾ら日本人研究者も多数登場。ウイルス研究の最前線から見えてきた、ダーウィンも知りえなかったまったく新しい進化のすがたとは?(表紙裏扉の紹介)

 ウイルスが自らの遺伝子を宿主のDNAに逆転写し共生していること、 ヒトゲノムの約半数がウイルス由来であることなど、 驚きの事実が解明され、医療に新たな道を拓いていく。

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 『鹿の王』著者上橋菜穂子氏絶賛! この強烈に面白い本が、『鹿の王』を生みだすきっかけとなる火花を私に宿してくれました。

 というのが、この本を読むきっかけになった。資料をしっかり示し、素晴らしい本なので、いささか難しく、要点だけが知りたかった私は、かなり飛ばし読みをしてしまった。


フェイスブック
facebook
世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男

ベン・メズリック
Ben Mezrich

夏目 大 訳

青志社




2017/5/4
2010/4/17 発行
 世界中で5億人以上のユーザーを持つ巨大ソーシャル・ネットワーク「Facebook」、はじまりは2003年冬のハーバード大学でのこと。社交性ゼロのコンピュータおたくマーク・ザッカーバーグは、自分のことを相手にもしない女の子への腹いせがきっかけで、いまや億万長者となった。

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 映画「ソーシャルネットワーク」の原作本。
 著者はザッカーバーグに直接取材はできていないそうなので、周りの人の考えや推測を元に描いているので、「何を考えているのかわからない人物」としか描けてない。天才には違いない。
 
 他のITの天才たちと何が違ったのだろう?こんな億万長者になるには何が違ったのかが知りたいと思ったが、それは読み取れなかった。


他の作品
   東京ゴールドラッシュ
   マンモスを再生せよ
 


プリズン・ブック・クラブ
THE PRISON BOOK CLUB

コリンズ・ベイ刑務所読書会の1年

アン・ウォームズリー
Ann Walmsley

向井 和美 訳



2017/3/10

2016/9/16 発行
著者ーーー「グローブ&メール」「マクレアンズ」などに執筆するジャーナリスト。全米雑誌賞を四度受賞したほか、カナダ・ビジネス・ジャーナリズム賞、およびインターナショナル・リージョナル・マガジン賞を二度受賞している。
初めて読書会を作ったのは九歳のとき、現在は家族とともにトロント在住。

 「刑務所は受刑者同士が孤立している場所だというのに、 この読書会でなら、人種や民族や暴力団の派閥の壁をやすやすと越えられるんだ」 『怒りの葡萄』『かくも長き旅』『またの名をグレイス』…… 刑務所内での本をかこんでのやりとりを通して囚人たちは自らの喪失感や怒り、孤独、贖罪について吐露し、読書の楽しみを知り、異なる意見の持ち主の話にも耳を傾けるようになった。 ――― 1年間ボランティアとして読書会運営に関わったジャーナリストが見た、囚人たちの変化とは。読書の効用、犯罪者の更生についても考えさせられる、胸に迫るノンフィクション。 (Bookデータベース)

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 読書会の愉しみは、本を読んだ感動を人と分かち合えること、人に語りたくなるので聞いてくれる人がいること、自分には思いつかない感想を知ることができる、自分では手に取らないかもしれない本を読む機会を得ること・・・・・・いろいろあるがそれらを刑務所の制限のある暮らしの中の受刑者も同じように感じている。むしろもっと鋭い感性で、深く読み込んでいるような気がする。
 非常に面白い内容だったが、読むには時間がかかった。
 紹介されている本を全部読めていればもっとよくわかったのにと思うが、カナダの刑務所だから仕方がないけど。
 カナダの刑務所は、なんか凄いな・・・・こんなふうに読書会があるなんて。更生プログラムとか、社会復帰するための施設が別にあったりするらしい。その説明もよくよくわかるように書かれていて、さすがジャーナリストだと思う。


コンピュータに記憶を与えた男
The Man
Who Invented the Computer
ジョン・アタナソフの闘争と
コンピュータ開発史


ジェーン・スマイリー 
Jane Smiley
日暮 雅通 訳
河出書房新社


2017/1/30
2016/11/20 発行
著者
 1949年ロサンジェルス生まれ。ニューヨーク州のヴァッサー大学を卒業したあとアイオワ大学で博士号をとり、アイオワ州立大学で英語学教授を務めた。カリフォルニアに帰った今でも同大学でクリエイティヴ・ライティングを教えている。1991年の長篇小説A Thousand Acres(邦訳『大農場』)で、1992年度ピューリッツァー賞(フィクション部門)を受賞

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 チューリング、フォン・ノイマン、ツーゼ、フラワーズ、ニューマン、モークリー&エッカート、そして本書の主人公ジョン・アタナソフ―コンピュータ発明史は単なる発明の物語におさまらない、知性のはたらきや世界の動きまでを語る一大歴史物語だった。ピューリッツァー賞作家が描く、スリリングな傑作理系ノンフィクション! (Bookデータベース)

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 コンピュータ開発にかかわった人が大勢いて、詳細に紹介しているので読むのがすこししんどい。途中から重要人物でなさそうだと思ったらななめ読みした。
 本書は、特許をとらずに忘れ去られたアタナソフ自身のストーリーでありながら、同時代の研究者たちがそれぞれどんな立場でいかに研究開発をすすめていたかも描かれているから。
 
 「誰が最初にコンピュータをつくったのか?」はなかなか難しいことのようだ。
訳者があとがきで「コンピュータ黎明期において”勝者”はいなかったのではないか。アタナソフは無視され、モークリーとエッカートは排除され、チューリングは自殺、ツーゼもほぼ無名のまま・・・・・・・。
 元はみな、膨大で単調な計算を繰り返さなければならないことに辟易して、計算の自動化をめざした。それがコンピュータの始まりだ。


