読書日誌


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乱の女

永畑 道子
文芸春秋




2017/3/31 再読中
1993/1/13

1992/1/25 発行


小説
新聞社販売局


幸田 泉

講談社





2016/10/15

2015/9/8 発行
著者ーーー大学卒業後、1989年某全国紙に入社。支局勤務後、大阪本社社会部では大阪府警、大阪地検、大阪地高裁、東京本社社会部では警察庁などを担当。そのご大阪本社社会部デスク、同販売局などを経て、2014年退社。

 編集局から販売局に左遷された元社会部記者(主人公・神田亮一39歳)が、複数の新聞販売店を束ねる「担当員」となり、やがて知りたくもなかった業界の「闇」に足を踏み入れていく。
 「押し紙」を巡る激しい攻防、暗黙の裏ルール、
知る人ぞ知る「大幅値引き」、まさかの「公称部数水増し」!?
 さらに、「天ぷらカード」、「抜き取り」、「ゴミ出し」、
「預け」、「ピンピン」、「ピンサン」と次々出てくる隠語の数々。

 崩壊寸前のビジネスモデルに愕然とし、「残紙」に抗議する大物販売店主の「入金拒否」に苦慮する日々。「闇」はどこまで深いのか―。全国紙の元社会部記者が業界最大の暗部に迫った衝撃のリアル小説!

 新聞の原価は購読料の6割!?  新聞は「折り込み広告の包み紙」!? 
 
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 すごく面白かった。多少なりとも知っている世界なので、いくつかのエピソードは納得の内容だった。

 新聞販売店の入金を新聞社の担当員が自腹で建て替えるーーまさか、と思ったが、こんなことまでするのだろうか。これは驚いた。
 

 元全国紙の社会部記者が販売局在籍時代に経験したことをベースに書かれた小説なので書きやすかったのだろうが、今後は違う世界のことも小説に書いていくのかな。新聞記事と小説は文章が異なるのに面白い小説になっていた。今後に期待。


神奈備
かむなび

馳 星周

集英社




2016/9/16

2016/6/10 発行
馳星周(はせ・せいしゅう)ーーー1965年2月18日、北海道生まれ。96年、書き下ろし長編「不夜城」でデビュー。97年、同作で第18回吉川英治文学新人賞、98年「鎮魂歌--不夜 城II」で第51回日本推理作家協会賞、99年「漂流街」で第1回大藪春彦賞を受賞。近著に「雪炎」「アンタッチャブル」「陽だまりの天使たち ソウルメイトII」など。

 「神様、どうしてぼくは生まれてきたんですか?」。
 救われるのは、信じる者か、信じぬ者か。霊山・御嶽の麓の町で、悲惨極まりない人生を送ってきた少年、潤。山に棲まう神に会い、生きることの意味を問いた い…。積年の切ない望みを胸に、潤は誰もいない山へひとり姿をくらませてしまう。そんな潤を、強力の孝が思わぬ理由で捜索することになる。神を求め、信じ る潤。長く山で暮らしながら、神を信じぬ孝。恐るべき大自然の猛威に翻弄されながら、二人が熱く命の炎を燃やす―。

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 山岳小説らしい。
 全編、山の中を苦しい思いをしながら彷徨う。いつまで続くのだろうと、飛ばしながら読んだら最後までだった。
 私には興味のわかない作品だった。
 タイトルに惹かれたが・・・・・・・・。


ミステリー・アリーナ
深水 黎一郎
原書房



2016/9/16
2015/6/30 発行
 著者(ふかみれいいちろう)---1963年山形県生まれ。慶應義塾大学文学部卒。2007年に「ウツチモ・トルッコ」で36回メフィスト賞を受賞しデビュー。技巧性の高い本格ミステリから情緒豊かな物語まで幅広い作風で活躍。2011年に「人間の尊厳と八〇〇メートル」で第64回日本推理作家協会賞受賞。また「最後のトリック」(「ウルチモ・トルッコ」改題)がベストセラーとなり、話題を呼ぶ。他著書に「花窗玻璃」「ジークフリートの剣」「大?見警部の事件簿」「「世界で一つだけの殺し方」など。

  多重解決の極北!
ある屋敷で起こった不可解な殺人事件、これに挑むのはいずれも腕に覚えのあるミステリ読みのプロ≠スち。勝てば一攫千金のバトルロワイヤル
 全編伏線ともいえる「閉ざされた館の不可解な連続殺人」の真相を見抜く。早い者勝ち、「真相」が分かればいつでも解答可能の争奪戦。もちろん「あなた」も参加OK。強豪たちがつぎつぎ退場していくなか、その裏で、何かが始まっていた…(Bookデータベースより)

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 面白い試みだけど、読むのが面倒な気もしてきた。
 何通りもストーリーを考えることができるのはわかるけど・・・・・。

 初めて読んだ作家だが、他の作品も読んでみたいとは、今のところ思わないなあ。


小説 外務省

尖閣問題の正体


孫崎 享

現代書館



2016/8/8

2014/4/20 発行
 著者(まごさき うける)−−1943年、旧満州国鞍山生まれ。1966年、東京大学法学部中退、外務省入省。英国、ソ連、米国(ハーバード大学国際問題研究所研究員)、イラク、カナダ勤務を経て、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を経て2002〜2009年まで防衛大学校教授。

 『戦後史の正体』の著者が書いた、日本外交の真実。事実は闇に葬られ、隠蔽される<つくられた国境紛争>と危機を煽る権力者。外務省元官僚の近未来ノンフィクション・ノベル。

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 主人公の西京寺大介は1977年生まれ。東大を出て99年に外務省に入り、ハーバード大学とモスクワ大学でロシア語を学んだ外交官だが、外務省の方針に不信を抱き……。

 物語は12年2月、鳩山由紀夫元首相のイラン訪問に外務省がストップをかけようとするところからはじまる。 「米国が望んでいない」はすべての案件を論ずる時の切り札となる。

 尖閣諸島の領有権に関して「棚上げにする」という暗黙の了解があったが、民主党政権になって表面化したのはなぜだったのか。

 北方領土問題も尖閣諸島問題も、背後でアメリカが操っている、という。
 千島列島の境界をあいまいにしておけば、日ソはいつまでも揉めるだろうとアメリカが考えた。尖閣問題も、アメリカが態度をはっきりさせないほうが、日中間で揉め続けるだろう、とアメリカ。
 アメリカ陰謀論が強すぎて読みながら???だった。確かに今までと異なる視点で考えることも必要な気はしたが、鳩山元首相への人物破壊もほんとかな?と思った。
 元外交官による驚異の実録小説ではある。


掏摸(スリ)

中村文則

川出書房新社



2016/7/17

2009/10/20 発行
 東京を仕事場にする天才スリ師。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎??かつて一度だけ、仕事をともにした闇社会に生きる男。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前が死ぬ。逃げれば、あの子供が死ぬ……」運命とはなにか。他人の人生を支配するとはどういうことなのか。そして、社会から外れた人々の想い、その切なる祈りとは??。
 ベストセラー『掏摸(スリ)』など世界中で翻訳。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル年間ベスト10小説に続き、米文学賞、
デイビッド・グティス賞も受賞。ーーーー??

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 芥川賞作家がジャンルの壁を越えて描き切った、著者最高傑作にして称賛の声続出の話題作!
 という評価がついているけど、何で?
 ネットで見ると、好きではまってしまう人もいるらしい。
 
 私にとっては、スリの人生なんかに興味はないし、人生について考えるにしても、わざわざそこから考えなくてもいいのにとしか思えない。
 これは大江健三郎賞をとったとか?大江も嫌いだから私とは全く合わないのだろう。

 何故それなのに読んだか?サークルの課題図書だったから。それも半分以上飛ばし読みしてしまった。解りたいとも思わなかった。

 スリを、何故、漢字にしたのか、もったいをつけただけかも。

 
 


日本語人の脳
理性・感性・情動、
時間と大地の科学

角田忠信

言叢社



2016/6/25

2016/4/15 発行
 

 角田 忠信 (ツノダ タダノブ)  1926年、東京府中野区生まれ。1949年、東京歯科医専卒(東京医科歯科大学の前身、耳鼻咽喉科)。1951年に同大学助手、1957年に講師、同年 に「鐙骨固着度の検出法」で東京医科歯科大学にて医学博士。1958〜78年、国立聴力言語障害センター職能課長。1983年、東京医科歯科大学難治疾患 研究所教授。1986年、『脳の発見』で日本文学大賞(学芸部門)受賞。1990年、東京医科歯科大学名誉教授

    ****

 著者の半世紀を超える探究、「日本人の精神構造母音説」とその後の達成を伝える。自然に発声された非合成の連続母音を「言語範疇」のうちに捉える日本語人 とポリネシア諸語人の言語心性とはなにか。『正・続日本人の脳』に続く、齢90歳に近い著者の、人の大地性と言語感性の根底に迫る労作。論文集。

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 第1部 日本語人の特質―左右脳の非対称性と脳幹スイッチ機構(脳の感覚情報処理機構からみた日本人の特徴と今後の脳研究の方向
 第2部 日本語人と脳の情動性(ヒトの嗅覚系、情動脳、自律系の非対称性について
 第3部 人の脳にある生物学的時間単位と脳センサー(人の脳にある正確な一・〇〇〇〇秒の時間単位
 第4部 対話と反論(脳の中の小宇宙―驚くべき脳センサーの話(対話者 峰島旭雄氏)
 
 30年以上も前に読んだ「右脳と左脳」では、とても驚く内容が書かれていた。その著者が、90歳を超えてなお今も研究を続けているというのは驚きだった。
 日本語を使う人と日本語を使わない人との間にある、脳機能の相違は今でも不思議で仕方がない。


右脳と左脳
  その機能と文化の異質性
角田忠信
小学館



1982/2/1
 脳は大別すると、右脳と左脳に分けられ、それぞれが別の機能を持っている。しかし、その働きは、言語や民族の違いによって異なるといわれます。話し言葉と虫の声を聞きわけることができるのはこのためである。