ヴェルヌの「八十日間世界一周」
に挑む

4万5千キロを競ったふたりの女性記者

Eighty Days
Nelle bly and Elizabeth Bisland’s 
history-making race around the world

マシュー・グッドマン
Matthew Goodman

金原瑞人・井上里 訳

柏書房



2016/7/9
2013/11/10 発行
 ネリー・ブライと、エリザベス・ビズランド。19世紀、ジュール・ヴェルヌの小説を現実のものにした記者がいた。近代技術の黎明期、蒸気船、蒸気機関車を乗り継いで、世界を巡ったジャーナリストの物語。

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 非常に面白かった。19世紀のことを知ることもできた。

 ジュール・ヴェルヌといえばSFの開祖、SFの父ともいわれ、「地底旅行」「月世界旅行」「海底2万マイル」などのSFや「十五少年漂流記」などの冒険物語の作者だ。
 この「八十日間世界一周」も冒険物語として有名だ。

 ジュール・ヴェルヌがまだ生きている時代に二人の女性記者は、架空の世界一周の旅の記録を現実に破ろうと挑戦した。ネリーは東回り、雑誌社のエリザベスは西回り。
 ネリーは、旅の途中でフランスへ行きジュール・ヴェルヌに会い、頑張れと言ってもらえる。
 19世紀の世界、女性が世界一周をするというのは無茶だ!無理だ!としか思えないのに成功できた。大きな新聞社のバックアップがあったとはいえ、何があるかわからないのだから、凄いとしかいえない。
 ネリーは、アメリカに帰ってきたとき物凄い歓迎を受ける。まあ、当然だろうな。

 作者は、二人の生い立ちから性格なども描きつつ、交互に二人の訪れた場所の描写をしていく。その間で、時代背景や人々の様子が描かれる。列車ができて遠くまで行けることにより、標準時が生まれたこと。女性が仕事を得るのは難しいことなど。
 船の1等客室で豪華な旅をするイギリス人やアメリカ人に対して3等の不衛生で劣悪な環境の中、簡素な食事の中国人移民の姿から支配するものとされるものについても考える。

 世界中で特権意識を抱くイギリス人、それに反感を覚えるアメリカ人、または憧れるアメリカ人。
 無謀な世界一周だと思ったが、世界中のイギリスの支配地を回っていくんだなあ、言葉も英語で済むんだなあとおもい、未開のわからないところへ行くわけではなかったのだ。
 日本にも来ていい印象を持ったようでよかった。日本がいいところだとエリザベスから聞いたラフカディオ・ハーンは後に日本にやってくることになるんだろう。
 
 勝者の記録は72日間。大仕事の影響に悩みながらも、貧しい人を支援する記事や書評などを、最後まで執筆活動を続けた(新聞書評より)


CIAの秘密戦争
「テロとの戦い」の知られざる内幕

The Way Of The Knif

マーク・マゼッティ
Mark Mazzetti
小谷賢 監訳
池田美紀 訳
早川書房


2016/6/22
2016/2/20 発行
 2001年の9・11同時多発テロ後、アメリカの情報・軍事政策は一変した。中東やアフリカの各地で、中央情報庁(CIA)は無<人機に頼った暗殺作戦に血 道を上げる準軍事組織に様変わりし、一方で国防総省(ペンタゴン)は自前のスパイ組織を立ち上げ、特殊部隊が正規の戦場の外でテロリストを狩り始める。両 者は互いの縄張りを奪い合い、次第に確執を深めていく――。インテリジェンスと安全保障分野に精通し、CIAと対テロ戦争の最前線を追い続ける《ニュー ヨーク・タイムズ》のトップ・ジャーナリストが、膨大な取材をもとに劇的に変貌を遂げつつある世界最大の情報機関と「影の戦争」の実態に光を当てる。海外 メディアで絶賛を浴びた闇のクロニクル。解説・小谷賢(防衛研究所主任研究官)。

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 私には、読みにくかった。興味深い内容ではあるのに。


病気はなぜ、あるのか
Why We Get Sick
進化医学による新しい理解

ランドルフ・M・ネシー&ジョージC・ウイリアムス
Randolph M Nesse & George C Williams

長谷川真理子・長谷川寿一・青木千里 訳


新曜社





2016/4/17

2001/4/15 発行

 私たちの体はこんなにもうまくできた構造をしているのに、なぜ病気にかかりやすいのだろうか。本書は「ダーウィン医学」(=「進化医学」、チャー ルズ・ダーウィンの自然淘汰の理論)をベースにして、病気やケガ、老化など我々にとって身近で重要な問題を、2人の進化学者がわかりやすく解説したもので ある。 

   著者らは病気の原因として、防御、感染、新しい環境、遺伝子、設計上の妥協、進化の遺産の6つを挙げている。そして、それ ぞれのカテゴリーの中で、病理は真価を認められないある種の利益と関係しているという例を紹介している。人間にとって病気は憎むべき存在だという思い込み が、根底から覆されるような考え方である。

   たとえば、防御について言えば、色白の人が重度の肺炎にかかると、顔色がくすみ、ひどい咳 をするだろう。この場合、くすみは欠陥があることの表れであり、咳は防御の表れである。欠陥を治すことは有益であるが、防御を妨げて、排除してしまうと、 大変なことになる可能性がある。しかし、実際の医療の現場はまさに、防御を妨げるような治療法が行われているのである。我々の体は長い時間をかけて、種の 繁栄に有利なように進化してきていて、さまざまな肉体の現象は、どれもこの目的を果たす上で有効なのである。

   医学を進化の視点で見ることは、病気の進化的起源を理解するのに役立ち、その知識は医学本来の目標を達成するのに大いに役立つ、と著者らは自信をもっている。そして、我々は本書を手にすることによって、彼らの自信に間違いがないことを知るだろう。(冴木なお)商品説明より

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WikiLeaks
ウィキリークス
アサンジの戦争

Julian Assange’s War on Secrecy
「ガーディアン」特命取材チーム
デヴィッド・リー&ルーク・ハーディング 著
David Leigh &Luke Harding

講談社




2016/3/11
2011/2/15 発行
2010年11月、アメリカ国務省の外交公電を一斉に公開し、世界中を驚かせた内部告発サイト「ウィキリークス」。このときリークされた公電の内容がきっかけとなって、チュニジア・エジプトの政変劇につながったとも言われています。

そのウィキリークスに最も早くから接触し、アフリカ・イラク戦争の報告書や外交公電のスクープを連発したのが、調査報道を得意とするイギリスの名門リベラル紙「ガーディアン」でした。
昔のドラマの刑事のような、昔気質のユニークな新聞記者軍団とジュリアン・アサンジ率いるミステリアスな組織「ウィキリークス」がときには激しく対立し、ときには真摯に協力しながら、世界を大きく変えるほどのスクープ報道を繰り広げていった、その壮大なドラマ、全真相を当事者の「ガーディアン」記者チームが描きます。(Bookデータベースより)

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FBI心理分析官
ロバート・K・レスラー
&トム・シャットマン
相原 真理子訳
早川書房



2015/7/23
1994/4/30 発行
被害者の血を飲む殺人鬼、バラバラにした死体で性行為にふける倒錯者、30人以上を殺害したシリアル・キラー…異常殺人者たちを凄惨な犯罪に駆り立てたも のはなにか?FBI行動科学課の特別捜査官として数々の奇怪な事件を解決に導き、「プロファイリング」という捜査技術を世界中に知らしめて『羊たちの沈 黙』や「X‐ファイル」のモデルにもなった著者が、凶悪犯たちの驚くべき心理に迫る戦慄のノンフィクション。

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 途中からは、プロファイリングの手順というか分析していく手順が面白く、引き込まれるようにして読んだが、前半の異常な殺人者たちの犯罪の手口、説明は、気持ちが悪くなるようだった。
 プロファイラーが精神の病になるのもうなずけるようだ。
 
 娘が高校生の時に読んだはずだが、前半の性犯罪の残虐な描写を読んで大丈夫だったのかが今更心配になるほどだった。


世紀の空売り
The Big Short
inside the doonsday machine
マイケル・ルイス
MIchael Lewis
東江 一紀 訳


2012/12/5
2010/9/15 発行
世界中が、アメリカ発の住宅好況に酔っていた2000年代半ば、そのまやかしを見抜き、世界経済のシステム自体が破たんする方に賭けた一握りのアウトサイダーたちがいた。
 難攻不落の鉄壁のまやかしを演出するのは、ゴールドマン・サックスやリーマン・ブラザーズなどの投資銀行、ムーディーズなどの角付け機関に、米国政府。
彼らに挑んだその大相場を人は、
「世紀の空売り」と呼んだ。   (裏表紙により)

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ライフログのすすめ
人生の「すべて」を
デジタルに記録する!

Total Recall
How the E-Memory Revolution Will Change Everything

ゴードン・ベル & ジム・ゲメル
Godon Bell & Jim Gemmell

飯泉恵美子 訳

ハヤカワ新書



2012/8/29

2010/1/20 発行
人の記憶力には限界がある。だが、あなたの見聞きしたもの、触れたもの、そして普段は気にかけない自分の位置情報や生体情報まで、人生の「すべて」をデジタルに記憶させれば、いつでも簡単に検索して取り出すことができる。仕事に役立つのみならず、病気の兆候を発見することや、いずれはヴァーチャルな分身に人生を語らせることも可能だ。いいことずくめの「ライフログ」の時代はやってきたのだ! 
みずから「人生の完全記録」を試みるコンピューター科学の重鎮が、その基本概念と可能性、実践法までを情熱豊かに語り尽くす。
序文:ビル・ゲイツ

著者  ゴードン・ベル
マイクロソフト研究所(マイクロソフトリサーチ)首席研究貝。1934年ミズーリ州生まれ。1956年にマサチューセッツエ科大学卒菓後、デジタル・イクイップメント社(DEC)で初期コンピューターの設計に携わる。カーネギーメロン大学でコンピューター・サイエンスと電気工学の教授を務めたあと、DECに戻り研究開発部門の副社長を務める。その後も、米国科学財団で全米教育研究ネットワーク(NREN)をインターネットに育て上げるプロジェクトを率いたり、スバコン界のノーベル賞と評される「ゴードン・ベル賞」を設立したりするなど、現代のコンピューター産茉の礎を築いた。1991年より現職。またハイテクベンチャー投資家としても知られている。サンフランシスコとシドニーに在住。

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 人生のすべてをデジタルに記憶する・・・・・・なんと、魅力的な言葉だ。記録魔と言ってもいい私にとっては神の声だ。
 では、どうすればいいのか。今までの物はすべてスキャナーで取り込み、現物は処分するのだそうだ。書類も書籍もスキャンしたらどんどんシュレッダーにかける……私にはそこまでの勇気はないが、少しはできるかもしれない。少しずつ、やってみるか。
 『電子記憶を家庭で使う』というコーナーがあり、整理のお役にたつ、と書かれている.
行動の記録は、写真やメモに残し専用アプリに入れていく、それにはスマートフォンがいいらしいのだが・・・・・。


閉じこもるインターネット

The Filter Bubble:

What the internet is hiding from you

グーグル・パーソナライズ・民主主義

イーライ・パリサー
Eli Pariser

井口 耕二 訳

早川書房




2012/6/20

2012/2/20 発行
あなた好みの情報を自動的に取捨選択して見せてくれる、近年のネット社会のフィルタリング技術。その裏に潜む、民主主義さえゆるがしかねない意外な落とし穴とはーーー。