目次

1 日本人の音認知の特徴〈リポート〉
2 脳の機能と文化の異質性〈シンポジウム〉
3 言語と音楽―音楽の生理的意義
4 ツノダテストで意識下の世界を探る


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高血圧は下げられる
河邉博史、成瀬宇平
主婦の友社



2016/5/15
2016/1/10 発行
 日本人の死因のトップはがん。しかし2位は心臓疾患で 3位は脳疾患。つまり2位3位は じつはともに高血圧が原因です。突然死や心筋梗塞 脳梗塞 認知症などを引き起こす高血圧 その対策は アラフォーになったら待った無しで必要です。
 ●寝転がって パラパラどこから読んでも役に立つトピックス集としました。1記事=3Pあるいは4Pのコンパクト&シンプルな構成。分かりやすくさを再優先の記 事作り。また 続けられなければ意味がない めんどうなものは一つもありません。2016年最新の血圧情報と 高血圧のとらえ方 解決方法を紹介します。
 ●高血圧で危ないところだったが生還した体験談 医学アドバイス/朝昼晩の生活習慣を ちょこっと変えるだけで血圧が下がるコツあれこれ/これを食べれば血圧が下がる食べ物カタログ/食べ方をほんのすこし変えるだけで血圧が下がるコツあれこ れ/血圧がみるみる下がる健康動作とツボ刺激あれこれ。 (紹介文より)

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 ごく当たり前のことが書かれていた。


家族という病
下重暁子
幻冬舎新書


2016/5/10
2015/3/25 発行
日本人の多くが「一家団欒」という言葉にあこがれ、そうあらねばならないという呪縛にとらわれている。しかし、そもそも「家族」とは、それほどすばらしい ものなのか。実際には、家族がらみの事件やトラブルを挙げればキリがない。それなのになぜ、日本で「家族」は美化されるのか。一方で、「家族」という幻想 に取り憑かれ、口を開けば家族の話しかしない人もいる。そんな人達を著者は「家族のことしか話題がない人はつまらない」「家族写真入りの年賀状は幸せの押 し売り」と一刀両断。家族の実態をえぐりつつ、「家族とは何か」を提起する一冊。

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 家族ほどしんどいものはない。
これまで神聖化されてきた「家族」を斬る!

 ということらしいけど、なんと気の毒な人生を送ってきたのでしょう。
 自分が恵まれない家族だったからと言って、上から目線でひがんだ考えを押し付けないでほしい。
 子どもの時の反抗のまま年寄になっている。
 
 どなたかの感想にもあったが、−−−下重さんのご自分の家族への愚痴、一般の家族へのコンプレックスとも言えるものをただ感情のままに丸めてぶつけてくるだけのヒステリックな自分語り本


松本清張の「遺言」
神々の乱心』を読み解く
原武史
文春新書



2016/4/28/7
2009/6/20 発行
著者ーーー1962(昭和37)年、東京に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社、東京社会部記者として昭和天皇の最晩年を取材。東京大学 大学院博士課程中退。現在、明治学院大学教授、専攻は日本政治思想史。著書に『「民都」大阪対「帝都」東京』(講談社選書メチエ、サントリー学芸賞受 賞)、『大正天皇』(朝日選書、毎日出版文化賞受賞)、『滝山コミューン一九七四』(講談社、講談社ノンフィクション賞受賞)、『昭和天皇』(岩波新書、 司馬遼太郎賞受賞)などがある

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キズ・ヤケドは消毒してはいけない
夏井 睦
主婦の友社



2016/3/31
2013/8/30 発行
 すりキズ、切りキズ、ヤケドは、消毒さえしなければ、早く、痛みもなく、きれいに治ります。この新しい「うるおい治療」を提唱した夏井先生の最新治療が満 載。転んで顔をすりむいた! ガラスで手を切っちゃった! お鍋を触ってヤケドした! 地震で応急処置が必要だ! 僻地で病院に行くことができない! ケガや災害はいつだって突然のこと、いますぐ自宅の救急箱を見直して、万が一の備えを万全にしておきましょう。キズ口は水で流してぜったい消毒しないこ と、さらに、キズ口にくっつかない「創傷被覆材」や「食品用のラップ」があれば、広範なキズだって自宅で治すことができます。小さな子どもがいる人、仕事 やスポーツでキズが絶えない人、保育、医療、介護に携わる人も必携です。

 キズ口の乾燥を防ぐだけでキズがすぐに治ってしまうことは、じつは40年以上前から証明され、医学の教科書にも書かれている普遍的事実だ。(中略) とにかく、転んで膝小僧をすりむいたり、日焼けしすぎて背中がひりひりしたりするとき、おもしろ半分でもいい、この方法を試してほしい。数秒で痛みがなく なってしまうことを実感するだろう。この事実こそが、この治療法が正しいとあなたに教えてくれるはずだ。(「はじめに」より)

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 目からうろこ ってこのことだ!!!


大班(タイパン)

世界最大のマフィア・中国共産党を手玉にとった日本人


加藤 鉱


集英社





2016/3/26

2015/10/31発行
 著者ーーー1953年、愛知県生まれ。経済誌記者を経て香港に渡り、在住10年。1992年に香港で日本語オピニオン紙「サイノエイジア・ファックスライン」を創刊。
中国への返還という歴史的な過渡期を迎える香港をレポートした。内外の政治・経済をはじめ文化、スポーツ、ギャンブルまで執筆テーマは多岐にわたる。
著書に『ヤオハン無邪気な失敗』(日本経済新聞社)、『再生したる!』(ビジネス社)、『チャイニーズリスク』(講談社)など多数。

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 昼間は官僚、夜はマフィアのボス、二つの顔を使い分ける中国人エリートたち。一方で、知らぬ間に利益を抜かれる日本企業。一筋縄ではいかない彼らと渡り合 い、やがて彼らの懐に入り込み、ついには「大班(リーダー)」と呼ばれた日本人・千住樹。いかに戦い、ビジネスで勝ち抜いたか、波乱万丈な生き様を描く!

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 中国で20年以上のビジネスを成功させ、彼らに「大班」と尊敬されている日本人の痛快で波瀾(はらん)万丈なビジネス小説。主人公・千住は実在の人物をモデルにしており、次々おこる事件もすべて実話をもとにしている。
 実際の工場でのトラブル解決や、本社の経営陣との葛藤、中国人のデモへの対応などビジネスの実践的ヒントにあふれ、香港返還から近年の中国経済の変化や、中国人の本音がうかがいしれる内容。国や体制を信じない中国人と真の信頼関係を築くにはどうしたらよいのか。主人公の峻烈さと誠実さを合わせもつ生き方に深く共感することだろう。ビジネスマン必読の書だ。(夕刊フジ)

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 中国人には中国人のルールがあり、日本人とは違うという事!だまされるほうが悪い、人が良くてはビジネスはできない、西洋だっていかにだますかがビジネスなのだろうか。
 すごい世界だ!
 中国なんて興味ないと思っていたが、夢中で読んでしまった。


人はなぜ病気になるのか

進化医学の視点

井村 裕夫

岩波書店





2016/3/21
2000/12/15 発行
アレルギー、高血圧、糖尿病。高度に進化した人が、なぜしばしば病気にかかるのだろうか。それは生命進化の過程と深く関わっている。その進化の道筋が遺伝 子レベルで明らかになりつつあり、その立場から、病気の成因の理解が可能になってきた。本書では、揺籃期にある進化医学の現状を紹介しながら、感染症、免 疫疾患、生活習慣病の成因について、進化の視点からわかりやすく解説する。 (Bookデータベースより)

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 わかりやすく書いてるらしいがそれでも難しい。
 序章  進化医学とは
 第一章  進化の立場から見た感染症
 第二章  自己免疫疾患とアレルギー
 第三章  文明と疾患ーーー糖尿病、高血圧
 終章  人はなぜ病気になるのか

 アレルギーについても高血圧についても、知りたいことは書かれていない。進化の過程を詳しく説明しているが、なぜ病気になるかはわからないようだ。
 結局、進化の過程で獲得した生存に必要だった形質が、環境が変わった時には害になることもある、そうなったとき病気という形が生じる、それでも個人差があって病気にならない人もあるがそれがどうしてだかわからないそうだ。

 わかったようなわからなかったような・・・・・・。


スクラップ・アンド・ビルド

羽田 圭介

文芸春秋


2016/3/13
「早う死にたか」毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。日々の筋トレ、転職活動。肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して…。閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説(Bookデータベースより)

 スクラップアンドビルドとは、老朽化して非効率な工場設備や行政機構を廃棄・廃止して、新しい生産施設・行政機構におきかえることによって、生産設備・行政機構の集中化、効率化などを実現すること。
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 芥川賞受賞作の二つのうち、この方がよくわかる。親の介護は経験してきたことなので、よく描けているとおもう。ただ介護小説ではない。
 村上龍氏は関心がないテーマだからつまらないと言っている。じゃあ、文学って何だ?と思う。

 孫の健斗はよく祖父の面倒を見ていると思う。いささかずれた感覚がユーモラスではある。祖父と接することによって少しは人として成長しているらしい。医療の発達により「生かされている」祖父に次第に悲しさ・切なさを感じるようになる。
 


火花

又吉直樹

文芸春秋


2016/3/11
 お笑い芸人二人。奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。神谷は徳 永に「俺の伝記を書け」と命令した。彼らの人生はどう変転していくのか。人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!(Bookデータベースより)

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 漫才師になることを目指している徳永は様々のことを考えながら少しずつ成長していると思うが私が漫才に興味がないせいか、あんまり面白くなかった。
 少々理屈っぽく自分を見つめているから、純文学なのか・・・・・・・よくわからない。

 


炭水化物が人類を滅ぼす


夏井 睦

光文社新書




2016/3/6

2013/10/20 発行
 夏井睦(なついまこと)
1957年秋田県生まれ。東北大学医学部卒業。練馬光が丘病院「傷の治療センター」長。
2001年、消毒とガーゼによる治療撲滅をかかげて、
インターネットサイト「新しい創傷治療」(http://www.wound-treatment.jp/)を開設。
湿潤療法の創始者として傷治療の現場を変えるべく、発信を続けている。趣味はピアノ演奏。
著書に『傷はぜったい消毒するな』(光文社新書)、『キズ・ヤケドは消毒してはいけない』(主婦の友社)、『さらば消毒とガーゼ』(春秋社)、『これからの創傷治療』(医学書院)、
『創傷治療の常識非常識』『ドクター夏井の熱傷治療「裏」マニュアル』(ともに三輪書店)、
共著に『医療の巨大転換を加速する』(東洋経済新報社)などがある。