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 テレビや新聞は、報道に偏りがあると思っていた。だから、インターネットから幅広く情報を仕入れればいいと思っていた。
 だけど、どうもそうではないらしい。

  フィルターバブルの中に入るというのは、自分が目にする選択肢をその会社に選ばせることを意味する。運命の手綱を握っているつもりが、パーソナライゼーションによっていつのまにか、過去のクリックが今後目にするものを決める情報の決定論のようなことになってしまい、過去と同じことを繰り返すだけになってしまう。

 たとえば、2002年公開のSF映画「マイノリティ・リポート」では、道を歩く人にパーソナライズされたホログラムの広告が話しかけるシーンがある。このようにパーソナライズされた世界初の屋外広告版が東京のNEC本社ビルに設置されている。1万人の写真が収められたデータベースと顔のスキャン結果から通行人の年齢と性別を判断し、若い女性がいると判断すれば、そういう人物に適した広告を提示する。

 最近のインターネットは、いつのまにか、自分が興味を持っていることや自分の意見を補強する情報ばかりが見えるようになりつつあるらしい。インターネットの世界にはあらゆる情報が存在しているが、その情報と我々との間にフィルターが置かれ、そのフィルターを通過できる一部の情報だけが我々に届く状態になってきている。しかもこのフィルターは、一人ひとりに合わせてパーソナライズされている。つまり、いま、我々が見るインターネットは一人ひとり違っていることになる。
 自分が検索したり、ネットで買い物をしたら、その関連の物ばかり、ネットの広告で見かけるようになった。

 フィルターを作って設置しているのはグーグルやフェイスブックといった企業だ。その背景にあるのは広告。ユーザーの興味関心が正確に把握できれば、それに合わせた広告が提示できる。グーグルやフェイスブックを使うと、これらの企業に膨大なデータが蓄積されていく。これらのデータには法外な価値が生ずる。便利だと思うか、様々なものが隠されて一部の物しか目にできなくなるというデメリットもあることに気づかなければいけない。


完全なる証明
Perfect Rigor




マーシャ/ガッセン
Masha Gessen



青木 薫 訳



文芸春秋









2010/11/13

2009/11/15 発行
マーシャ・ガッセン{Masha Gessen}
1967年モスクワ生まれ。この本の主人公であるグリーシャ・ペレルマンと同様に、ユダヤ人であるにもかかわらず選抜され、数学専門学校で学んだ。旧社会主義体制下でのユダヤ人に対する差別を逃れるために、大学進学を待たず、1981年に一家でアメリカに移住した。
1991年、ジャーナリストとしてモスクワに戻り、『US NewS &World Report』誌の特派員の傍ら、自らの二人の祖母が、東欧のユダヤ人として、ホロコーストと、スターリンの圧政をいかに生き
延びたかを綴った『Two Babushkas』(2004)などを著している。
同時期にソ連で数学のエリート教育をうけたユダヤ人という著者自身の背景を最大限にいかし、本書では、世紀の難問、ポアンカレ予想の証明をなしとげた数学者ペレルマンの実像を、これまでにない形で浮かび上がらせている。

訳青木薫〔あおき・かおる〕
1956年、山形県生まれ。京都大学理学都卒、同大学院修了。理学博士。翻訳家、主な訳書にサイモン・シンの「フェルマーの最終定理」「暗号解読」 「宇宙創成j、ブライアン・グリーンの「宇宙を織りなすもの」など、専門の理論物理学を活かしたものから、数学、分子生物学まで、科学書をもっとも美しく訳す訳者としてファンは多い。
「幅広い層に数学への興味を抱かせる本を翻訳して、数学の普及に大きく貢献している」としてで2007年・の日本数学会出版賞を受賞している。

 100万ドルの賞金がかけられた数学の七つの難問のひとつ「ポアンカレ予想」の証明。
 今世紀中の解決は到底無理と言われたその証明が2002年にインターネット上にアップされる。
 だが、世紀の難聞を問いたその男は、フィールズ賞を拒否し、研究所も辞職、数学界からも世間からもすべての連絡を絶って消えた
 ペレルマンと同時代に旧ソ連で数学のエリート教育をうけた著者だからこそ書けた傑作評伝ノンフークション

   ******************************

ざっとななめ読みをしただけ. 
著者も訳者も女性.
天才の中の天才、それも数学の天才となると、やはり変わっている.

日米同時出版だそうだが、アメリカ版では、ソ連時代の描写(数学を守ろうとした人たちなどのことや、主人公がソ連の中でどういう教育を受けたのか)などを省略した編集だったらしい.
日本版ではすべてを載せているので、著者が喜んでいるという著者のあとがきが、印象的だ.

本書の執筆は、いわば復元のための取り組みだった。なぜなら私は、本書の主人公である人物に直接インタビューを行うことなく、彼の友人や先生、そして仲間の数学者たちが与ええてくれたパズルのピースを組合せることによって、その人物像を描き出すことになったからである。そうして描き上げた全体像の中でもとくに重要なもののひとつが、ソビエト数学の文化、わけても数学専門学校の文化に関する部分だろう。数学学校の。歴史は、それ自体としてひとつの魅力的な物語となっている。私がとりわけ嬉しく思うのは、この日本語版には、アメリカ版とは異なり、私だから書くことのできた数学学校の物語が、十全なかたちで含まれていることである。また日本語版には、スターリンのあの粛清の時代を、ほとんど奇跡のように生き延びた数学者たちのことも語られている。