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 自分の身体で糖質制限を試し、効果や危険のなさを確かめた著者は、糖尿病の糖質制限治療の第一人者である江部康二氏と親交を深めながら、栄養素としての糖 質の性質や、カロリーという概念やその算出法のいいかげんさ、そしてブドウ糖からみえてくる生命の諸相や進化などについて独自の考察や研究を開始。本書で は、糖質からみた農耕の起源についても新説を展開、穀物栽培により繁栄への道を得た人類が、穀物により滅亡への道をたどりつつあることも指摘する。著者の HPに日々寄せられる、多くの糖質セイゲニストからの体験談の一端も紹介。糖質を切り口に様々なことを考える。(Bookデータベースより)

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 ただのダイエット本ではない。それは導入部であって実は生命科学の本だった。
 どこかで目にしたかもしれないけど不完全だった知識をわかりやすく正しく解説してくれている。
 文章もわかりやすい。

 今までの思い込みはなんだったんだろう、まったく『目からうろこ』だったのだ。


ベンヤミン院長の古文書
金澤 マリコ
原書房




2016/2/19
2015/11/19 発行
著者ーーー金澤 マリコ(、1958年 )は、日本の小説家、推理作家、学校講師。千葉県生まれ。上智大学文学部史学科を卒業する。ウェイトレス、発掘作業員、出版社勤務などを経る。約20年間、講師として世界史の授業を担当している。現在は、沼津工業高等専門学校に非常勤講師。
 広島県福山市が主催する第7回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞の優秀作に選ばれる

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 失われたはずのアレクサンドリア図書館の人類の叡智とも言える莫大な蔵書。実はある場所に注意深く保管されているという。代々コプト教の“守護者”によっ て暗号とともに守られてきたのだと。ヴァチカンの新教皇ソテル二世は彼らと「人類共有の財産」を公にしようとするが、そこにはカトリックの土台を揺るがす ような記録があるかもしれず、守旧派たちはこれを葬ろうと画策する―

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 島田荘司氏が選評でいうように地味ではあるが、しっかりした文章と確かな歴史背景があって読みごたえがあった。このような作品を日本人が書いたというのが驚きだ。
 ダヴィンチコードを読んでいるような感じでもハリウッド映画のような派手なエンターテイメントでない、そこがむしろ良さに感じた。


名探偵クマグスの冒険
東郷 隆
集英社




2016/1/31
2008/9/30 発行
 1951年横浜市に生まれる。国学院大学卒。同大博物館学研究助手、編集者を経て執筆活動に入る。詳細な時代考証に基づいた歴史小説を執筆し、その博学卓 識ぶりはつとに有名。90年『人造記』等で直木賞候補になり、94年『大砲松』で第15回吉川英治文学新人賞受賞。2004年『狙うて候 銃豪村田経芳の生涯』で新田次郎文学賞受賞。近著に『青銭大名』(朝日新聞出版)、『本朝甲冑奇譚』(文藝春秋)など。

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 知の旅人にして希代の博物学者南方熊楠。若き日の彼が留学先のロンドンで、次々に遭遇する奇妙な事件の数々。時あたかもヴィクトリア王朝華やかなりし19 世紀末のイギリス。「黄色い頭脳」と謳われたクマグスの博覧強記と奇行が、人跡未踏の謎を解く。「ノーブルの男爵夫人」「ムカデクジラの精」「巨人兵の 柩」「清国の自動人形」「妖精の鎖」「妖草マンドレイク」計6編を収録。(Bookデータベースより)

 時は19世紀末。各国のスパイやギャングが跋扈するロンドンで、若き日の南方熊楠が遭遇する奇っ怪な事件。政治的陰謀も、ケルト伝説の怪物も、クマグスが博覧強記の知識で謎を看破し、豪胆な行動力で決着をつける!

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確立捜査官御子柴岳人 
密室のゲーム
神永 学
講談社



2016/1/17
2011/9/1 発行


謎を読み解く
日本史
真相推理


小林久三
日本実業出版社



2016/1/14
1999/5/15 発行
小林 久三(こばやし きゅうぞう)
193511,茨城県生まれ。東北大学文学部を卒業後、松竹に入社。映画プロデューサーを経て,作家になる。1974年「暗黒告知」で江戸川文學賞,81年には「父と子の炎」で角川小説賞を受賞する。 ミステリーを中心に著書多数があるほか,新しい視点の歴史書も多く手がける。また社会的犯罪や事件に対しての鋭い分析には定評がある。

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 * 古代「出雲王国」は巨大神社を残してなぜ消えたのか
 * 聖徳太子はなぜ天皇になれなかったのか
 * 平将門に怨霊伝説がなぜ生まれたか
 * 義経が水・陸で卓抜な軍事のオをみせた謎
 * 悪党・楠木正成はなぜ一貫して南朝方のために戦ったのか
 * 信長暗殺は光秀をふくむ二人の共犯ではなかったか
 * 逆臣・明智の血を引く春日局がなぜ将軍家光の乳母になったか
 * 千姫の″乱行″と松平忠輝の粛清に潜むキリシタン日本征服計画の謎
 * 元禄赤穂事件にはなぜ不可解な謎が多いのか
 * 鳥羽伏見での慶喜逃亡と西郷の突然の下野・反乱の謎
 
 どの謎も気になるものばかりだ。
 作者は、どれにも推理を働かせているので、同意するも反論するもいいのだが、難しい。
 西郷の謎が私には気にかかる。
 


老後に快走!

半藤末利子

PHP文庫



2015/12/26

2015/10/21 発行

老後のことが気になり始めた中高年の方、そして、今まさに老後の真っただ中にいる方。きっと、様々な悩みがあることでしょう。夫婦のこと、友人関 係、ご近所とのお付き合い……。考えれば考えるほど、心配はつきませんが、「そんな心配はご無用! 」とばかりに背中を押してくれるのが、本書です。
夫との暮らしぶり、ご近所との世代を超えたお付き合い、そして愛すべき友人たちとの交流……。夏目漱石の孫にして作家・半藤一利氏の妻である半藤末利子氏の、ユーモアと滋味に満ちた筆致が、「老後とはかくも楽しいものか」と気づかせてくれます。
ちなみに、夫の半藤一利氏は、こう語っています。「老いては奥方様にしたがえ。まちがいないです」
文庫オリジナル。
◎目次より◎
第一章 物書きの端くれ
第二章 旅は道づれ
第三章 チャリンとポコ・補遺
第四章 吾が町と隣人たち
第五章 愛すべき友人たち
第六章 春夏秋冬あれこれ
第七章 夏目家と吾が家の周辺

        *************************

 途中で面白味が感じられなくなりやめようと思ったが、第4章あたりからは魅力的な人物の紹介にもなり読み進んだ。
 普通の生活の羅列になると、私にはあまり興味が持てなかった。

 


アーサー王物語の魅力
ケルトから漱石へ
高宮 利行
秀文インターナショナル




2015/12/18
1999/3/15 発行
〈高宮利行〉1944年東京都生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科博士課程、ケンブリッジ大学英文学部大学院博士課程修了。現在、慶応義塾大学文学部教授。著書に「グーテンベルクの謎」など。
                 *************

 漱石、スタインベック、ウイリアム・モリス、バーン=ジョウンズなど多くの文人・芸術家の心を捉えて離さなかった「アーサー王物語」の魅力とは何なのか? ケルトの異教文化のなごりを含み、騎士道、礼節、慈悲、友愛、邪恋、憎悪などさまざまな要素から成るこの物語に魅せられ、研究を重ねてきた著者が、その人 気の秘密、謎を丁寧に論じる。

 ケルトの超自然的要素、禁断の愛と武勇の世界、アーサー王物語を取り巻く謎、その魅力を語り尽くす。アーサー王伝説に関する文学や絵画など、様々な視点から論じた、日本経済新聞の連載に大幅加筆。(Bookデータベースより)

    *********************


名画の暗号



西岡 文彦



角川書店







2015/12/12

2015/2/10 発行
西岡文彦(ニシオカフミヒコ)
1952年生まれ。多摩美術大学教授。版画家。柳宗悦門下の版画家森義利に師事。日本版画協会展、国展で新人賞受賞 後、雑誌「遊」(工作舎)の表紙装画を機に、出版・広告の分野でも活動。「絵画を読む」「名画の謎解き」といった今日的な美術出版・美術番組のコンテンツ の提唱者。テレビ番組の監修・出演も多い

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ダ・ヴィンチの名前を日本語にすると有名な歌舞伎役者と同じになる!?
ミケランジェロは他人の絵をけなして鼻を折られたことがトラウマになっていた!?
その他、フェルメールの室内に掛かる絵の意味、ベラスケスの謎めいた画面の解読、印象派の元祖マネがヌードに秘めた知られざる策略等々を経て、ゴッホが自 分の耳を切ることになったゴーギャンとの愛憎劇の真相にまで至る数々のトリビアが、名画に隠れた真実のコードを解き明かす。
美術史を代表する画家たちがキャンバスに忍ばせたメッセージを彼らの生涯や作品制作の背景とともに書き下ろすエンタメ的読み応えたっぷりの美術鑑賞ガイド。図版多数収録!

 はじめに 1
 第一章 モナ・リザの暗号 万能の天才の学歴と出自を巡るミステリー
 第二章 ミケランジェロの生皮 神の如き巨匠の潰された鼻と秘めた同性愛
 第三章 ファン・アイクの凸面鏡 鏡が映し出すのは生者であるのか死者であるのか
 第四章 フラ・アンジェリコの聖なる幻 キリスト教絵画のもたらす想像力の飛躍
 第五章 市民絵画フェルメールの謎 室内の光景と静物に秘められた意味とは
 第六章 宮廷画家ベラスケスの秘密 騎士となった画家が画面に真に描きたかったものとは
 第七章 前衛画家マネの小心 時代を激怒させたヌードの暗号とその真の制作理由
 第八章 ゴッホの耳 アルルの巨匠対決のミステリー
 第九章 ゴーギャンのひまわり 楽園の画家が巡礼の果てに見たもの
 「Bookデータベース」より

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 暗号というより、名画にまつわるエピソードと解説集だと思う。
 「目からウロコ」の語源は、パウロだった!
 宗教改革が静物画を生んだ。
 絵のモチーフには意味が決まっている。
 不思議な読み取り方がたくさんある。「絵画の読み方」という本もある。


敗者から見た明治維新
松平容保と新選組

早乙女貢
NHK出版




2015/12/9
2003/11/25 発行
「NHK人間口座」で2002年10月から11月に放送されたテキストに加筆し、単行本化したもの。

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 会津藩士として戊辰戦争を戦い辛酸をなめ尽くした曾祖父をもち、その反骨魂を受け継ぐ歴史小説の泰斗が、「敗者」の生きざまを通して、近代日本が如何なる犠牲のうえに成立したか、その実相に迫る。士魂の散華・新選組と会津藩。

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 こんなにも、薩摩と長州を悪く言うかなあと言うほどだった。仕方がないけど。

 早乙女氏を誤解していた。もっと軟派だと思っていた。
 時代劇を書く人は漢書の素養があるのか、文章にリズムがあり語彙が豊富で、最近のわかりやすければいいだけの文章とは違って格調がある。
 ほんとに誤解していた。

 父と同年生まれ。


猫のいる日々

大佛次郎

徳間文庫





2015/12/5

2014/8/15 新装版
1994/4/11 発行
 横浜市生まれ(1897〜1973)本名野尻清彦。東京帝国大学法学部卒業。24年に発表された「鬼面の老女」に始まる鞍馬天狗シリーズが認められ作家生活に。
 代表作に「赤穂浪士」「乞食大将 後藤又兵衛」「帰郷」(日本芸術院受賞)「旅路」「パリ燃ゆ」「天皇の世紀」他。
64年文化勲章受章。横浜市港の見える丘公園内に大佛次郎記念館がある。

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「ネコは生涯の伴侶」「次の世には私は猫に生まれて来るだろう」と語り、七十五年の生涯で五百匹以上の猫を飼った文豪・大佛次郎。仕事に向かうと極端に無 口で怒りっぽくなる心をなごませてくれるのが猫であった。猫は人間に冷淡なので好きだ―そう述懐する著者の猫への眼差しは、どこまでも暖かい。猫に関する 小説、童話、エッセイを集大成した猫好き垂涎のロングセラー! (BOOKデータベースより)

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 エッセイだから文が短くて読み易いともいえるが、短いので波に乗れないともいえる。すぐ読み終えると思ったが、区切りがつくたびに他の本を読みたくなってしまった。
 さすがに猫の様々な様子はよくわかった。
 徳川慶喜がカメラ好きで、ナポレオンから贈られた軍帽軍服で馬にまたがった写真を撮ったとか、自分でも諸大名を撮影したとか、猫の写真もあるらしい。

 文末の小説や絵本は、よくわからない。


アサッテの人
諏訪 哲史




2015/11/25
「ポンパ!」 突如失踪してしまった叔父が発する奇声!
アパートに残された、叔父の荷物を引き取りに行った主人公は、そこで叔父の残した日記を見つける。
現代において小説を書く試みとは何なのか? その創作の根源にある問いに、自身の言葉を武器に格闘し、練り上げられていく言葉の運動。精緻にはり巡らされた構造と、小説としての言葉の手触りを同居させた、著者の大胆な試み。

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 新しい試みかなんか知らないけど、自身の言葉を小説の中に混ぜて、わけのわからないものにしているように感じる。
 小説を書く立場の人は、自分に置き換え、自分の言葉をそこに入れてみたりして共鳴したのかもしれない。だから評価されたのか?

 読み始めてすぐにうんざりしてしまったので、ざっくりとななめ読みしてしまい、後半のストーリーは頭に入っていない。


大久保利通と明治維新
佐々木克
吉川弘文館




2015/11/7
1998/8/1 発行
 使命感と決断力で徳川幕府を倒し、明治新政府を率いた大久保利通。冷徹非情な策謀家というイメージを払拭し、新国家の建設にむかって疾走した誠実な志の政治家の姿をえがきながら、明治維新に新たな光をあてる。(BOOKデータベース)

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 長州藩中心の維新史はあっても薩摩藩中心の維新史は無かったから、新しいものを加えられると著者はいう。
 薩摩藩の下級武士の家に生まれた(一八三〇年)大久保利通(一蔵)が、中央政局に登場してくるのは文久二年(一八六二)、大久保が三二歳の時である。
 朝議を操った一橋慶喜と幕府に傾く朝彦親王と二条関自、そして一橋慶喜と癒着の度を深めてゆく孝明天皇。大久保がかねてから抱いていた彼らへの失望感、現状の朝廷と幕府(当然天皇と将軍。一橋慶喜のあり方を含む)を大改革したうえでなされる、新しい統一国家建設の構想を練る。
 、王政復古といいながら、女官(女房)に囲まれて、後宮で一日のほとんどを過ごす、当時の幼い非政治的な天皇。大久保は、新国家建設のためのシンボルとなるような、いわば近代の天皇を創出しようとしていた。

 『大久保利通文書』『大久保利通日記』などをとことん読み込んで大久保の事績を詳しく論じている。これほどのことをした人物なのに、ほとんどの人はあまり知らず、むしろ西郷の方を大きく見ているのではないか。
 もっと大久保のことを知りたいと思った。


坂本龍馬の写真
写真師彦馬推理帖


伴野 朗

新潮社




2015/10/23

昭和59/7/20 発行
 「写真撮っちくれんか」―撮影処に現れたのは蓬髪、羊羹色の紋服に、よれよれの袴の坂本龍馬その人だった。時は幕末・明治、舞台は日本の玄関口・長崎。以 来彦馬の周囲には、時の重要人物をめぐる事件がつぎつぎと発生する。手掛かりは写真!風雲怒涛の時代絵巻を背景に、日本で初めてのプロ・カメラマン上野彦 馬がミステリーに挑む、異色の連作時代推理小説集。

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史実に沿って描かれている。上陸したばかりの英兵が、遊女に戯れているところを切られ、竜馬の海援隊に疑いがかかる、といった騒ぎも実際に史実として記録されている。
 「坂本龍馬の写真」ーー龍馬を追っていた、京都所司代同心が長崎で殺され、龍馬に疑いが掛かるが、彦馬が真犯人を突き止める
 「ビーナスの写真」ーーー
フランスの観測隊を手伝って金星が太陽を横切るのを撮影する
 「人斬り半次郎の写真」ーーー
西南戦争の従軍カメラマン
 「幽霊の写真」ーーー
 「凧の写真」ーーー
 「丁汝昌の写真」ーーー
日清戦争前の丁汝昌(清国北洋艦隊水師提督)
 「ニコライ皇太子の写真」
ーーー大津事件前のロシア皇太子ニコライの写真

 「女に、仕事に、付き合いに熱〜く生きた」彦馬、今の時代に読むとちょっとどうかなあと言うところもあるが…。パイオニアらしい技術の工夫や材料の準備が、詳しく描かれている。
 
 古い本でトンデモ本かなと、期待しないで読み始めたが、思いのほかよかった。

 「小説新潮」昭和56年3月号〜59年4月号まで連載
 


新東洋事情
深田祐介
文春文庫



2015/10/14
1990/6/10 発行
著者ーーー昭和6(1931)年東京に生まれる。暁星高校を経て30年早稲田大学を卒業。33年に「あざやかなひとびと」で第7回文學界新人賞、51年に「新西洋事情」で第7回大宅壮一ノンフィクション賞、57年に「炎熱商人」で第87回直木賞をそれぞれ受賞。62年「新東洋事情」で文藝春秋読者賞を受賞した。

 円高を背景にアジア各地に続々と進出した日本企業は、今どうしているのか?韓国、台湾、タイ、中国、ブルネイ、フィリピンなど世界の巨大経済圏に成長したアジアの諸地域を巡り、その驚くべき変貌ぶり、日本企業の活躍と、現地における文化摩擦の実情などを、エピソード豊富に報告する。
 初出「文藝春秋」昭和62年7月号〜昭和63年4月号  単行本昭和63年4月文藝春秋刊

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 とてもためになるレポートだったが、今はもう27年も経過しているので、今のアジアの状況とは異なる、今の情報も知りたいものだ。
 


平成講釈
安倍晴明伝

夢枕 獏
中央公論社





2015/10/13
1998/4/7 発行
 安倍仲麿の子孫・安倍晴明尾花丸は、帝の御病を知り都に上った。幼き身ながら陰陽頭・蘆屋道満との問答対決を制し、御悩平癒の祈祷を拝命する。だが、道満 は邪悪な陰謀を巡らせ、仲麿に恨みを抱く唐土の妖狐も加わって、京を揺るがす呪法合戦が―平成の講釈師・夢枕獏秀斎が語ります大バトルの顛末。

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 明治の講釈本をタネ本に夢枕獏流にアレンジ。
 講釈中に頻繁に夢枕先生が出張ってきて、タネ本間で食い違う内容の伝奇作家的解決法から、実説と虚構の乖離へのツッコミ、現代の身近なシチュエーションへのムチャな置き換え等々、本筋からの脱線ーーーこれを楽しいと思えなかったらこの本は成り立たないが――――?ーーーちょっとやり過ぎだなあ。
 
 父から聞いた、講談本の立川文庫ーーーー言葉では知っていたが、講釈師の語ったものを文章にしたものだったのかと分かった。


夫婦の家

天野 彰

講談社+α新書


2015/9/22

2006/4/20 発行
 夫婦別床でスマートなエロティシズムを提案。今、夫婦にとって必要な家とは何か? 定年で始まるほんとうの夫婦生活を、今までは切り出しにくかった寝室を主テーマに新提案。「オレたち」ならではの家とは!
目次
 序章 「定年」で始まるほんとうの夫婦生活
 第1章 ほんとうの家とは、徹頭徹尾「夫婦の家」
 第2章 夫婦の「寝場所」
 第3章 「オマエの家」か、「オレの家」か
 第4章 夫婦「共働」の基礎づくり
 第5章 「オレたち」だから、この家になった
 第6章 「夫婦の将来」を見すえた家づくり