『ロスト・シンボル』の真実
ダン・バースタイン
アーン・デ・カイザー(編)
青木 創 訳
角川書店


2010/8/19
2010/4/30 発行

 たいして読む価値のない本だと『ロスト・シンボル』を退けるのは簡単だ。たどたどしく陳腐ないいまわし、現実離れした筋書き、過剰に盛りあげようとする演出、野暮ったい文章に加え、複雑な概念を簡略化しすぎることなど、これまでのダン・ブラウン作品にあった問題は、やはりこの『ロスト.シンボル』にも見られる。わたしはダン・ブラウンのファンであることを認めるにやぶさかでないが、それでも、会話の流れが不自然になりがちな点、事実関係の齟齬が目立つ点、人物造型が薄っぺらい点については先頭に立って批判の声をあげる。

 ここまで書きながら、それでも興味と好奇心をそそる作品であり、得がたいフィクションであるという。
 それどころか、何年も待ちかね、大体の題材を知ってからは、内容を予測し、舞台は何処か、何の謎を扱うか、どう取り扱うかなど、それについて調べ、予測の一部は当たるほどの熱心な読者である。

 どれが真実の物でどこがフィクションかを調べる楽しみというのもあるらしい。普通の人にはとても調べられないので、調べてくれたこれらの本を参考にして「ロスト・シンボル」を読むのも面白いかもしれない。

 関連本「ダビンチ・コード」の真実


アンティキテラ
古代ギリシアのコンピュータ
Decoding The Heavens
Solving the mystery of
the world´s first computer
ジョー・マーチャント
Jo Marchant
木村 博江 訳

文藝春秋



2010/4/20

2009/5/15 発行
 一九〇〇年に、地中海の小島アンティキテラの海底に沈む古代ギリシアの沈没船から引き揚げられたブロンズの塊は、たくさんの歯車と古代ギリシア文字だった。精巧な作りは時計か計算機に近いものを感じさせ、一千年以上時代に先んじているとしか思えなかった。
 誰が、いつ、なんのために、これを作ったのか。本書は、その謎が解きあかされるまでの百年あまりを描いた物語である。

 個性豊かな人びとが謎解きにかける執念と確執は、この本の読みどころの一つである。

 作家のアーサー・C・クラークは、アンティキテラの破片を見て、この知識が継承されていたなら産業革命は千年以上早まり、いまごろ人類は近くの星に到達していたはずだと語った。

 また、かの、宇宙人飛来説を唱えていたデニケンもとりあげていた。

 オーパーツ発見された場所や時代とはまったくそぐわないと考えられる、「場違いな工芸品」)を語るときには必ず取り上げられていた古代のコンピュータ。ほんとに不思議だったが、このように何十年もかけた地道な研究が続けられていたとは知らなかった。

    『歯車のように見えた遺物だから古代のコンピュータみたいだ』、といわれている程度だと思っていた。暦を表す数の歯車が何重にも重なって惑星の動きを示し、日食の時期も予測できたらしい。まだすべてを解明できていないが、もっとすごい事柄を示しているのかもしれない。




神々の捏造
Unholy Business



ニナ・バリー
Nina Burleigh

鳥見 真生 訳




2010/4/19


2009/8/3 発行

訳者あとがき  が、全てを物語っているのでここに使わせていただく。

こんなに面白いノソフィクションがあっていいのか!(そこまでとは思わなかったがーー私)
本書はアメリカ人女性ジャナリスト、ニナ・バーリーが、聖地エルサレムを舞台に、聖書時代の遺物の偽造事件に迫る、本国アメリカでも話題のドキュメンタリーだ。すべてが事実であるにもかかわらず、登場してくるのは、うさん臭さ100%の個性的なキャラクターと信じがたいエピソードの数々。上質のミステリーも顔負けの奇想天外な、時にとんでもなく間抜けな展開に夢中にさせられると同時に、聖書から考古学、ユダヤ教からパレスチナ紛争まで、誰もが興味をもっていながら難解そうに思われた事柄までが、自然に理解できるお得な作品なのである。

とりわけ、偽造犯として起訴されたオデッド・ゴランにはじらされっぱなしだ。一体ゴランとは何者なのか?一見普通に見えても、彼の言動は不可解きわまりない。仮に彼が犯人だとして、関与していたのは古美術品の偽造や取り引きだけなのか?一連の出来事の裏には国際的な陰謀が潜んでいるのではないか?そこまで深読みさせられてしまう。

四国より一回り大きい国土に約七〇〇万人が住むイスラエルは、その八割を占めるユダヤ人がユダヤ教徒で、残るパレスチナ人はイスラム教徒かキリスト教徒だという。この三つの宗教は同じ唯一神を奉ずるいわば兄弟の宗教だが、最も古いのがユダヤ教だ。そして、旧約聖書のみを聖典とするユダヤ教徒にとっては「ヤコブの骨箱」より、旧約聖書に登場する伝説の王ソロモン実在の証拠かもしれない「ヨアシュ碑文」の方がはるかに重要だ。ソロモン実在が証明されれば、現在イスラム教徒の管理下にある神殿の丘だけでなく、パレスチナ全土への領有権主張もしやすくなる。事は国家レベル、軍事にさえ及んでいるのだ。ちなみにイスラエルは二〇〇九年度の「世界平和度指数」で、イラク、アフガニスタンに次ぐワースト3にランクされた。(鳥見真生)

    ********************

 日本人には、なじみがなく、イスラエル、エルサレム、カナン、パレスチナ人、ペリシテ人、など区別がつかない事柄なので、それらの関係や、これまでの歴史とあわせて少しは理解の入り口に立てたかなと思う。
 


不都合な真実
アル・ゴア
AL GORE
枝廣淳子 訳
ランダムハウス
講談社

2007/10/24
2007/1/5 発行
 アル・ゴアは、アカデミー賞だけでなく、ノーベル平和賞も受賞した。
 写真を多用し、温暖化がいかに世界中で進んでいるかをわかりやすく示している。