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 土地神話は崩壊したと言われるが、マンション神話は最初から幻だった。一戸建てなら家が朽ちても土地は残る。分譲マンションでは何も残らない。

 子供部屋のその後ーーーーほとんど子どもたちの残骸である。子供たちが残して行った学習机、本棚、ベッド、衣類、壊れたパソコン、ピアノ・・・・。そうしたあれこれを、後生大事に保管している親たちの何と多いことか。ーーー(わが家もその通りだ)

 夫婦二人で暮らす家を考えるべきだーーーと。老後の家を考えることは、「夫婦の人生」を作り上げることだという。子育ては短く老後は長い。
 後半の、建築家の具体的な家の話になった所は、ななめ読み。

 http://www.hng.ne.jp/knowledge/article/363/2/


二人の親を見送って
岸本 葉子
中央公論新社




2015/9/5
2015/5/10 発行
 老いの途上で、親の死は必ず訪れる。介護や看取りを経て、からだとこころは揺れ日々の生活や旅、食事に対する趣も変わる。人と自然のつながりをやさしく見つめ直す。

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 タイトルにひかれて読み始めてみたものの、それに沿う内容は三分の一くらいだった。
 色々なところに書いた文章を集めたものらしい。見送った後の著者の生き方を示したかったのか。
 
 家族が交代で協力し合って24時間、目を離さないでいたらしいのだけど、あまり具体的には書かれていない。ところどころ、くわしい会話で認知症の様子や父娘の在り方が伝わってくる。
 先に母を亡くし、その後の何年かを父の介護をして見送った人なので、私と重なる部分も多く、読んでいると父の様子を思い出し、涙が溢れてくる。

 エッセイストという人は、冷静に、客観的に物事を見つめられるのかな。

 「実家なき後の人生へ、少しずつ足を踏み出すことにしよう」と。

 あまりドロドロしたことは書かれていなかった。さすがというべきか。


遺伝子医療への警鐘


柳澤 桂子



岩波現代文庫






2015/8/26



2002/5/16 発行
 人間のDNAをすべて読み解こうとするヒト・ゲノム・プロジェクト―それを通して予測できる自らの運命を、われわれはどう受け止めればよいのか。最先端の技術により将来を書き換えようとするとき、悲劇がおこる可能性はないのか。遺伝子工学と遺伝子医療の現状を紹介し、その深い問題性と将来に落とす影を考える。

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 第1章、第2章、第3章では遺伝子医療を理解するために必要な基礎的な知識を紹介されている。
 第2章の「塩基配列を読む」では、制限酵素を使って、DNAを一定の塩基配列のある箇所を、例えばパリンドロームと呼ばれるまるで回文のような塩基配列の 部分でDNAを一定の塩基配列の箇所を切る方法や、ゲル電気泳動、ベクターDNA、クローニング(クローンを大量につくる)など色々なテクニックが出てく る。クローンニングでは、有名なPCR法や、イン・シトゥ雑種形成法、サザンプロット法、サンガー法など色々な方法も紹介されている。ーーー読んでもとてもわかるものではない。
 第4章の「病因遺伝子の探索」では、前章までで病因遺伝子の染色体上の位置の決め方を受け、病因遺伝子の幾つかについて紹介。デュシエンヌ筋ジストロフィー、ハンチントン病、家族性アルツハイマー病、家族性乳がんなどが出てくる。
 第5章の「遺伝子診断と遺伝子治療」では問題点をいくつか指摘している。レトロウイルスをベクターとして使うこと、これをベクターとして、ガン抑制遺伝子など治療用の遺伝子を、病気の人の遺伝子に組み込ませるというのだが、場合によっては、重要な遺伝子の塩基配列を切り取って、そこにその遺伝子が入り込むかもしれない、別の異常が発生する可能性が高い。

 人の染色体上の塩基配列を、解読の見返りに特許として金儲けの種にしようとする企業と、ゲノム解読をあくまで、人類共通の財産として役立てていこうという善意の科学者との間の確執なども描かれている。

 本の書かれた時期は少し古い。今ではかなり違うのでは?と思う部分もあるが基礎的なことは変わらない。ーーー(将来自分が発症するかもしれない病を恐れて、臓器を摘出する人が現代には出てきた)そのことについて知りたかったが、それは無理のようだ。


裏太平記

半村 良

河出出版新社



2015/8/15

2009/2/18 発行
 著者ーーー1933−2002年。東京生まれ。都立両国高校卒。多くの職業を転々とし、1962年「収穫」で「SFマガジン」のコンテストに入選。『石の血脈』で星 雲賞、『産霊山秘録』で泉鏡花賞、『雨やどり』で直木賞、『岬一郎の抵抗』で日本SF大賞、『かかし長屋』で柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞。他にも『妖星 伝』『戦国自衛隊』『黄金伝説』『どぶどろ』等著書多数。
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 『徒然草』の兼好法師には裏の顔があった! 皇位をめぐる争い、下克上を求め動めく民衆の異様な動きの影で兼好の画策する陰謀とは。伝奇小説の巨匠が大胆な推理を元に描く本当の太平記の世界。半村良幻の作品。

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 タイトルが「裏太平記」だし、歴史破壊小説というサブタイトルもついているので期待したのだが‥‥‥‥。
 「週刊実話」の連載を単行本化したもの。書下ろしではなかったからか、後半の中途半端さ。説明、解説はたくさんあったが小説になっていない。
 太平記だけど楠正成は終わりころにちょっとだけ顔をだし、尊氏はどうなったやら…状態だ。    同じ内容が重複するし、せっかくの面白いアイデアを十分生かせてなかったなあ。この世に下克上もたらす日陰一族の中心人物で、一族のものらに陰で指図を与え、この世を動かしていたという伝奇話。

 兼好終焉の地である伊賀は、忍者の里として知られることになるが、それを最も憎んだ織田信長が、突然消滅してしまうのも、見方によっては日陰一族の存在を証明することになるーーーー面白い。


神の棺
本岡 類
講談社





2015/8/12
1999/3/10 発行
著者ーーー推理作家、小説家。千葉県出身。早稲田大学政治経済学部卒業[1]。大学卒業後、出版社に勤めていた1981年に『歪んだ駒跡』にて第20回オール讀物推理小説新人賞を受賞、デビューした。千葉県我孫子市在住。

        *     *     *

 世紀末日本に彗星のごとく現れた団体「理性の跳躍」。エリート層を中心に七千名の会員を擁し、膨大な資金力を持つ彼らが主張する強者の論理が人々の心をとらえていく。だが、その陰でひっそりと不可解な死を遂げた男がいた―。混迷の現代社会を問う書き下ろし長編サスペンス。

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 初めて読んだ作家、面白く一気に読んだ。ただ、人間の命や科学の発展、強者の驕りと欲望、宗教問題などいろんなことが詰まっていて一番訴えたかったことは何だったのかな。
 
 「科学」「理性」「宗教」「自然」「富裕層と貧困層」「農法」
 


「いつ死んでもいい」老い方
外山滋比古
講談社





2015/8/11
2011/11/3 発行
八十八歳、なお、壮年のごとし――
大ロングセラー『思考の整理学』の著者がはじめて明かす、頭と体の知的働かせ方

世のため人のため、そしてちょっぴりわが身のため

●老人の人生を左右するのは、記憶力でなく集中力である。
●おしゃべり、声を出すのは、たいへんな心身強壮のクスリである。
●早起きになったら、朝飯前に難しい用事を片づける。
●旧友でなく新友と、話す。年を忘れ元気が出て、頭の体操になる。
●ぜいたくできればする。社会貢献だけでなく、不老長寿の妙薬となる。
●老人は怒っていい。そのエネルギーで厄介を乗り切れる。
●くよくよして命を縮めるより、どんどん忘れる力を使う。
●年をとったらホメてくれる友をつくる。それは人生の幸運。
――<実践例より>

昔のように五十にもならないうちに死ぬのだったら、そういう消極的、防衛的生き方も悪くないが、退職して三十年近く生きなくてはならない現代人にはおのずから積極的な生き方が求められる――<本文より>

 「生くることやうやう楽し老の春」   風生
 「浜までは海女も蓑着る時雨かな」  瓢水

 「田舎の学問より京の昼寝」
 「転ぶな、風邪ひくな、義理を欠け」−岸信介
   *************************

 若い時にもこの著者の書かれたものを読み、人生の指針にしてきたが、これは「老い方」よりも「死に方」が書かれているようだ。
 どうやって「ぴんぴんころり」と死ぬのかーー羨ましい死に方をした人の紹介が多かったが、なかなか真似はできないなあ。


老楽力



外山滋比古










2006/8/8

2006/4/ 発行
 読者の年齢に考慮したつくりで、活字が大きい。
内容は、
どうせ、年老いたのだから、いまさら面倒なことはごめんこうむりたい。どうせ退職したのだから、これからは、悠々自適で余生をすごす・・・・・・・
 こんなことを言ってちゃいかん。ぎりぎり最後まで、わが身をいとい、美しく、明るく生きることにつとめる、のがいいという。

 人間は、目指すものがなければ弱くなる。たのしいことを期待できないと、命力を支えることが難しくなるらしい。
 たのしみのあとが危ない。ストレスがおそろしい。
 いつも、行く手に、明るい希望、楽しみを用意するのが、生き生き生きる老年の心がけというものである。

 
電車など動く物は、動き出す時にもっとも大きくエネルギーが消費される。
 新しいものをつくる、始める、というのは、電車の出だしよりも大きな力が要り、大変な苦労があるが、快感がある。
 六十の手習いというが、どんどん新しいことに挑戦するべきだ。著者の場合は、趣味をはじめても、それを大成させることなく、中途半端で放り出し、次のことに心をうつす。よく言えば、たえず初心に立ち返っているのだそうだ。
 大成する前に興味を失うというのは、私も同じ、「うまくできないうちが花だった」という言葉にうなずいてしまう。

 器用貧乏ということばもある。なんでもやるくせに、なにひとつ徹底せず、熟練に達しないで大成しないということだが、いろいろなことをするのは、器用だからではない。進取の気性に富んでいるからで・・・・・・。 
 