 例えば、氷河の写真では、数十年前との比較がわかりやすい。

 そして、「自宅の省エネをすすめよう」と、省エネ型電気製品を買おう、冷暖房の効率を上げよう、グリーン電力に切り替えよう、など・・・・。
 ほかに「消費量を減らし、もっと節約しよう」「変化の促進役になろう」とよびかけている。

 プレゼンテーションが上手で、訴える力が大きい。ただし、ゴア氏自身が省エネをしているようには見えないで言っているだけのように見えてしまうのは皮肉だ。

 影響力が大きいので、いままで無関心だった人が、地球に優しくすることに気付けるという功績はあっただろう。


アダムの旅

Y染色体がたどった大いなる旅



スペンサー・ウェルズ

和泉 裕子 訳

バジリコ





2007/7/6


2007/2/5 発行

私たちの前に生きていたのはどのような人々で、どこに住み、どんな暮らしをしていたのだろう。

 今の私たちは十億年以上にわたって遺伝子が変化していった結果であり、遺伝子にはその長い物語を解明する手がかりが秘められている。
 Y染色体には過去に突然変異が起きたかもしれない場所が多数存在する
 アダムから男系の子孫へ受け継がれたY染色体は、旅路を解明するための最も正確なツールになる。
 Y染色体をたどっていくと、五万九千年前にアフリカで生きていた一人の男性に行き着く。同じように、ミトコンドリアDNAは、二十万年前、おそらくアフリカにいたであろう一人の女性に由来する。この女性はミトコンドリア・イブ全人類の母と名づけられている。

 アフリカ人が増加し始めたのは約六万年前、次がアジア人で五万年前、最後のヨーロッパ人が三万年前である
 変異の起きた順序と場所などマーカーを分析して、アフリカを出たあと、ヒトは中央アジアへM89、又は南アジアからオーストラリアへM130と二手に分かれたことがわかる。

 現生人類の広がり方の分布と、言語の分布も関連性がある。化石資料との整合性もあるとか。ミトコンドリアでの調査とも一致する。

 後記旧石器時代に進化した現生人類はアフリカを出て世界中に広まっていった。中国人はM122を持っているが日本人はM130、随分昔に枝分かれしたようで、近いはずなのに系統が違うらしい。
 
 ミトコンドリアは女性を通じて伝わっていくが、Y染色体は男性によって伝わっていく。DNAを分析するだけで、こんなことまでわかるのかと驚きと感動があった。









「左利き」は天才?

利き手をめぐる
脳と進化の謎

デイヴィッド・ウォルマン

梶山 あゆみ 訳

日本経済新聞社




2006/11/9

全人類の約10%を占める「左利き」の人たちは、右利きの人とどこが違うのか?左利きはどうやって生まれるのか?脳の仕組みや働きに差があるのか?動物にも利き手はあるのか?自ら左利きである著者は、利き手にまつわる学説や珍説、迷信の真偽を確かめようと、科学的探検の旅に出た。
 その旅は驚くべき発見の運続だった。左利きばかりの一族が建てたというスコットランドの古城、19世紀の脳の標本が保管されているパリの博物館、軽井沢のゴルフコース、事故に遭って右腕の先端に左手を移植された男……。
 著者は世界各地で研究者や左利きの人たちと語り合ううちに、利き手をめぐる謎が、言語の起源や知性の進化といった現代科学の最重要トピックと深くつながっていることを知る!「左利きの人への贈り物に最適」(PW)と評された、奇想天外なサイエンス・ノンフィクション。
と表紙の裏に書いてある。著者は左利きを端緒にいろいろなジャンルに踏み込んでいく。謎は謎のまま、結論は出ない。なぜ左利きが生まれるのか知りたかった。

 左手は「レフトハンド」じゃあなぜ「サウスポー」というのか。
 「サウスポー」という言葉は野球からきていて、一九世紀後半のシカゴで生まれたといわれている。シカゴ・ホワイトソックスの本拠地だった旧コミスキーパーク球場では、左利きのピッチャーがマウンドに立っと西を向くことになる。つまり、弓なりにしなる腕も、ボール自体も、南(サウス)の方角から出てくる。《シカゴ・ニューズ》紙のスポーツ記者の造語だとの説や、ピッチャーより前に左利きのボクサーをこう呼んでいたとの説もある。だそうである。


文明崩壊
上・下

滅亡と存続の命運をわけるもの

ジャレド・ダイアモンド

楡井 浩一 訳

草思社



2006/10/3

 なぜ隆盛を極めた社会が、そのまま存続できずに崩壊し滅亡していくのか?北米のアナサジ、中米のマヤ、東ポリネシアのイースター島、ピトケアン島、グリーンランドのノルウェー人入植地など、本書は多様な文明崩壊の実例を検証し、そこに共通するパターンを導き出していく。

 崩壊を招くには5つの要因があるとして環境被害、気候変動、近隣の敵対集団、友好的な取引相手、環境問題への社会の対応をとりあげ、環境問題としては、有毒廃棄物、 森林、水資源、気候変動、生物多様性の低下、外来種の侵入などについて具体的に検証する。
 滅びた社会、現在滅びつつある社会(あるいは文化、産業)、そして、さまざまな環境の恵みや住民の知恵で滅亡を免れた社会を取り上げて、滅びのメカニズムを個別に検証し、崩壊を免れた事例として、ニューギニア高地、ティコピア島(辺境ポリネシア)、江戸時代の日本、アイスランドなどが取り上げられる。

 既に崩壊して人がすまなくなった土地について読んでいると、日本は国土は小さく、人口過密で資源を使い尽くして滅亡してもおかしくない条件が揃っている。だが、日本は徳川時代に森林保護の政策をとって豊かな森林を保持することができた。しかし現代の日本は、資源を外国に頼り、熱帯雨林破壊や魚介類乱獲の要因を作っていて、資源枯渇問題を日本以外へ移しただけに過ぎない。