 嬉しくなるほど、都合のいい解釈だが、老人は、

 つぎつぎ、新しいことを試みる。そのたびに、年を忘れ、年を逆にとるようになる。そうだとすれば、熟練、練達の域に達する
 よりも

 つぎつぎ、食いかけをこしらえて生きていくのが老人の心意気である

 
外山先生の本は久しぶりに読んだ。
「女のライフワーク論」などを昔読んだことがあったが、このような本を書かれる年齢なのかと思ったら83才だそうだ。相変わらずユーモアがあり、読みやすい文章だった。


村上海賊の娘 
上・下


和田 竜

新潮社






2015/8/11

2013/10/20 発行
 和睦が崩れ、信長に攻められる大坂本願寺。毛利は海路からの支援を乞われるが、成否は「海賊王」と呼ばれた村上武吉の帰趨にかかっていた。その娘、は海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女だった…。 折しも、娘の景は上乗りで難波へむかう。家の存続を占って寝返りも辞さない緊張の続くなか、度肝を抜く戦いの幕が切って落とされる! (上)

 織田方の猛攻を雑賀衆の火縄が止め、門徒の勢いを京より急襲した信長が粉砕する。毛利・村上の水軍もついに難波海へ。村上海賊は毛利も知らぬ禁じ手と秘術を携えていた…。信長vs.本願寺、瀬戸内と難波の海賊ども…。ケタちがいの陸海の戦い!(下)第一次木津川合戦の史実に基づく一大巨篇。


    *****************

 史実に基づいて文中に説明や解説が多いのはいいのだが(この部分を嫌う人もあるかもしれない)人物像や人々の有様の描写がマンガ的だ。コミックやアニメにはいいかもしれない。(上)

 下巻の海での攻防の描写は凄い。上杉謙信の挙兵を待ち、もし謙信が起たなければ引き上げを決める村上水軍の首脳たち。結局謙信は起たず、戦うことなく戻ろうとする村上水軍であったが、景の独断とも言える行動から一転して舟を戻し海戦に突入する。
 膨大な資料を駆使し、あまり知られていなかった海賊というより海のサムライたちの姿が魅力的に描かれている。かなり面白おかしく誇張されていると思うけれども。
 
 大変面白く読めた。主人公の景は、無理があるだろう、読んで楽しいには違いないから、あり得ない娯楽として楽しめばいいのかも。輿入れ後のやんちゃな景に振り回される就英も見てみたかった。著者は、景については大学を卒業して社会人になったばかりの女の子がモチーフ、世間をまだ知らないが頑張ろうとする、ということかな.

 それにしても、いろんな人がいろんな場所に細かく書き留めているものだなあと感心する。


最後の魔法陣
斎藤 栄
集英社




2015/8/7
1996/6/30発行
 失踪した我が子を捜し続けて四年。大震災の瓦礫の中で、真部夫妻は手掛かりをつかんだ。一九九五年は阪神大震災、オウム事件をはじめとして、日本を震撼さ せるような出来事が相次いだ。著者自身も神戸で被災し、自宅近くの横浜駅周辺では異臭事件も発生した。そうした体験を取り入れながら、父子の情と人間模様 を書き込み、「生きる」ことを突き詰めたミステリー。

    ********************

 たしかに、ミステリーを読んでいるんだなあとは思うんだけど、いつまでも進まないのでじれったい。
 わずかな情報、息子の子を宿し、流産した後殺された女性の存在、息子の情報をえさにお金を欲しがった人間など、それらは関係があって、元警察官の夫は真相がわかるが、健康を損ねる。
 
 ミステリーというよりも息子と父親の関係?繋がり?−−−あまりピンとこない物語だった。
 


探偵の流儀

福田栄一
光文社




2015/8/2
2013/10/発行
福田 栄一
1977年愛媛県生まれ。東京都立大学(現・首都大学東京)法学部卒業。2003年『A HAPPY LUCKY MAN』で光文社よりデビュー。ミステリー、青春小説、コメディなどさまざまなジャンルの作品を執筆 

 探偵事務所を営む嶋岡が調査中、階段から転落し、意識不明となる。残された所員の間宮と松代は仲が悪く、もうひとりの飯田は頼りにならない。嶋岡探偵事務 所は設立以来の危機を迎えた。そこへ嶋岡の姪・美菜子が、叔父の世話をするため東京からやってくる。嶋岡の転落はただの事故なのか、それとも…。真相を追 う間宮たち。地方の権力者、ライバル企業、さまざまな思惑が絡み合い、一本の糸が縒られていく。そこから引きずり出された真実は、意外なものであった?。 青春ミステリーの旗手が挑む、絶対絶命探偵日常小説!

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 探偵三人のキャラがなかなかいい。


なぜアメリカは、
対日戦争を仕掛けたのか


加瀬 英明
ヘンリー・S・ストークス

祥伝社新書





2015/7/29 
2012/8/10 発行
加瀬/英明
1936年東京生まれ。外交評論家。慶應義塾大学、エール大学、コロンビア大学に学ぶ。77年より福田・中曽根内閣で首相特別顧問を務める。日本ペンクラブ理事、松下政経塾相談役などを歴任

スコット・ストークス,ヘンリー
1938年英国生まれ。61年オックスフォード大学修士課程修了後、64年来日、フィナンシャル・タイムズ、ザ・タイムズ、ニューヨーク・タイムズの各東京支局長を歴任。三島由紀夫との親交でも知られる

       *    *    *

ルーズベルトが周到に敷いた開戦へのレール。そうとも知らず和平を願い、独り芝居を演じる日本政府。この教訓から、今日、何を学ぶか!?本書は日米両国の記録を用いて、日米開戦にいたるまで、東京とワシントンにおいて何が起こっていたのか、時系列的に対比したものである。

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 GHQによって反日自虐史観を植え付けられてしまった日本人は、真実を知るべきだ。


西行桜

辻井嵩
岩波書店





2015/7/19
2000/6/15 発行
著者ーーー筆名は辻井 喬(つじい たかし)ーーー堤 清二(つつみ せいじ、1927年3月30日 - 2013年11月25日)は、日本の実業家、小説家、詩人。学位は博士(経済学)(中央大学・1996年)西武流通グループ代表、セゾングループ代表などを歴任した。弟は元西武鉄道会長の堤義明。

能楽に素材をとり,舞台を現代に移した,夢幻と現実の混沌世界.時代の変化についていけない旧華族の滅びを描く「西行桜」,母の記憶,父の記憶から家族の 肖像をたどる「通盛」,男と女の妖しさに入り込む幻想的な「竹生島」,人間の業,愛とは何かを問う「野宮」の4編を収録.鋭い感性と精緻な文体で人間の哀 しさに迫る。

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知の逆転



吉成 真由美


NHK出版新書





2015/7/
6

2012/12/10 発行

著者ーーーサイエンスライター。マサチューセッツ工科大学卒業(脳および認知科学学部)。ハーバード大学大学院修士課程修了(心理学部脳科学専攻)。元NHKディレ クターであり、子供番組、教育番組、NHK特集などを担当。コンピューター・グラフィックスの研究開発にも携わる。著書に『カラフル・ライフ』(文化出版 局)、『やわらかな脳のつくり方』『危険な脳はこうして作られる』(ともに新潮選書)など。

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 「二重らせん」構造を解明したワトソン、「普遍文法」を提唱し言語学に革命をもたらしたチョムスキー・・・・・・限りなく真実を追い求め、学問の常識を逆 転させた叡智6人。彼らはいま、人類の未来をどう予見しているのか。「科学に何が出来る?」「人工知能の可能性は?」「情報社会のゆくえは?」――現代最 高の知性が最も知りたいテーマについて語る

    *****************
第一章   文明の崩壊――ジャレド・ダイアモンドーー主著『銃・病原菌・鉄』で、「西欧文明の発展」を相対化するユニークな視点から人類史を捉えなおした
第二章   帝国主義の終わり――ノーム・チョムスキーーー「普遍文法」の提唱で言語学に革命をもたらし、その後は米国の覇権主義への一貫した批判で知られる
第三章   柔らかな脳――オリバー・サックスーー『妻を帽子とまちがえた男』などの著書で、神経科医として接した多数の症例をふまえて人間の本質に迫った
第四章   なぜ福島にロボットを送れなかったか――マービン・ミンスキーーー「人工知能の父」と呼ばれながら、現在のコンピューター・AI研究の方向の誤りを鋭く批判する
第五章   サイバー戦線異状あり――トム・レイトンーー数学者でありながら、自らの理論を実践するべく企業経営に乗り出し、コンピュータセキュリティの分野で大成功を収めた
第六章   人間はロジックより感情に支配される――ジェームズ・ワトソンーー「二重らせん」構造の発見者の一人であり、20世紀科学のパラダイムを転換させた
  あまりに凄い人たちの語ることなので、理解することは無理だけど、何かを考えるきっかけになるかな.


人間ドックの
9割は間違い


牧田 善二
幻冬舎新書



2015/6/27
2015/3/20 発行


掟上今日子の推薦文

西尾 維新
講談社




2015/6/26
2015/4/22 発行


メガバンク絶滅戦争

波多野 聖

新潮社





2015/6/25
2015/1/30 発行
 著者(ハタノ・ショウ) 1959年、大阪府生まれ。一橋大学法学部卒。農林中央金庫、野村投資顧問、クレディ・スイス投資顧問、日 興アセットマネジメントなどで投資運用業務に携わる。「波多野聖」名義の小説として『銭の戦争』シリーズ1〜7(ハルキ文庫)、『疑獄 小説・帝銀事件』 (扶桑社)。本名の藤原敬之名義の著作としては、『日本人はなぜ株で損するのか?』(文春新書)『カネ遣いという教養』(新潮新書)『カネ学入門』(講談 社)がある。
     *   *   *   *
 国債暴落――破綻寸前に陥る巨大銀行。売国奴たちの野望に、二人の男が立ちはだかる! 一夜にして巨大負債を抱え、機能不全に陥る巨大銀行。外資ファンドが買収に名乗りをあげ、エリート行員達が無力に泣き崩れる中で、辣腕ディーラーのと気 くばり総務の二瓶のコンビが史上最大の買収合戦に挑む!