 第四部 将来に向けて では、企業に環境保護的な経営方針をとらせたいなら、倫理とか良心とかに訴えるのではなく、環境保護に心を砕くことが企業の利益につながるよう仕向けろ、と説く。
 

例にあげた地域が辺境であったり、一般的でない印象もあるが、過去の教訓から学んだきわめて現実的かつ建設的な処方箋を提示する。世界を見る眼が変わる力作。



氷河期の「発見」
地球の歴史を解明した
詩人・教師・政治家


エドマンド・ブレア・ボウルズ

中村 正明 訳

扶桑社







2006/6/10
 19世紀、化石や地層の科学的研究がはじまった。聖書に基づく洪水説も根強かったころ一―ー面期的な新説が登場した。かつて地表は氷河に覆われていた、というのだ。
 北極でさえ氷のない海域だと思われ、巨大な氷河が存在することすら知られていなかった時代。この新説は、大スキャンダルとなった。
 だが、真理を求めて戦う人々がいた。命を賭して探検に挑んだ『詩人』、理想の科学者像を伝えた『教師』、巧妙に学説を完成した『政治家』。(カバーより)

 アガシはスィスに生まれ育ち、もっとも大きなアルプスの氷河までほんの少しの距離のところで仕事をしていたが、巨大な氷の存在に気がついたことは一度もなかったらしい。
 イライシャ・ケーンはグリーンランドの北端に向かって進んだが、北極に近づくにつれ氷は自ずと薄くなっていき、ついには消えるだろうと思っていた。
 チャールズ・ライエルはスイスを訪れ、モンブランの氷河を徒歩で渡ったが、氷河のせいで地形が変わっていることになぜか気がつかなかった。
 だが、この三人は氷河期を世界中の人に知らせる人物となるのである。

 ケーンの北極圏の探検はこれでよく帰還できたと思うほど危険なものだったし、『氷河期』という概念を理解されないまま研究し続けるアガシのエネルギーもすごい。氷河に覆われた世界のことなど、現代の我々と違って、見たことがないにもかかわらず凄まじい想像力を使って思索を深めていった、ダーウィンと同時代の19世紀の科学者達のドラマである。
 こういう人たちの研究の積み重ねがあってこそ、今の人類の発展もあるのだなあと感じいる。



ディープ・スロート
大統領を葬った男

ボブ・ウッドワード

伏見 威蕃 訳

文芸春秋



2006/2/10
 
 ニクソン大統領を辞任に追い込んだ「ウォーターゲート事件」から33年。新米記者ボブ・ウッドワードに地下駐車場で極秘情報をリークしていた人物が名乗りを上げた。当時のFBI副長官マーク・フェルト。ディープ・スロートが誰なのかは長い間謎だった。ボブはフェルトが死ぬまで秘密を守り抜く覚悟でいたが・・。「ディープ・スロート」というのはその当時話題になっていたハードポルノのタイトルだが、ワシントン・ポスト内で通称「ディープ・スロート」と呼んでいた。
 
 ニクソンを追い詰めていく新聞記者の活躍は、カール・バーンスタインとの共著「大統領の陰謀」で描かれ、映画ではボブの役はロバート・レッドフォード、カールの役はダスティン・ホフマンが演じていた。
 
 本書は、フェルトとの出会い、情報源秘匿のエピソード、取材や記事の扱いの当時の裏事情、その後のディープスロートにまつわる様々な推理、80歳を過ぎてフェルトが当時の記憶が薄らいでいることなど、歴史的報道の裏側を自伝的に語った、今だから書ける内容だ。

 著者には他に「ブッシュの戦争」「攻撃計画」などがある。
 しばらく入手困難だった「大統領の陰謀」の邦訳が再刊されたそうなので、映画しか知らない私は読んでみたいと思う。



もしも月がなかったら

――ありえたかもしれない地球への10の旅

ニール・F・カミンズ
竹内 均 監修
増田まもる 訳



2005/11/8
 
 もしも月がなかったら?・・自転速度が地球よりずっと速く、1日は8時間となる。生命の進化も遅い。
 
 もしも月が地球にもっと近かったら?・・公転周期が短くなり、日食や月食がひんぱんに起こる。潮の干満差が激しく、地震が頻発する。

 もしも地球の質量がもっと小さかったら?・・地震、火山活動の頻度が極端に小さくなるので空気が薄くなり、酸素が少ない為、人類は肺を大きくし、背を高くし、胸を厚くするだろう。

他にも、もしも地軸が天王星のように傾いていたら?もしも太陽の質量がもっと大きかったら?もしもオゾン層が破壊されたら?など、全部で10通りの〈ありえたかもしれない地球〉への旅をたどるシミュレーション・ロマン。
 少しの条件がちがうだけで、今のような地球はありえなかったことを考えると、地球は限りなく偶然が重なってできた星だとわかる。微妙なバランスを辛うじて保っているように思える地球。もっと、もっと地球を大切に!と考えさせてくれた一冊。

 万博の三菱館では、この本を元に地球環境を考えるシアター型パビリオンを作ってアピールしていたそうである。




東京ゴールド・ラッシュ

ベン・メズリック

真崎 義博 訳

アスペクト



2005/8/25

 原題は「醜いアメリカ人」――ヘッジファンド・カウボーイズ日本来襲!3分間で600億円荒稼ぎの全記録――
 バブル崩壊後の日本を舞台に、ヘッジファンドで荒稼ぎをする米国人トレーダーたちの姿を描いた、実話に基づく小説である。
 ニュージャージーで育ったジョン・マルコムはプリンストン大を卒業したあと金融会社の日本支社に雇われる。大阪を手始めに、上司に相場師として鍛えられながら実力をつけていく。
 日本はガイジンにとってユーザーフレンドリー。日本に在住するアメリカの金融関係者が、歌舞伎町、六本木の性風俗に出入りする生態も描いている。
 香港のハンセン指数にからむ先物取引や、阪神大震災直後の日経先物でのニック・リーソンの敗北と、ベアリングズ銀行の倒産も詳細に描かれている。
 最後にマルコムは日経指数に新しく採用されるハイテク関連株と削除される巨大企業株の入れ替えに絡み、3分間で600億円も稼いだあと、日本人妻とバミューダで優雅に暮らす。
 日本には金儲けのチャンスがそんなにあるのか、日本は簡単に手玉にとられているのか、荒稼ぎをされたら、どこがその分の損をしているのか、いろいろ気になった。