    *****************
 
 物語の舞台は、東西帝都EFJ銀行。帝都グループの要である帝都銀行、外国為替専門の国策銀行を出自とした東西銀行、関西を地盤に全国展開していた大栄銀行と中部地方を基盤とする中京銀行が合併して出来たEFJ銀行が、金融庁主導でさらに合併して誕生したメガバンク。
 二度目の東京オリンピック開催準備資金として、超長期国債(三十年債で三兆円!)を東西帝都EFG銀行が引き受けることになる、そのシナリオには裏があり、虎視眈々と買収を狙う外資ファンドや、米国の意のままに動く官僚
が暗躍する。
 東西帝都EFG銀行を舞台に展開する物語の中で起こる事柄は、事実を下敷きにしているので、あの事件か・・・・と思いながら読み進むと、さらに面白い。

 


桂昌院
藤原宗子


竹田真砂子
集英社





2015/6/23
2007/3/30 発行
 第五代将軍・綱吉の母の激烈な一生。
京での幼きお玉時代から三代将軍・家光の側室となり、従一位にまで上りつめた桂昌院。大奥で繰りひろげられる女の嫉妬、力をめぐる駆け引きと親子の情をからめてその生涯を描きだす。

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 色々な説があるが、WIkによれば、死後やや経ってからの『元正間記』には大根売りの妹、さらに後の時代の『玉輿記』には、父は八百屋の仁左衛門で養父が北小路太郎兵衛宗正という説が記されているーとある。
 寛永16年(1639年)に御小姓として家光の側室のお万の方に仕え、その際に春日局の部屋子として家光に見初められ、家光の側室となる。正保3年(1646年)1月に綱吉を産んだ。

 つむじ曲がり、ひがみっぽい、負けん気が強い、他人を見下す、敵愾心のかたまり、見栄っ張り、あまのじゃく、恩知らず、嫉妬深く猜疑心が強い、ひどくヒステリックなエゴイストこれが主人公のお玉。
 その対極として、貧乏公家の娘、幼い頃からのお玉の主人、男色の家光にあてがうべく春日局に見出された瓏子は、公家の姫として作法、教養、常識 文芸をそなえ、俗人とは別世界にある貴種であり、感情を表に出さずあらゆる境遇をおっとりとして受け入れる女性である。

 後の桂昌院の玉は、人としてどうよ?と思うのだが、人生のめぐりあわせで将軍の生母となってしまう。生命力も、世の中を泳いでいく力がみなぎっていたということか。頑張れば運命を切り開いてゆけるものなのかなあ。


紙つなげ!
彼らが本の紙を造っている


佐々 涼子

早川書房




2015/5/2

2014/6/20 発行
著者ーーー1968年生まれ。
早稲田大学法学部卒業。日本語教師を経て、ノンフィクションライターに。
新宿歌舞伎町で取材を重ね、2011年『たった一人のあなたを救う 駆け込み寺の玄さん』を上梓。
2012年『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』で第10回集英社・開高健ノンフィクション賞を受賞。

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 「8号(出版用紙を製造する巨大マシン)が止まるときは、この国の出版が倒れる時です」―2011年3月11日、宮城県石巻市の日本製紙石巻工場は津波に 呑みこまれ、完全に機能停止した。製紙工場には「何があっても絶対に紙を供給し続ける」という出版社との約束がある。しかし状況は、従業員の誰もが「工場 は死んだ」と口にするほど絶望的だった。にもかかわらず、工場長は半年での復興を宣言。その日から、従業員たちの闘いが始まった。食料を入手するのも容易 ではなく、電気もガスも水道も復旧していない状態での作業は、困難を極めた。東京の本社営業部と石巻工場の間の意見の対立さえ生まれた。だが、従業員はみ な、工場のため、石巻のため、そして、出版社と本を待つ読者のために力を尽くした。震災の絶望から、工場の復興までを徹底取材した傑作ノンフィクション。 (BOOKでーたべーすより)

     ********************

 震災がどれほど酷いものだったかを知っているだけに、読み始めるのは気が重かった。でも、ひどい状況でさえ、きっちり事実として受け止め、その先に希望があると感じられる文章であり構成だった。
 いつも読んでいる本の、紙については何も考えたことが無かったので驚いた。子供のための本では手が切れないようにーー重くなくめくりやすくーーーさまざまな配慮に驚くばかりだった。紙を造る人たちの凄さだけでなく、工場を復活させていく力の凄さもよく伝わってきた。素晴らしいドキュメンタリーだと思う。


復讐プランナー

あさのあつこ
河出書房新社



2015/5/1
2008/6/20 発行
1954年9月14日、岡山県美作市生まれ。同県同市在住。作家。青山学院大学文学部卒業。『ほたる館物語』(新日本出版社)で作家デビュー。『バッテ リー』(教育画劇)で野間児童文芸賞、『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、『バッテリー1~6』で小学館児童出版文化賞を受賞。元々のフィールドで ある児童文学の枠にとらわれず、時代小説、ミステリーなど、幅広く執筆活動を続けている

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 突然、いじめられる日々が始まり、途方に暮れる雄哉の前に現れた先輩。「復讐計画を立ててみればいい。復讐。仕返しのことだよ」物騒なセリフに誘われ、ひそかにチームは集い、ゆっくりと動きだした―。

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 読者対象は、中高生だろうか、いじめられていても一人じゃないんだよ、思いつめる前に誰かに相談してもいいんだよ、というアドバイスを小説にしたのかな。
 スーパーウーマンのように強く見える長姉にいじめの過去があったり、のほほんとしていそうな姉の恋人・ノッチが頼りがいがあったり、いじめっ子は、家庭が嫌で八つ当たりでいじめをしているとか、読む前から想像できてしまう設定なので、若い人向きのわかり易いストーリーだなと思う。私が読むには物足りないけれど。


脳から見た認知症

不安を取り除き、
介護の負担を軽くする

伊古田 俊夫

ブルーバックス





2015/4/30

2012/10/20 発行
著者ーーー一九四九年、埼玉県生まれ。
七五年に北海道大学医学部卒業後、同大脳神経外科、国立循環器病センター脳神経外科を経て、八四年に勤医協中央病院脳神経外科科長、二〇〇一年に同院院長に就任。二〇〇八年から同名誉院長。二〇〇七年、札幌市若年性認知症支援事業推進委員長、二〇〇九年、北海道認知症地域支援体制構築事業コーデイネーター、二〇一〇年、札幌市認知症支援事業推進委員長。
日本脳神経外科学会専門医、認知症サポート医。認知症の地域支援体制づくりに取り組むかたわら、社会脳科学の立場から認知症の臨床研究を進めている。

        **********

  ある日突然、ネクタイが結べなくなる。妻の顔がわからなくなる。そのとき脳で、何が起こっているのか?  5歳刻みで発症率が倍増する。予防のカギは、40代からの生活習慣が握っている――。

――夫にゴミ捨てを頼むと、そのまま帰って来ない。どうしたのかと思って外に出てみると、ゴミ袋をもったまま玄関の前でボーッと立っていた。
――車に乗る際に、車の前でぼんやり立っている。ドアがどこにあるのかわからない感じであった。
――自動販売機のコイン投入口に、上手にお金を入れられない。プッシュフォンも使えなくなった。
――視線がそっぽを向いている。どこか別の世界をみているようだ。
――通い慣れているはずの近所の公園に行くのでさえ迷ってしまう。犬の散歩もしてもらえなくなった。
〈どんな病気で、どう進行するのか?〉
  ・物忘れや幻覚、妄想や徘徊はなぜ起こるか?
  ・「自分」がわからなくなるのはなぜか?
  ・本能が乱れ、理性が曇り、介護者に手を焼かせるのはどうしてか?
 患者数が300万人を超え、80代の5人に1人が認知症を患う時代――。若年性アルツハイマー病に苦しむ子供を、老親が看取るケースも出てきた。
 「不治の病」や「避けられない老化現象」ではなく、「早期発見して治すことが可能」な「脳の病気」としてとらえ直す。

   *************

 今更、とも思ったが、父の認知症がどういうものだったかを振り返り、はっきりさせたかった。対応はあれでよかったのか、もっと内容も考えて話しかけた方が良かったのか・・・・・・とか。


太平記物語
日本の古典物語 14

松田武夫

岩崎書店





2015/4/26

1986/3/20 発行
 太平記は、1320年ごろから1369年ごろまでの50年間に、日本に起こった戦乱のことを書いた書物。太平記は40巻あり、作者は小島法師とも言われている。
 内容から、第1巻から第11巻までが前篇で、後醍醐天皇が北条高時を倒して、政治の権力を取り戻そうととされるところから書きはじめ、高時以下の一族が亡んでしまうまでの20年間が書かれている。この部分が文学的にもすぐれ一番面白いところ。
 次の中編は、第12巻から第21巻までで、建武の中興と呼ばれる後醍醐天皇の志が達せられるいきさつと失敗に終わる顛末が主として書かれている。(前篇で活躍した楠木正成や新田義貞が討死し後醍醐天皇もお隠れになる)
 後編の第22巻から40巻は付録の様な感じ、足利氏を中心に書かれ、尊氏の死後、その子の義詮が将軍になりその没後、義満が後を継ぐことが話の大筋として書かれているーーーー以上のことがあとがきの解説として書かれている。

 誰でも知っている?阿新丸(くまわかまる)、楠木正成の笠置城・赤坂城・千剣破(ちはや)城の見事な作戦ぶりや湊川での討死や、その子の正行(まさつら)の桜井の別れ、四条畷(なわて)の奮戦などや、桜の木に詩を書きつけて真心を天皇に知らせた児島高徳、船上山(せんじょうせん)へ後醍醐天皇を迎えた名和長年、錦の御旗を奪い返したり、護良(もりなが)親王の身代わりになったりした村上義光(よしてる)、護良親王が鎌倉で土牢の中に閉じ込められ、はかない最期をとげられた話など、わかりやすく面白く読める。

    ********

 ただし、本書は子どものための古典物語なので、中編までを抜粋して書いている。
 
 読み始めは、子供向けのため易しい言葉を使い物足りなくもあったが、この程度にまとめてくれていた方が全体のあらましがわかってよかった。


本能寺の変431年目の真実

明智 憲三郎

文芸社文庫





2015/4/17

2013/12/15  発行
《著者について》
 1947年生まれ。明智残党狩りの手を逃れた光秀の子・於寉丸(おづるまる)の子孫。
慶應義塾大学大学院工学研究科修士課程修了後、大手電機メーカーに入社。一貫して情報システム分野で活躍する。長年の情報畑の経験を活かした「歴史捜査」を展開し、精力的に執筆、講演活動を行っている。日本歴史学会会員。土岐会会員。情報システム学会員。

               *****

 名門・土岐明智氏の行く末に危機感を抱いていた光秀。信長の四国征伐がさらに彼を追いこんでゆく。ところが、絶望する光秀の前に、天才・信長自身が張りめぐらした策謀が、千載一遇のチャンスを与えた! なぜ光秀は信長を討ったのか。背後に隠された驚くべき状況と、すべてを操る男の存在とは! ?