 他の作品
   Facebook
   マンモスを再生せよ



ダ・ヴィンチ・コードの「真実」

ダン・バースタイン 編

沖田 樹梨亜 訳

竹書房



2005/8/23
 
 著者は「ダ・ヴィンチ・コード」を読んでみたら、面白くて一晩中読み続けた。そして、知的好奇心でいっぱいになり、何が真実で何が虚構なのか、どれが裏づけのある説でどれが単なる作者の想像なのかを知りたくなった。そして、同じ興味や好奇心をいだいた人のために本にまとめたという。ありがたい、自分で調べなくて済む。

 ダン・ブラウンのインタビューも収録されている。

 「ダ・ヴィンチ・コード」―ーー検証Q&Aによると、
オリンピックの公式マークが五芒星に決まりかけていた・・・?世界中のどのミツバチの巣を調べても、雌の数を雄の数で割ると黄金比になる・・・?MONA LISA が AMON L'ISA のアナグラムである・・・?教皇クレメンス五世とフランス国王フィリップ四世が企てたテンプル騎士団の壊滅作戦が、1307年10月13日の金曜日に始まったため、今も、13日の金曜日が不吉な日になった・・・?組織神学研究所は膨大な量のテキストをデジタル処理し数百テラバイトのデータをスキャンできる・・・?

 他にもたくさん、検証しているが、それだけ「ダ・ヴィンチ・コード」で、学説、仮説、伝承、伝説、噂まで、題材として使われていたということで、難しくもあり、楽しみもあり、好みが分かれたところだろう。
 



脳のなかの幽霊

V・S・ラマチャンドラン
サンドラ・ブレイクスリー

山下 篤子 訳



2005/5/23
脳というのはまだ不可解領域の多いところ。タイトルと表紙に惹かれて読み始めてはみたものの・・・・・・・・。

「・・脳は他の脳の働きを解明できるばかりか、自己の存在について問いかけをする。私は何者か。死後はどうなるのか。私の心は脳のニューロンからのみ生まれるのか・・・・・・脳が自分自身を理解しようと奮闘しているーーーーーからこそ、神経学はわくわくするほどおもしろい。」
切断された手足がまだあると感じるスポーツ選手、自分の身体の一部を人のものだと主張する患者、両親を本人と認めず偽者だと主張する青年―ーーーー著者が出会った様々な患者の奇妙な症状を手がかりに、脳の仕組みや働きについて考える。さらにいろいろな仮説を立て、それを立証するための誰でもできる実験を提示していく。高度な内容ながら、一般の人にも分かりやすい語り口で、人類最大の問題(意識)に迫り、現代科学の最先端を切り開く!(表紙扉内の紹介)

分かりやすく・・・とはいうものの、やっぱり精読するのは無理なので、興味深い症例だけをさがして飛ばし読みをしてしまった。
解説は養老孟司さんだったので飛ばしたところを補えたかな・・・・と勝手に思う。この本で養老さんはときどき声を出して笑ってしまうのだとか。タイトルのつけ方にも著者のいたずらが感じられるそうだ。(それが分かる人がどれくらい存在するか疑問だが)


COSMOS

カール・セーガン
Carl Sagan

木村 繁 訳

朝日文庫



1984/11/14

昭和59/4/20 発行
セーガン,カール
1934年、米国ニューヨーク市生まれ。シカゴ大学で天文学を学び、カリフォルニア大学、ハーバード大学などを経て、71年からコーネル大学教授。惑星大 気の研究などをしながら、米航空宇宙局(NASA)の太陽系惑星の探査計画に指導的な役割を果たしてきた。宇宙や生命の起源についての優れた科学啓蒙家と しても知られる。96年12月死去

    ****************

 天文学、惑星科学への夢を語り、今日の宇宙科学ブームのさきがけとなったベストセラーの復刊。上巻では、セーガン博士が初期から取り組み続けた太陽系惑星 の探求がつづられる。探査衛星などから送られる観測データをもとにした、金星、火星、木星、土星といった惑星の物語は圧巻。「なぜ地球には生命が存在した のか」を追った宇宙と生命の問題は、最大の関心事として現在の地球外生命の可能性の研究にまで受け継がれていく。(上)

 1972年、木星探査機パイオニア10号の打ち上げに際し、著者のカール・セーガン博士は「宇宙人」にあてて一通の「手紙」を積み込んだ。限りなく広がる 宇宙、暗黒の空間のなか、知的生物の住む惑星に流れ着く可能性はほとんどゼロ。しかし博士は「人類よりもはるかに進んだ文明人が宇宙のどこかにいて、パイ オニアを発見し、拾いあげてくれる」。そんな期待を込めて、金属板に裸の男女を描いた「絵手紙」を搭載した。ボイジャー1号、2号には、地球のさまざまな 音を録音したレコードを積み込むなど、人々の宇宙への夢と関心をかき立てた。下巻では、相対論、恒星や銀河の成り立ち、ブラックホールなどに触れながら ビッグ・バン宇宙論について詳述。核戦争後の地球を描いたセーガン博士はすぐれた科学者であるとともに平和主義者でもあった。(下)

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