   *************

 第1章 誰の手で定説は作られたかーーー秀吉伝説を作った『太閤記』光秀伝説を作った『明智軍記』 秀吉の宣伝の書『惟任退治記』
 第二部 謀反を決意した真の動機ーーー第4章 土岐氏再興の悲願、盟友・長宗我部の危機、織田家の長期政権構想、
 第7章 本能寺の変はこう仕組まれたーーー
 第8章 織田信長の企てーーーなぜ「家康討ち」なのか、光秀が奏上した「家康との談合」
 第10章 徳川家康の企て
 第11章 羽柴秀吉の企てーーー手間取った光秀援軍、秀吉が待望した光秀決起、秀吉の巧みな情報操作、三者による秘密の封印(秀吉、家康、細川藤孝)
 
 定説にあるような、明智が信長を恨んで謀反を起こしたのではない、と子孫が発表した。信長は、海外に出ていこうとしていたという。
 信長が家康を殺すつもりだった本能寺の設定を明智が利用して信長を殺し、それをまた秀吉が上手く乗っ取って政権をとってしまったというのだ。

 読んでいて、それもあるかもしれないと思えてきた。膨大な文書から探し出した真実かもしれない。


クラリネット症候群
乾 くるみ
徳間文庫





2015/3/30
2008/4/15 発行
1963年生まれ、静岡県出身。静岡大学理学部数学科卒業。98年『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞して作家デビュー

      *   *   *

  ドレミ…の音が聞こえない?巨乳で童顔、憧れの先輩であるエリちゃんの前でクラリネットが壊れた直後から、僕の耳はおかしくなった。しかも怪事件に巻き込まれ…。僕とエリちゃんの恋、そして事件の行方は?

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 書下ろしの表題作の暗号解読もの他、「マリオネット症候群」人格転位もの(2001/10刊行)を同時収録。どちらの作品もユニークな発想の物語だ。
 はまる人もあるかもしれないが、私には少しばかりの違和感があって、これ以上は読まないかも知れない。解説では、本書を入り口として「イニシエーション・ラブ」と「リピート」に進み、それからデビュー作へ遡って「Jの神話」−「匣の中」−「塔の断章」の順に読み進むのがおススメだと書いてあるが。
 中・高生向きかな。


高峰秀子暮らしの流儀
高峰秀子 松山善三 斉藤明美
新潮社





2015/3/19
2012/1/25 発行
 秘蔵アルバム、日用の品々、掌中の宝物、愛した猫……。初公開写真とエピソードで、大女優の誰も知らない普段の暮 しぶりを解き明かす。飾らない、偏らない、背伸びしない。その潔い生き方から、人としての本当の幸せ、いつまでも輝きを失わない本物とは何かを学ぼう。高 峰さん自身が望んだ、最初で最後、家族3人による共著!

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にんげんのおへそ
高峰 秀子
文芸春秋







2015/3/17
平成10/5/10 発行
撮影所の魑魅魍魎たちが持つ「おへそ」とは何か?そして、四十代から考え始めた「人生の店じまい」の心得とは?肉親との永年の苦闘の果てに手に入れた夫・ 松山善三との穏やかな暮らしを守る中で、女優にして名文筆家の高峰秀子が自らの歩んだ道を振り返りつつ示した矜持と鋭い人間観察眼。人生を味わい尽くす達 人による、ユーモアとペーソスあふれる珠玉のエッセイ集。{BOOK」データベースより

   ********************

 高峰秀子さんは、母がたくさんブロマイドを集めていた女優さん。あまり幸せとは言えない生い立ちと、小さいころから大人に交じって仕事をしてきた人だからこそわかるものがあるのだろう。
 
 他のエッセイも読んで、潔い生き方を、読みながら学んでいきたいと思う。

 四十三年目のウェディングドレス
 オッパイ讃歌
 おへそ
 ひとこと多い
 馬よ
 梅原龍三郎と周恩来
 風の出会い
 午前十時三十分
 ウー、うまい
 きのうの「人間」きょうの「人」
 アコヤ貝の涙
 ただ今自分と出会い中
 死んでたまるか


フィルムノワール/黒色影片

矢作俊彦

新潮社




2015/3/10

2014/11/25 発行
 神奈川県警の嘱託・二村永爾は、1本の映画フィルムの行方を追って、香港へ飛んだ。それは、ある殺し屋がモデルとなった、封印された映画だった。幻の黒色 影片(暗黒フィルム)を巡り、立て続けに巻き起こる射殺事件。二村の前に現われた気高き女優と、謎の映画プロデューサー、そしてゲルニカ拳銃の銃口。横 浜、長春、香港―複雑な過去と現在が交錯してゆく。(BOOK」データベースより

    ********************

 好きな人にはたまらない待ちに待った二村シリーズだそうである。
 くせのある文章、予備知識が無いとなんのことを言っているのかわからないほどの映画の断片。わかれば面白いだろうけど、私は日活の映画は見たことが無い。ハリウッド物は少しは分かるけど、なかなかオタクにしか理解不能なセリフが多かったので、かなり飛ばし読みをしてしまった。
 とばしたら意味が無いとは思うけど仕方がない。だから読んでも値打ちはわからなかった。満州時代の甘粕大尉のことが出てきたときは多少の興味は湧いたが。
 中国人が出てきて香港が舞台で――――関心が湧かないのだ !どちらにも。

 宍戸錠が実名で登場する、なぜ?
Film noirはフランス語で「暗い映画」を意味する。一部にはフランス製ギャング映画を指してフィルム・ノワールと表現する例がみられる宗である。ーーーこのタイトルの場合は何だ?

 他の作品 ららら科学の子


私の愛する憩いの地
兼高 かおる
新潮文庫


2015/2/13
平成7/7/1 発行
 女の私が行ってきたのですから、私の歩いた道はどなたでも行けるのですーーー聖書の世界の神秘に出会うシナイ山、水源から辿るコロラド川、モザイク芸術の町ラヴェンナなど、31年にわたり「兼高かおる世界の旅」で日本のお茶の間を魅了した著者が披露する、とっておきの地の数々。
 今や海外旅行通になった人にも、新たに旅のロマンを教えてくれる”美しい星地球”への愛情溢れる一冊。(裏表紙より)

      ************************

 1928年(昭和3)年、神戸生まれ。ロスアンジェルス市立大学卒業後、ジャパンタイムズのフリーライターとして活躍。58年、スカンジナビア航空主催の世界早回りコンテストで、73時間9分35秒の新記録を樹立。59〜90年、テレビ番組「兼高 かおる世界の旅」で、160ヶ国を巡る。
 菊池寛賞、芸術選奨文部大臣賞、多くの賞を受賞。91年に紫綬褒章を受けた。現在も「横浜人形の家」館長など精力的に活躍。(平成7年現在)

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 今の時代と違って誰でもどこへでも行ける時代でなかったから、なおさらテレビで紹介された映像は素晴らしかったと子供のころの記憶にある。
 


かぐや姫の罪

三橋 健

新人物文庫




2015/2/10
2013/8/11 発行
 「罪の償いの期限がきたので、迎えにきた」といい、かぐや姫を月の都に連れ戻しにきた天人たち。しかし『竹取物語』ではどんな罪を犯したのか説明されてい ません。「かぐや姫が犯した罪」とは何か?「消えたかぐや姫の前世譚」とは?「霊峰富士山とかぐや姫」との関わりとは?「聖母マリアとかぐや姫の不思議な 共通点」とは?日本文学ではなく、神道学の視点から、天上界でのかぐや姫の意外な過去に迫る一冊。 (裏表紙より)

      *

 1939年、石川県生まれ。神道学者。國學院大學文学部日本文学科を卒業。國學院大學大学院博士課程修了。1971年、ポルトガル共和国コインブラ大学留学。元國學院大學神道文化学部教授。現在は「日本の神道文化研究会」を主宰

    ******************

  神道学の人だからしかたがないけど、後半は神道の話ばかりで、それでどうかぐや姫と繋がるのかな?―‐‐という感じになってきた。

 最近は、ジブリでもかぐや姫の罪についてアニメにしていたし、こういうとらえ方が流行りなのか?
 美女が犯すのは、姦淫の罪と決まっているってーーーー??だった。


氷川清話
勝海舟  勝部真長 編
角川文庫



2014/8/28
昭和47/4/30 発行
表紙は、勝海舟自筆の「咸臨丸」

幕藩体制瓦解の中、勝海舟は数々の難局に手腕を発揮、江戸城を無血開城に導いて次代を拓いた。晩年、海舟が赤坂氷川の自邸で、歯に衣着せず語った辛辣な人物評、痛烈な時局批判の数々は、彼の人間臭さや豪快さに溢れ、今なお興味が尽きない。

1823?99。幕末・明治期の政治家。海舟は号。日本の近代海軍の創設者。1860年、咸臨丸艦長として太平洋を横断。戊辰戦争のときは旧幕府側を代表 して新政府軍の西郷隆盛と交渉し、江戸を無血開城に導いた。維新後は参議兼海軍卿、完全在野の時期を経て、1887年伯爵、翌年枢密顧問官。明治政府の監 視役だった。著作に『海軍歴史』などがある。

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もし高校野球の女子マネージャーが
ドラッカーの『マネジメント』を読んだら


岩崎 夏海



2011/7/18

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